資産管理会社は、株式会社として設立するなら通常の会社と同じ手続きでつくれます。「資産管理会社」という特別な会社形態はなく、定款の作成・認証、資本金の払込み、設立登記という流れも同じです。法定費用は、電子定款で作成する場合でおよそ17万〜21万円です。
迷いやすいのは、どの会社形態を選ぶかと、資産管理ならではの決め事です。設立費用だけを比べると合同会社のほうが安く済みますが、株式会社には株式の形で資産を次の世代へ引き継ぎやすいという特徴があります。事業目的の書き方や、家族を発起人にするかどうかも、設立前に決めておく必要があります。
この記事では、資産管理会社を設立するメリット、株式会社を選ぶ3つの理由、設立の6ステップ、資本金別の費用早見表、設立前に確認したい注意点を整理します。
資産管理会社の設立方法解説 株式会社を選ぶメリットと費用
- 資産管理会社とは?プライベートカンパニーとの関係
- 資産管理会社を設立するメリット4つ
- 資産管理会社を株式会社で設立する3つの理由
- 1. 株式の形で承継できる
- 2. 種類株式で議決権を設計できる
- 3. 対外的な信用を得やすい
- 資産管理会社の作り方 株式会社設立の6ステップ
- ステップ1:基本事項を決める
- ステップ2:定款を作成する
- ステップ3:公証役場で定款の認証を受ける
- ステップ4:資本金を払い込む
- ステップ5:法務局に設立登記を申請する
- ステップ6:設立後の届出を行う
- 株式会社で設立する費用 資本金別の法定費用早見表
- 設立前に確認したい注意点
- 会社の資産は自由に使えない
- 赤字でも毎年かかる費用がある
- 不動産の売買を繰り返すなら宅建業免許が必要
- 個人の不動産を会社に移すと税金がかかる
- 費用を抑えて会社設立をしたいなら「GVA 会社設立」がおすすめです
- まとめ
資産管理会社とは?プライベートカンパニーとの関係
資産管理会社とは、個人が持つ不動産や株式などの資産を保有・管理するために設立する会社です。オーナー一族のための会社という意味で「プライベートカンパニー」とも呼ばれます。法律上の定義がある用語ではなく、どちらもほぼ同じ意味で使われています。
法律上は通常の株式会社や合同会社と変わりません。会社は営利法人なので、賃料収入や配当で利益を上げ、法人税を納めます。違いは、外部の顧客を相手に事業を広げるのではなく、オーナー個人や一族の資産を管理する点にあります。
典型的な例は次のとおりです。
- 賃貸用の不動産を複数保有する人が、物件の保有・賃貸を会社に移す
- 会社オーナーが、自社株を保有する会社を別につくる
- 上場株式や投資信託などの金融資産を会社名義で運用する
資産管理会社を設立するメリット4つ
資産管理会社を設立する目的は、主に税負担の調整と相続への備えです。ただし、効果が出るかどうかは所得の額や家族構成によって変わります。ここでは一般的な仕組みを紹介します。
メリット | 仕組み |
|---|---|
税率の差 | 個人の所得税は5〜45%の累進課税(別途住民税10%)。中小法人の法人税は年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2% |
所得の分散 | 家族を役員にし、勤務の実態に見合う役員報酬を支払える |
欠損金の繰越 | 青色申告の法人は欠損金を最長10年繰り越せる(個人の純損失は3年) |
相続対策 | 不動産を個別に分けるのではなく、会社の株式として承継できる |
中小法人の15%の軽減税率は、2027年3月31日までに開始する事業年度が対象です。年所得が10億円を超える事業年度は17%になります(出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」)。
相続対策で注意したいのが、生前贈与の加算期間です。2024年1月1日以後の贈与については、相続財産に足し戻す期間が3年から最長7年に段階的に延びています(出典:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除」)。
節税の効果が出る条件と出ない場合については「法人化で節税できる仕組み5つ|効果が出ない場合の注意」、設立後にかかる費用は「資産管理会社の維持費|プライベートカンパニーの節税効果」で詳しく整理しています。
資産管理会社を株式会社で設立する3つの理由
資産管理会社は合同会社で設立されることも多いですが、株式会社にも固有のメリットがあります。資産の承継を見据える場合は、次の3点が判断材料になります。
1. 株式の形で承継できる
株式会社の株式は、相続や贈与で次の世代に移せます。合同会社の場合、社員(出資者)が亡くなると退社するのが原則で、相続人が持分を引き継ぐには定款にその旨を定めておく必要があります(会社法607条・608条)。
2. 種類株式で議決権を設計できる
株式会社では、議決権のない株式や拒否権付きの株式などの種類株式を発行できます(会社法108条)。たとえば、子に議決権のない株式を渡して財産権だけを移し、議決権はオーナーが持ち続けるという設計が可能です。株式の譲渡に会社の承認を必要とする定めを置けば、一族以外への株式の流出も防げます。
3. 対外的な信用を得やすい
不動産の取得資金を金融機関から借りる場合や、管理会社・取引先と契約する場合に、株式会社という形態が知られていることは判断材料の一つになります。
一方で、設立費用と維持の手間は合同会社より増えます。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
定款認証 | 必要(1.5万〜5万円) | 不要 |
登録免許税 | 最低15万円 | 最低6万円 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
承継の方法 | 株式の相続・贈与 | 定款の定めが必要 |
どちらの形態を選ぶかの判断軸は「資産管理会社は株式会社?合同会社?形態の選び方」で比較しています。
資産管理会社の作り方 株式会社設立の6ステップ
手続きは通常の株式会社と同じです。資産管理会社ならではの論点を各ステップに添えます。
ステップ1:基本事項を決める
商号、本店所在地、事業目的、資本金、発起人、役員、決算期を決めます。事業目的には、資産管理会社では「不動産の賃貸及び管理」「有価証券の保有及び運用」などの記載が多く見られます。将来行う可能性がある事業も含めておくと、設立後の目的変更登記が不要になります。【要確認:事業目的の記載例の掲載可否】
ステップ2:定款を作成する
基本事項を定款にまとめます。株式の譲渡制限や種類株式を使う場合は、定款に定めておく必要があります。
ステップ3:公証役場で定款の認証を受ける
株式会社は定款の認証が必要です。手数料は資本金と発起人の条件で変わります(次の章で整理します)。
ステップ4:資本金を払い込む
発起人個人の口座に資本金を振り込み、払込証明書を作成します。不動産などのお金以外の財産で出資する場合(現物出資)は、定款に記載が必要です。価額の総額が500万円以下なら、裁判所が選任する検査役の調査は不要です(会社法33条10項1号)。
ステップ5:法務局に設立登記を申請する
本店所在地を管轄する法務局に登記を申請します。申請した日が会社の設立日になります。
ステップ6:設立後の届出を行う
税務署への法人設立届出書、青色申告の承認申請書、都道府県・市区町村への届出、社会保険の新規適用届などを提出します。青色申告の承認申請書は、設立の日から3か月を経過した日と最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日までに提出が必要です。期限を過ぎると最初の事業年度は青色申告にならず、欠損金の繰越もできません。
各ステップの詳細は「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」で解説しています。
株式会社で設立する費用 資本金別の法定費用早見表
株式会社の設立にかかる法定費用は、定款認証手数料、登録免許税、定款の印紙代(紙の定款のみ)の3つが中心です。
資本金 | 定款認証手数料 | 登録免許税 | 合計の目安(電子定款) |
|---|---|---|---|
100万円未満(下記3条件をすべて満たす) | 1万5,000円 | 15万円 | 約16.7万円 |
100万円未満(上記以外) | 3万円 | 15万円 | 約18.2万円 |
100万円以上300万円未満 | 4万円 | 15万円 | 約19.2万円 |
300万円以上 | 5万円 | 15万円〜 | 約20.2万円〜 |
合計には謄本代などの約2,000円を含みます。紙の定款で作成する場合は、上記に収入印紙代4万円が加わります。登録免許税は資本金の0.7%で、15万円に満たない場合は15万円です。資本金がおよそ2,143万円を超えると15万円を上回ります。
定款認証手数料が1万5,000円になるのは、次の3条件をすべて満たす場合です。
- 発起人が全員個人で、3人以下
- 発起人が設立時に発行する株式をすべて引き受ける
- 取締役会を置かない
夫婦2人や、親子3人が発起人になる場合は該当します。子を含めて家族4人が発起人になる場合や、既存の会社を発起人に加える場合は該当しません。詳しい条件は「定款認証の手数料は?1.5万円になる条件を資本金で解説」で整理しています。
設立前に確認したい注意点
会社の資産は自由に使えない
会社に移した資産は会社のものになります。オーナーが個人的に使うには、役員報酬や配当として受け取る必要があり、その時点で所得税・住民税がかかります。
赤字でも毎年かかる費用がある
法人住民税の均等割は、利益が出ていなくても最低で年7万円程度かかります。税理士に申告を依頼する場合は報酬も必要です。
不動産の売買を繰り返すなら宅建業免許が必要
自社が所有する物件を貸すだけなら宅地建物取引業の免許は不要です。不動産の売買を反復して行う場合は、免許が必要になることがあります。
個人の不動産を会社に移すと税金がかかる
個人名義の不動産を会社に売却・現物出資すると、個人には譲渡所得税、会社には不動産取得税と登録免許税がかかります。移す方法と時期は、税理士に相談して決めることをおすすめします。
費用を抑えて会社設立をしたいなら「GVA 会社設立」がおすすめです
これから会社を設立しようと思っているがなるべく費用を抑えたいという方は、GVA 会社設立の利用をご検討ください。専門家に依頼するよりも費用を抑えて手間をかけずに、定款認証・会社設立登記が完了します。
【GVA 会社設立の特徴】
- 設立登記申請に必要な書類が無料で作成できる
- 公証役場や法務局に行かずに定款認証・登記申請ができる
- 専門家に依頼する場合と比べ費用を抑えて会社設立手続きができる
- 別サービスの勧誘は一切なし、設立手続きに集中できる
- 履歴事項証明書の代表取締役住所の一部を非表示にできる住所非表示措置に対応
無料で始められるGVA 会社設立はこちら
まとめ
資産管理会社は、株式会社として設立するなら通常の会社と同じ6ステップで設立できます。株式会社を選ぶと設立費用は合同会社より高くなりますが、株式の形で承継でき、種類株式で議決権を設計できるというメリットがあります。
法人化そのもののタイミングは「法人化のタイミングはいつ?判断基準7つと逆算の手順」で、設立全体の流れは「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」でまとめています。
執筆者:GVA 会社設立 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。
GVA TECH株式会社では、「GVA 会社設立」「GVA 法人登記」などのGVAシリーズだけでなく、法務オートメーション「OLGA」などのリーガルテックサービスを提供しています。