合同会社と株式会社の違いを解説

会社設立
投稿日:2024.08.30
合同会社と株式会社の違いを解説

会社設立や事業拡大を検討する際、合同会社と株式会社の選択に迷うことがあります。両者には設立手続き、管理コスト、資金調達の容易さなど、さまざまな違いがあります。「どちらが自社に適しているのか」「将来の成長を見据えてどちらを選ぶべきか」といった疑問は多くの方が抱えているのではないでしょうか。

この記事では、合同会社と株式会社それぞれの特徴や違いを詳しく解説し、事業規模や将来計画に応じた法人形態な選択について考えていきます。

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合同会社と株式会社の特徴

合同会社と株式会社は、それぞれ独自の特徴を持つ会社形態です。ここで両者の違いを理解しましょう。

株式会社の特徴

株式会社は、株式を発行して資本金を集められる法人形態です。多数の出資者や出資のみを行う投資家にも対応できる柔軟性があり、株式上場を目指すには、株式会社でなければなりません。

株式会社の大きな特徴として、所有と経営の分離が挙げられます。中小企業では実質的に同一化していることも多いですが、制度上の原則であり大規模な企業では明確に分かれています。

株式会社の設立については、近年、設立のハードルが下がってきており、以前は存在していた設立時の資本金要件も撤廃されています。具体的には、2006年5月の会社法施行以前は、株式会社の設立には1000万円以上の資本金が必要でしたが、現在は1円からでも設立が可能となっています。

また、役員人数に関する規定も、会社法施行により大きく変更されました。以前は最低3名の取締役と1名以上の監査役が必要でしたが、現在は取締役1名のみでも株式会社を設立できます。ただし、取締役会を設置する場合は依然として3名以上の取締役が必要です。

これらの変化により、株式会社はより多くの起業家にとって選択しやすい会社形態となっています。あわせて、有限会社や合同会社との差が小さくなり、結果として有限会社の廃止にもつながっています。

合同会社の特徴

合同会社は、2006年の会社法施行により新設された比較的新しい会社形態です。米国のLLC(Limited Liability Company)をモデルとして、新規設立ができなくなった有限会社に代わるものとして導入されました。

合同会社の大きな特徴のひとつは、株式会社の株主と同様に、社員が有限責任を負うことです。このことで、事業のリスクは個人財産から分離されています。

合同会社の設立に関しては、株式会社と比べて手続きが簡素化されています。具体的には、定款認証が不要であるため、設立にかかる費用が株式会社より安くなっています。たとえば、株式会社の設立費用が約24万円程度であるのに対し、合同会社は約10万円程度で設立可能です。合同会社は比較的小規模な事業や創業したばかりの企業に適しているといえます。

一方で、合同会社には資金調達や事業拡大の面で制限があります。社員は必ず出資を伴い、外部から出資だけをする立場を想定しておらず、第三者に株式を発行して資金調達したり、上場したりすることはできません。

合同会社は比較的新しい会社形態であるため、一般的な認知度はまだ低い状況ですが年々設立数は増えており、近年では外資系企業の日本法人としての利用も増えています。たとえば、Google Japan合同会社、Amazon Japan合同会社、Facebook Japan合同会社などの大手IT企業が合同会社形態を採用しています。

合同会社から見た株式会社との違い

合同会社と株式会社には、出資方法や上場の可能性、管理コストなど、さまざまな面で違いがあります。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。

合同会社では持分を通じて出資される
合同会社への出資は、株式会社とは大きく異なります。合同会社には株式の概念がなく、代わりに、社員が持分を通じて出資を行います。

増資が必要な場合、既存の社員か新規に加入する社員が出資を行うことになります。つまり、株式会社のように外部から純粋な投資目的で出資するような立場は想定されていません。合同会社では所有と経営が一体化しているといえます。

持分制度は、社員の入退社にも影響を与えます。社員が退社する場合、その持分について譲渡や払戻しが必要になります。逆に、新たに社員として入社する際には、持分のを譲受や出資を行うことが求められます。

持分は、ある意味で株式会社の議決権に似た機能を果たしますが、出資額に比例した権利を持つわけではありません。つまり、出資額が多いからといって、必ずしも会社の意思決定に大きな影響力を持つとは限りません。この点は定款で自由に定めることができ、各社員の貢献度や役割に応じて柔軟に設定することも可能です。


合同会社は上場できない

合同会社は、株式市場への上場ができません。

合同会社では外部から純粋に出資だけを行う立場を想定していません。合同会社の社員は、出資者であると同時に経営に参画する立場にあり、所有と経営が一体化しています。

また、合同会社には株式という概念がありません。株式会社では、株式の発行と売買を通じて所有権の移転や資金調達を行いますが、合同会社にはそのような仕組みがありません。そのため、上場して株式市場を通じて広く一般から資金を調達することはできません。

このような特性は合同会社のM&A(合併・買収)にも影響を与え、株式会社ほど所有権の移転は容易ではありません。買収や合併、会社分割などの組織再編を行う際には、より複雑な手続きが必要となります。

定款によるルール設定の自由度が高い

合同会社は、定款によるルール設定の自由度が高く、メリットのひとつに挙げられます。

株式会社と比較して、会社運営に関するルールをより柔軟に設定できます。定款で決められる範囲が広く、会社の実情や社員の意向に合わせて、より自由度の高い運営が可能です。

たとえば、利益分配方法において、株式会社では一般的に出資比率に応じて利益を分配しますが、合同会社では社員の貢献度や役割に応じて、柔軟な利益分配方法を設定することができます。社員の加入や退社に関するルールも、定款で自由に定められます。

管理コストが小さい

合同会社のメリットには、管理コストの低さが挙げられます。

合同会社では株式会社に義務付けられている決算公告が不要で、公告にかかる費用や手間を省くことができます。役員の任期に関する規定もないため、定期的な役員変更登記の必要がありません。また、役員変更や増資の際の登記手続きが簡略化されているため、これらに伴う費用や手間を抑えることができます。

さらに、設立時にかかるコストも株式会社と比較して小さくなっています。具体的には、株式会社の設立には通常20万円から30万円程度の費用がかかるのに対し、合同会社の場合は6万円から10万円程度で設立が可能です。合同会社では定款の認証が不要で、公証人による定款認証(資本金300万円以上で5万円)や印紙代などの費用をおさえることができます。

<株式会社 認証手数料>

資本金(開業時)

認証手数料

100万円未満

3万円

100万円以上300万円未満

4万円

300万円以上

5万円


役員に関するルールの違い

合同会社と株式会社では、役員に関するルールにも違いがあります。

合同会社では法人が代表社員になることができます。これは株式会社では認められていない点です。法人が代表社員となる場合、その法人は自然人である職務執行者を指名する必要があります。この職務執行者が、法人代表社員に代わり職務を遂行します。

また、合同会社には株式会社の役員に相当する立場として、代表社員と業務執行社員があります。代表社員は会社を代表し、対外的な業務執行権限を持ちます。これは株式会社の代表取締役に近い役割です。一方、業務執行社員は業務執行を担当します。これは株式会社の取締役に類似した役割ですが、より柔軟に権限や責任を定めることができます。

加えて、株式会社では取締役の任期が原則2年(最長10年まで延長可能)と決められていますが、合同会社ではそのような制限がありません。ただし、必要に応じて定款で任期を定めることは可能です。

合同会社と株式会社のどっちがいい?

会社形態の選択は、事業の規模や将来の展望によって異なります。それぞれの特徴を踏まえ、自社に適した形態を選ぶことが大切です。

規模の拡大・上場を志向しないなら合同会社でよい

合同会社は、特定の事業モデルや経営方針を持つ企業にふさわしい選択肢です。特に、急激な規模拡大や株式上場を目指していない企業、資本提携やベンチャーキャピタル(VC)からの出資、M&A(合併・買収)を当面の計画に入れていない企業なら、合同会社が向いています。

合同会社は株式会社と比較して、登記申請や決算公告にかかる手続きが簡素化されているため、これらに関連する管理コストを大幅に抑えることができます。このことから、小規模事業や創業期の企業にメリットがあります。法人税の課税や各種許認可の取得、補助金の申請などにおいて、合同会社を選択することによる不利益はほとんどありません。

また、合同会社では認知度の低さが問題になることがあります。しかし、取引先を急激に拡大する予定がない場合や、おもにBtoB(企業間取引)事業を展開している場合は、合同会社選択によるデメリットは比較的小さいといえます。

ステークホルダーを増やして会社を大きく成長させたいなら株式会社

一方、企業の成長戦略や将来的な事業展開によっては、株式会社のほうが適していることがあります。出資や資本業務提携などでステークホルダーを増やし、急速な成長を目指す企業にとっては、株式会社が有利な選択肢となるでしょう。

資金調達の観点からみると、株式会社には優位性があります。資本提携やベンチャーキャピタル(VC)からの出資を予定している場合、株式会社の形態が適しています。株式の発行や譲渡が容易であるため、外部投資家からの資金調達がスムーズです。

信用度の面でも、株式会社は優位性を持っています。特に金融機関や大手取引先との関係において、株式会社のほうが信用度が高いと認識される傾向があります。これは、株式会社のほうが財務情報の開示義務が厳格であることや、一般的に認知度が高いことが理由として挙げられます。また、「代表取締役」「取締役」といった役職名の方が、合同会社の「代表社員」「業務執行社員」よりもわかりやすく、ビジネス上のコミュニケーションがスムーズになる利点もあります。

特にスタートアップ企業など、急成長を目指す企業にとっては、株式会社形態が適しています。外部からの資金調達や人材確保、事業拡大に伴う組織変更など、成長に必要な様々な局面で株式会社の仕組みが有利に働きます。

ただし、株式会社にはデメリットもあります。登記申請や株主総会の開催、決算公告など、合同会社と比べて管理コストが増加します。これらの法的義務を果たすために、より多くの時間と費用が必要となります。

合同会社は株式会社に変更できる

合同会社を選択する際の大きな利点の一つに、将来的に株式会社への変更が可能であるという点があります。合同会社から株式会社への変更は、組織変更という手続きで行います。合同会社の資産や負債、権利義務関係はすべて新しい株式会社に引き継がれますので、事業の連続性を確保できます。

この仕組みは、スタートアップ企業や小規模事業者にとって大きな意味を持つでしょう。事業開始時点では管理コストの低い合同会社形態でスタートし、事業が軌道に乗り、さらなる成長や資金調達が必要になった段階で株式会社に移行するという戦略を立てることができます。

新規設立できなくなった有限会社とは異なり、合同会社は一度株式会社に変更したあとでも、再び合同会社として新規設立することが可能です。事業環境や経営戦略の変化に応じて、より柔軟に会社形態を選択できるため、ルールによって経営が限定される心配は軽減されています。

合同会社か株式会社か、事業に合わせて選択しよう

合同会社と株式会社は、それぞれ異なる特徴と利点を持つ会社形態です。合同会社は設立や運営のコストが低く、小規模事業や起業初期に適しています。一方、株式会社は資金調達や事業拡大に有利で、高い信用度が魅力です。

将来の事業展開によっては、合同会社から株式会社への移行も可能です。この柔軟性は、特に事業の成長段階に応じて会社形態を調整したい場合に有用で、自社の事業計画や目標に最も適した形態を選びましょう。

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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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