会社設立における出資金の見せ金や預合いについて解説

会社設立
投稿日:2024.07.30
会社設立における出資金の見せ金や預合いについて解説

会社設立を検討している方であれば、自己資金や資本金を少しでも多く見せたいと思うことがあるかもしれません。一般的には、自己資金や資本金が多い方が取引先からの信用が得られやすく、銀行からの融資も受けやすいでしょう。


会社設立時の資本金の払込みを仮装し、実際の資金よりも多く見せかける方法として、見せ金や預合いがあります。もっとも、見せ金や預合いによって、払込金額を実際の資金よりも多く見せかけることは違法であり、犯罪に当たる場合さえあるのです。

本記事では、見せ金や預合いの意味や、それぞれの違いとリスクについて、わかりやすく解説します。

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会社設立における見せ金・預合いとは?

見せ金と預合いのそれぞれの意味や違い、会社法における位置付け、違法性についてわかりやすく説明します。

「見せ金」とは、資本金の払込みを仮装すること

見せ金とは、発起人が第三者からお金を借り払込みに充てることで、実際にはない資本金を一時的に準備し、資本金を実際の金額よりも意図的に多く見せかける行為のことです。

具体的には、まずは出資金の払込みを行う銀行口座に、借り入れた資本金相当額のお金を振り込みます。

次に、振込を記帳した通帳の写しや取引明細書(募集設立の場合は金融機関の出資払込金保管証明書)を会社設立の登記の添付書類として利用するのです。

会社の設立手続きが完了したら、払込金額を直ちに引き出すため、会社に本来確保されるべき財産が残りません。

見せ金は、実際にはない資本金や自己資金を多く見せかけて、取引先から信用を得やすくし、また銀行から融資を受けやすくするために行われます。

会社法では、見せ金自体を直接禁止する規定はありませんが、取引先や銀行などの第三者を欺く違法な行為とされています。
そのため、見せ金を行った発起人は、払込みを仮装した者として、会社法により別途払込金額の全額を払い込まなければなりません。

また、公正証書原本不実記載罪という刑法上の犯罪行為として処罰される場合もあります。

預合いは、金融機関と発起人の共謀で行われる

預合いとは、発起人と払込取扱金融機関が共謀して、発起人の払込みを仮装する行為のことをいいます。見せ金との違いは借り入れ先が払込取扱金融機関である点です。

預合いでは、具体的にはまず発起人が金融機関から個人で借りたお金を同一の金融機関で出資金の払込みを行う銀行口座に入金します。その後、会社設立の手続きを完了させますが、発起人が借入金を返済するまで出資金を引き出さないことが約されます。そのため、会社の事業資金に使用できるお金を確保できていないことから、見せ金と同様に違法な仮装払込みとして扱われているのです。

預合いは、見せ金と同じく、取引相手からの信用を得やすくするために行われます。
また、発起人が払込みを仮装した者として、会社法により別途払込金額の全額を払い込む義務があるという点も、見せ金の場合と同じです。

他方で、預合いは見せ金と違い、会社法965条により犯罪行為として明確に禁止されています。

どちらも法律で禁止されているが、必要性は減少しつつある

会社法の施行以前は、主に会社設立時の最低資本金を満たすために、見せ金や預合いといった払込みの仮装が行われていました。

現在では、最低資本金制度はすでに廃止されているため、昔に比べて払込みを仮装する必要性は低くなっています。また、近年の金融機関におけるガバナンスの向上に伴い、違法行為である見せ金や預合いを行うことは難しくなっているといえるでしょう。

もっとも、会社設立時の資本金が多いと、取引先からの信頼を得やすいなどの上述したメリットがあることは否定できません。メリットを優先して見せ金や預合いを行うことがないように、資本金を仮装する行為は会社法で禁止される違法行為であることを理解しておきましょう。

見せ金や預合いを行うことによるリスク

見せ金や預合いを行ってしまうことで、どのようなリスクがあるのでしょうか。
それぞれのリスクについて具体的に解説します。

会社設立が無効になる

見せ金や預合いを行って会社設立手続きを完了したとしても、会社設立が無効になるというリスクがあります。

会社を設立する際には、会社法上、定款で定めた「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」(設立時出資額)を払い込まなければなりません。
設立時出資額を満たさない場合、会社の財産が確保されず取引相手が害される可能性があるため、会社の設立自体が無効になります。見せ金や預合いによる払込みは無効であり、結果として設立時出資額が満たされないことから、会社設立が無効になるのです。

また、見せ金や預合いでお金を払い込んだ発起人は、会社の株主としての権利を行使できません。

会社法上、発起人は払込みによって会社の株主としての地位を取得します。
見せ金や預合いによる払込みは無効であるため、会社の株主になれず、当然に株主としての権利行使もできないというリスクを負うのです。

公正証書原本不実記載罪に問われる可能性

預合いや見せ金などの払込みの仮装を行った場合、公正証書原本不実記載罪という刑法上の犯罪行為に当たるというリスクがあります。

公正証書原本不実記載罪は刑法157条で定められており、具体的な内容は以下の通りです。

「公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ…た者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

預合いや見せ金を行うと、仮装された払込金額により法人登記に虚偽の記載をさせることになるため、公正証書原本不実記載罪に当たるリスクがあるのです。

なお、預合いの場合は別途、会社法965条の「預合いの罪」に問われるリスクもあります。

預合いや見せ金を行っても、会社設立が無効になるため何らメリットがないばかりか、違法な犯罪行為として処罰されるリスクすらあるのです。

会社に実際にお金があるわけではない

見せ金や預合いは払込みを仮装している状態のため、実際に企業運営に使えるお金は確保できていません。

そのため、会社を設立できたとしても、資金力不足により結局のところ十分な事業活動をできない可能性が高いのです。場合によっては、早期に会社の資金がショートし、事業活動を継続できなくなってしまうおそれすらあります。

見せ金や預合いは、資本金や自己資金を仮装しているにすぎず、使える資金が増えるわけではないということを覚えておきましょう。

金融機関や取引先からの信用を失う

見せ金や預合いは違法行為であるため、発覚すれば金融機関や取引先からの信用を失います。

金融機関から融資を受ける際には、会社の預金通帳の提出を求められることが多いです。
融資審査の過程で不自然なお金の流れが発覚するため、見せ金を隠し通すことは難しいでしょう。見せ金が発覚すれば、当然、融資の審査に通ることは難しいです。

また、預合いは払込取扱金融機関と共謀して行う行為ですが、違法行為であるため協力してくれる金融機関はほとんどありません。預合いの共謀を持ちかけた時点で金融機関からの信用を失い、会社が設立できても融資は受けられない可能性が高いと認識しておくべきでしょう。

取引先との関係では、見せ金や預合いなどで資本金を仮装して取引しても、資金力不足により契約上の義務を果たせなければ、結局取引先の信用を失います。

さらに、預合いや見せ金は取引先を欺く行為であるため、何らかのきっかけで事情が発覚すれば、当然に取引先からの信用は失われるでしょう。

見せ金や預合いは違法!会社の設立には自己資金の確保が重要

見せ金や預合いは、会社設立時の資本金や自己資金を実際よりも多くみせかけるように仮装する行為です。一般的には、金融機関からの融資を受けやすくし、また取引先から信用を得やすくするために行われます。

しかし、見せ金や預合いなどの払込みの仮装は、犯罪行為として処罰される可能性のある違法行為であり、決して行なってはなりません。
ほとんどの場合は融資審査などで発覚し、結局は信用を失うことになりますし、そもそも会社の設立自体が無効になるリスクすらあるのです。

会社設立時の自己資金の調達方法としては、保有する株式や不動産、暗号資産、仮想通貨などの売却や、親族や友人から出資してもらうといった方法があります。
どの方法を選ぶにしても、見せ金や預合いを疑われないように、資金の出所がわかる書類を確保し、大切に保管しておきましょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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