法人化の費用と会社設立後の維持費は?赤字でもかかる年7万円

会社設立
投稿日:2024.09.17
法人化の費用と会社設立後の維持費は?赤字でもかかる年7万円

会社を維持するために毎年かかる費用は、最低でも法人住民税の均等割7万円です。この均等割は所得ではなく会社の規模に対して課される税金のため、赤字であっても納める義務があります。

法人化の費用を調べると、登録免許税や定款認証手数料といった設立時に一度だけかかる金額ばかりが目につきます。しかし法人化するかどうかの判断で効いてくるのは、設立した後で毎年かかり続ける金額のほうです。設立時の20万円前後は一度きりですが、維持費は会社を続けるかぎり毎年発生します。

この記事では、法人化の費用を「設立時」と「毎年」に分けて整理します。株式会社と合同会社で異なる設立時の法定費用、維持費の項目別早見表、均等割7万円の内訳と資本金別の金額、そして社会保険料や決算公告など見落としやすい支出まで、金額の根拠とあわせて示します。


法人化の費用は「設立時」と「毎年の維持費」に分かれる

法人化の費用は、性質の異なる2種類に分かれます。混ぜて考えると総額の見通しが立たなくなるため、最初に切り分けます。


区分

主な内訳

目安金額

設立時(一度だけ)

登録免許税、定款認証手数料、印鑑作成費用

株式会社 約16万7,000円〜/合同会社 約7万円〜

毎年(維持費)

法人住民税の均等割、税務申告、社会保険料

最低7万円〜


設立時の費用は資本金の額や機関設計によって変わります。条件別の総額と内訳は「会社設立の費用の総額はいくら?かかる費用の内訳早見表つき(準備中)」で確認できます。

法人化の設立時費用は?株式会社と合同会社で異なる法定費用

法人化する会社の形態は、株式会社か合同会社が選ばれることがほとんどです。設立時の法定費用は次のとおり異なります。


項目

株式会社

合同会社

定款の認証手数料

1万5,000円〜5万円

不要(0円)

定款の謄本手数料

約2,000円

─

収入印紙代

4万円(電子定款なら0円)

4万円(電子定款なら0円)

登録免許税

資本金の額×0.7%(最低15万円)

資本金の額×0.7%(最低6万円)


電子定款を使い、認証手数料が最も低い区分に当てはまる場合、株式会社の法定費用は約16万7,000円です。合同会社は定款認証が不要なため、最低6万円で済みます。


定款認証手数料は資本金の額と発起人の構成によって変わります。条件は「定款認証の手数料は?1.5万円になる条件を資本金で解説」、登録免許税の計算方法は「会社設立登記費用と登録免許税(印紙代)の計算と納付手順を解説」で解説しています。


なお、これらのほかに会社実印などの印鑑作成費用が約5,000円から、印鑑証明書や登記事項証明書の取得費用が1通あたり数百円かかります。

会社の維持費は年間いくら?項目別の早見表

設立の翌年からかかる主な費用は次のとおりです。赤字のときに消えるものと消えないものを分けて見ると、法人化の判断がしやすくなります。


項目

年間の目安

赤字でもかかるか

法人住民税の均等割

7万円〜

かかる

法人税・法人事業税・法人住民税の法人税割

所得に応じて変動

かからない

社会保険料(会社負担分)

役員報酬額の15%前後

かかる

税務申告(税理士に依頼する場合)

依頼先によって変動

かかる

決算公告(官報に掲載する場合)

8万1,765円

かかる

役員の重任登記(登録免許税)

1万円(任期満了ごと)

かかる


所得に課される税金は赤字ならゼロになりますが、均等割はゼロになりません。ここが個人事業との最も大きな違いです。

赤字でもかかる法人住民税の均等割|7万円の内訳と資本金別の金額

よく言われる「年7万円」は、2つの税金の合計額です。


  • 都道府県民税の均等割:2万円
  • 市町村民税の均等割:5万円


これは資本金等の額が1,000万円以下で、従業者数が50人以下の場合の標準税率です。均等割の額は資本金等の額と従業者数の区分で決まります。


資本金等の額

都道府県民税

市町村民税(従業者50人以下)

1,000万円以下

2万円

5万円

1,000万円超1億円以下

5万円

13万円

1億円超10億円以下

13万円

16万円


出典:総務省「法人住民税」


実務では次の3点でつまずきやすいので、あわせて押さえておいてください。


東京23区は都が一括して課税します。 都民税として7万円を納める形になり、区ごとに別途かかるわけではありません。


事業所が複数の市区町村にあると、その数だけ均等割がかかります。 本店のほかに支店を出すと、支店の所在地でも均等割の納税義務が生じます。


設立初年度は月割で計算されます。 事業年度が12か月に満たない場合、均等割は「年額×事業年度の月数÷12」で算出します(1か月未満の端数は切り捨て)。設立が期の途中なら初年度の負担は7万円より小さくなります。

維持費で見落としやすい3つの支出

早見表のうち、金額の大きさや発生のタイミングで想定から漏れやすいものを個別に見ます。

社会保険料は代表者1人でも発生する

法人は従業員がいなくても社会保険の強制適用事業所です(健康保険法第3条第3項、厚生年金保険法第6条第1項)。役員報酬を支払っていれば、代表取締役1人だけの会社でも健康保険と厚生年金保険の被保険者になります。


保険料は会社と本人が折半し、会社負担分は役員報酬額のおおむね15%前後です(料率は都道府県と年度によって変わります)。役員報酬をゼロにしている場合は保険料の計算基礎がないため、加入の対象外となります。

決算公告は株式会社の法律上の義務

株式会社は、定時株主総会の終結後に貸借対照表(大会社は損益計算書も)またはその要旨を公告しなければなりません(会社法第440条第1項)。合同会社にこの義務はありません。


官報に掲載する場合、決算公告の最小サイズである2枠で税込8万1,765円です(2025年4月1日以降の掲載分。出典:東京都・官報サービスセンター「官報の掲載料金」)。ただし定款で電子公告を定めておけば、自社のウェブサイトに5年間掲載する方法で足ります(会社法第440条第3項)。公告方法をどう定めるかで、毎年の負担が大きく変わる項目です。

役員の任期満了ごとに重任登記が必要になる

取締役の任期は原則2年ですが、株式の譲渡制限を定めた非公開会社であれば、定款で最長10年まで伸ばせます(会社法第332条)。同じ人が続けて就任する場合も、任期が満了するたびに重任の登記が必要です。


登録免許税は資本金の額が1億円以下の会社で1万円(1億円超は3万円)です。任期を10年にすれば登記の回数は減りますが、その分だけ役員構成を変えにくくなります。

個人事業主と法人でランニングコストはどう違う?

法人化を検討する段階では、法人のランニングコストを単体で見るより、いまの個人事業と比べたほうが判断しやすくなります。


項目

個人事業主

法人(株式会社)

赤字のときの税負担

住民税の均等割(年5,000円前後)

法人住民税の均等割(年7万円〜)

公的医療・年金

国民健康保険・国民年金(全額本人負担)

健康保険・厚生年金(会社と本人で折半)

決算・申告

確定申告

法人税の申告(決算書、勘定科目内訳明細書など)

やめるときの手続き

廃業届の提出

解散・清算結了の登記(登録免許税など)


法人は維持費が高い一方で、厚生年金への加入や役員報酬による所得の分散など、個人事業では選べない仕組みを使えます。会社をたたむ場合の手続きと費用が重い点も、判断材料に含めておくとよいでしょう。


法人化に踏み切る時期の考え方は「法人化のタイミングはいつ?判断基準7つと逆算の手順(準備中)」で整理しています。


執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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