起業を考え始めたが、「もし事業がうまくいかず倒産してしまった場合にはどうなるのだろう」という不安が出てきたという方もいらっしゃるかもしれません。
会社が倒産した場合、経営者は債権者に対して負債を支払う責任があります。その責任には「無限責任」と「有限責任」がありますが、これらは会社が倒産した際に社員(出資者)が負担する責任の範囲が異なることを指します。つまり、設立する法人の形態などによって、責任がどの程度まで及ぶかが変わるということです。
そこで今回は、起業を考えている方に向けて、有限責任と無限責任の違いをわかりやすく説明します。
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有限責任とは?
有限責任と無限責任の違いは、責任の範囲によるものです。この章では有限責任について解説します。
債権者に対して出資した額を限度に責任を負う
「有限責任」とは、企業が倒産した場合、出資者が出資した金額までしか責任を負わないという考え方です。この制度は、大規模な事業を展開する際に、出資者が巨額の負債を背負うリスクを軽減するために生まれました。
産業革命以降、鉄道や国際貿易などの大規模なプロジェクトに資金が必要になり、多くの人々が資金を出し合ってこれらの事業に投資しました。しかし、投資家が無限に責任を負うことを嫌がったことから、「有限責任」の概念が導入され、出資者は出したお金までしか責任を負わないことが保証されたのです。
例えば、株式会社や合同会社は、出資者が出した金額までしか責任を負わない「間接有限責任」を持っています。つまり、自身の財産にまで責任を負うことはありません。株式会社の株価がゼロになっても、出資者が支払うべき金額は出資額までです。直接的に個人の財産が危険にさらされることはありません。
有限責任の会社の原型は、歴史的には東インド会社などに見られます。出資者が無限に責任を負うリスクを回避し、資金調達を促進する役割を果たしました。
有限責任を前提とした会社・組織形態
会社の種類のうち、株式会社、合同会社、有限会社(特例有限会社)は有限責任を前提とした会社形態です。
株式会社において株主は、株式を購入して出資し、自身が保有する株式の価値まで責任を負います。株式会社が上場されれば、多くの人々からの資金調達が可能です。会社が倒産しても、株主は株式の価値を失うだけで、それ以上の責任は負わないため、安心して株主になれます。
持分会社の一つである合同会社も出資者が責任を負い、責任は出資金の範囲内に限られる有限責任です。合同会社は株式会社とは異なり、株式を発行しない会社形態ですが、やはり社員(出資者)は自身が出資した金額まで責任を負い、それ以上の責任は発生しません。アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしており、日本でも設立が認められています。
特例有限会社について説明すると2006年に会社法が施行された際、それまでの有限会社法は廃止されました。移行措置が設けられており、これにより、以前の有限会社は法律的には株式会社の一種として存続しつつ、会社名に「有限会社」の表記を維持することとなりました。このような法的地位にある会社は「特例有限会社」と呼ばれています。特例有限会社の社員は有限責任です。
そして、後に解説する合資会社の一部の社員(出資者)も有限責任社員です。
また会社ではありませんが、有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)」は、自由な内部自治と同時に有限責任を持つ組織形態です。組織形態は、合同会社と似ていますが、会社法ではなく、有限責任事業組合契約法に基づく民法上の組合です。
無限責任とは?
「無限責任」とは、会社が債務を負った場合、会社の責任者がその債務の総額を全額返済しなければならない責任を意味します。この章で詳しく説明します。
債権者に対して負債全額の責任を負うこと
「無限責任」とは、会社が破産などで債務を抱えた際、会社の債権者に対して、負債の総額を全額支払う責任を負うことを指します。債務が完全に支払われない場合、無限責任を負う者は個人の財産を使ってでも債務を返済しなければなりません。無限責任の場合、債務者は債権者に対して直接的な支払い責任を負います。このように、債権者に対して直接的な責任を負うことを「直接責任」と呼びます。
現在、無限責任を負う者(無限責任社員)を認めている会社形態は、持分会社のうちの2つ「合名会社」と「合資会社」です。合名会社は無限責任社員のみで構成され、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方が存在します。
また法人や会社の設立を行わない個人事業主においても無限責任を負うことがあります。
無限責任を前提とした会社・組織形態
「合名会社」と「合資会社」は、有限責任社員の有無に関する違いがあります。合名会社では、すべての社員が無限責任を負いますが、合資会社では無限責任社員と有限責任社員が共存します。
なお、無限責任社員は、出資金だけでなく、自身の労働力や信用など金銭以外の要素を出資として提供することも認められています。
合名会社は、すべての出資者が無限責任社員で構成される企業形態です。この形態は、複数の個人事業主によって形成される会社と言えるでしょう。合名会社は、社員個人の特性や個性を重要視する企業形態であり、各社員が「業務執行権」と「代表権」を持っています。
社員の個性を尊重するため、社員持分の譲渡などには全ての社員の合意が必要です。全ての出資者が無限責任社員であるため、負担するリスクに上限がありません。そのため、最近では合名会社の設立はあまり見られません。
合資会社は、事業運営を担当する無限責任社員と、資金を提供する有限責任社員から成る企業形態です。この会社形態では、通常、有限責任社員は経営には関与しません。
合資会社を設立する際には、最低でも無限責任社員と有限責任社員の2人以上の出資者が必要です。合資会社には決算報告の義務もなく、会社の規約となる定款も柔軟に設定できます。ただし、会社が倒産した場合などには、無限責任社員の責任が大きくなる可能性があるのと、他の会社種類で最低資本金額の制約がなくなったこともあり、最近ではあまり設立されていません。
他には、会計監査を行う士業である公認会計士が設立する監査法人も基本的には社員が無限責任を負う組織です。
なお、合資会社の有限責任社員全員が無限責任社員になる場合には、合名会社に組織変更する必要があります。また、合資会社の無限責任社員全員が有限責任社員になる場合には組織変更が必要です。
このように有限責任と無限責任には大きな違いがありますが、実質的な話をすれば、有限責任制の株式会社や合同会社でも、金融機関からの融資に個人保証を提供している中小企業オーナーなどは、無限責任を負っていると言えるでしょう。
現在、合資会社で有名な会社は合資会社八丁味噌、合名会社で有名な会社は松井酒造合名会社などがあります。
無限責任の合名会社や合資会社が存在する理由
2006年の会社法改正以前、合同会社が登場する前は、資本金を抑えて設立できる柔軟性の高い会社形態が十分とは言えませんでした。そのため、資本金が少なくかつ自由度が高い合名会社と合資会社が選択されることがありました。
しかし、合同会社の登場により、資本金や役員に関する制約が緩和され、同時に柔軟性も高まりました。そのため、現在ではメリットの大きい合同会社が選択され、合名会社や合資会社の設立数や割合は減少しています。
有限責任と無限責任の違い
ここまで有限責任と無限責任について個々に解説してきましたが、この章では有限責任と無限責任の違いについて例を出しながら改めて説明します。
最大の違いは無限に責任を負うかどうか
無限責任とは、会社が外部の債権者に対して負っている借金を、会社の出資者も共同で負担しなければならないことを指します。例えば、会社が2,000万円の借金をして、その借金を返済できない場合、出資者の個人財産を使ってでも借金を返済しなければなりません。
有限責任とは、同様の状況でも、会社の出資者は出資した金額の範囲内でしか債務を負わないことを指します。例えば、会社が2,000万円を借りて、出資者が1,200万円を出資していた場合、残りの800万円については責任を負いません。
言い換えると、無限責任の場合、出資者は会社の債務に対して無制限の責任を負うのに対して、有限責任の場合、出資者の責任は出資額に限定されるということです。無限責任の場合は、会社と個人の財産が一体化している状態と言えます。
個人事業主について考えると、意識することは少ないかもしれませんが無限責任を負います。そのため、仕入れや初期投資が必要な大規模なビジネスを考える場合、法人化した方が賢明と言えるかもしれません。なぜなら、無限責任の場合、債務を返済し切れなければ、個人破産の可能性があるからです。業績の波が大きい事業や大きな投資を行う場合、無限責任を負うことはリスクが高まります。一方で、投資金額が小さく、業績が安定している場合、個人事業主のままでも問題ないと言えるかもしれません。
債権者などから見た有限責任
先述した通り、株式会社のオーナーであっても、個人保証や連帯保証などの要因により、事実上無限責任を負う場合があります。特に小規模で実績のない会社ほど、金融機関から個人保証を求められるケースが多いです。債権者にとっては、有限責任であればなおさら、倒産時などの資金回収が非常に重要だからです。
現在の会社設立では基本的に有限責任が選択される
これまで、有限責任と無限責任について説明してきました。多くの起業家は通常、株式会社や合同会社などの会社形態を選択します。ただし、中小企業の経営者は実質的な無限責任を負うケースが多いことには注意が必要です。
事業を展開する際にはリスクがついて回りますが、そのリスクをどこまで負担できるかを判断することが非常に重要であると言えるでしょう。
この記事がその判断材料の一助となれば幸いです。
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