家族経営のメリット・デメリットと注意点、向いている業種について解説

会社設立
投稿日:2022.12.05
家族経営のメリット・デメリットと注意点、向いている業種について解説

国税庁が発表する令和2年度「会社標本調査」によると、日本の会社の96%以上は「同族会社」で、資本金1億円以上の大きな会社でも50%以上がこれに該当します。

法律上定められている「同族会社」=「家族経営・同族経営」ではありませんが、日本の会社の大半に創業者やその親族が関わっていることは確かです。

これは日本に限ったことではなく世界の会社でも同様です。デメリットもありますが、メリットも多く、日本の長寿企業の多くが家族経営です。

この記事では「家族経営のメリットとデメリット、注意点」などについて解説します。

参考:国税庁の令和2年度「会社標本調査」

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家族経営とは?

家族経営とはどういったものでしょうか。これらの定義や特徴、見分け方、有名な会社、多い業種などを説明します。

家族経営の定義

家族経営とは、創業者やその家族(創業家)など特定の親族が所有・経営する会社のことです。同族経営、同族企業、ファミリービジネスなどといわれることもありますが、法律で定義が決められているわけではありません。所有と経営が分離されている場合でも、実質的な支配権を持っているのが特徴です。

所有権の100%または大部分を持つ会社はオーナー企業といわれます。

同族会社は法人税法で定められており、上位3株主グループが50%超の株式や出資金額などを所有する会社のことです。
まとめると次のようになります。

  • 同族会社

法人税法の定義あり。上位3株主グループが株式や出資金額の50%超を所有。

  • 家族経営
  • 同族経営
  • 同族企業
  • フォミリービジネス

法律の定義なし。明確な定義があるわけではないが、創業者やその親族が会社を所有・経営することをいう。所有率が低い場合や、経営を創業家以外に委託している場合でも、実質的な支配権を持っている。創業家一族が役員をつとめることも多い。

  • オーナー企業

法律の定義なし。創業者やその親族が、株式や出資金額の100%または大部分を所有している。小規模会社や中小企業に多い。

参考:国税庁「株式会社における同族会社の判定」より

家族経営の特徴

家族経営は小規模会社や中小企業・非上場企業に多いですが、上場企業でも50%以上がこれに該当するとされています。

会社の所有と経営が一致していることが多いので、経営者が優秀であれば非家族経営を上回るパワーを発揮します。

長期的な視点にたった「経営や後継者教育」ができるのも家族経営の特徴です。

見分け方・判断方法

非上場会社では情報が少なく分かりにくいこともありますが、見分けるヒントもありますので紹介します。

  • 代表者や役員の名前が社名に含まれている
  • 経営陣に同姓が多い
  • 過去の代表者や役員が同姓
  • 登記簿謄本などで確認する


有名な家族経営・同族経営企業

参考に有名な家族経営・同族経営企業を紹介します。これらの企業の中には持株比率は低いが、役員を一族で占めるなど実質的な支配権を確保しているケースなどもあります。

①日本の家族経営・同族経営企業例

  • サントリー
  • 竹中工務店
  • ユニクロ(ファーストリテイリング)


②世界の家族経営・同族経営企業例

  • ウォルマート
  • フォルクスワーゲン
  • ルイ・ヴィトン

 

家族経営が多いといわれる業種

小規模事業者では小売業、宿泊業、飲食業などは経営者とその家族で経営していることが多く、中小企業では建設業、製造業などが多くなっています。

参考:中小企業庁「2018年版小規模企業白書」より

家族経営のメリット・デメリット

ネガティブなイメージを持たれることもありますが、現実として日本の会社のほとんどが家族経営です。デメリットもありますが、多くのメリットもあります。

家族経営のメリット

メリットはおもに次の5つです。

①リーダーシップが強く意思決定のスピードが早い
所有と経営が一体化しており、経営者の力が非常に強くなります。そのためトップダウンの体制が確立されており、意思決定のスピードが早くなります。

②経営理念が浸透しやすい
経営陣が親族で固められておりコミュニケーションがとりやすく、会社の経営理念やビジョンが共有しやすくなっています。

③アットホームで結束力のある組織になる
小規模事業であれば従業員の大半が親族ということも珍しくはありません。そのため結束力のある組織になります。

④外部の意見や資本関係に作用されずに長期的な視点で経営できる
経営と所有が一致しており、外部の株主の顔色を気にする必要がありません。非同族企業のように社長の任期が5年などと決められている場合は、その期間内にできることをするしかありません。

しかし、家族経営では社長が何十年にもわたって実権を持つことは珍しくありません。そのため長期的なビジョンを持って経営できます。

⑤家族を役員や従業員にすることによる節税メリットがある
家族を役員や従業員にすることによる節税メリットが発生することがあります。特に会社の規模が小さなうちはメリットも大きくなる傾向にあります。自営業などで奥さんを従業員にすると、雇用保険には加入できませんが給料を経費に計上できます。
 

家族経営のデメリット

おもなデメリットは次の5つです。

①独裁的なワンマン経営になる可能性がある
経営者が大きな力を持つということはリーダーシップを発揮しやすい反面、独裁的なワンマン経営でブラック企業化する可能性があります。

②身内の役員や社員を過度に優遇するなどガバナンスが弱くなる可能性がある
家族経営においては経営と所有が分離されていないため、経営者の独断を許してしまうことがあります。また経営者の過ちやミスを見抜けず、許してしまうケースも多くなりがちです。

ガバナンスやコンプライアンスが弱くなる傾向にありますので注意が必要です。

③ 同族間の争いが起こることがある
親族間で意見の相違や対立があった場合、会社や社員を巻き込み大きな影響を及ぼすことがあります。争いが長期にわたり、会社の存続に関わる大きな問題になることもあります。

④能力不足の親族が役員になることがある
会社の規模が小さなうちは奥さんが専務として経理などを担うことは珍しくありません。規模が小さなうちはメリットの方が大きく、問題となることも少ないのですが、規模が大きくなると親族のスキルが追いつかず問題が大きくなることがあります。

能力不足の息子を次期社長にする、経営陣は能力に関係なく親族ばかり、このようなケースでは会社の存続も困難です。

⑤お金や人材の私物化
お金や人材の公私混同が発生することがあります。特にお金の面では、自家用車を経費で購入する、プライベートな費用を福利厚生費などで計上するなどが起こりがちです。

家族経営を行う上の注意点

日本の長寿企業の大半が家族経営です。メリット・デメリットを踏まえて、成功させるポイントや向いている経営形態などについて解説します。

家族経営の成功のために意識したいポイント

成功させるために意識したいポイントは次の5つです。

①経営理念やビジョンの共感を深める
家族経営では経営理念などを伝えやすいというメリットがありますが、伝えやすいのと共感を得るということは別物です。

特に従業員を雇用している場合にはビジョンの押し付けになってしまうことがありますので、理念に共感してもらいモチベーションアップなどにつなげることが重要です。

②ガバナンス、管理体制、公私の区別は意識的に強化する
デメリットを改善するためにはガバナンスや管理体制、公私の区別を意識的に強化することが重要です。これによりデメリットを改善します。

③透明性の高い評価制度を作る
評価や報酬が経営者の私情で決まってしまうようでは、従業員の反発を招きモチベーションを保つことはできません。会社の経営体質も弱くなってしまいます。これらを改善するためには透明性の高い評価制度を作ることが重要です。

④経営陣のバランスを意識する
会社の規模によって「親族、従業員、外部人材」など経営陣のバランスを意識することが重要です。

⑤能力がない人を家族というだけで要職につけない
規模が小さなうちは経営陣を親族で固めることが有効なこともあります。しかし、規模が大きくなってきたら、能力不足の家族を要職につけることは大きなリスクをともないます。後継の問題も同様に注意が必要です。

家族経営に向いている経営形態・業種

次のような経営形態や業種は家族経営に向いています。

  • 小規模なフランチャイズやコンビニ
  • 大きな資本が必要なく、規模の拡大を目指さない飲食店や宿泊施設
  • 所有不動産を活用したコインランドリーや駐車場など
  • 小規模な農業や生産業など
  • 少人数で運営可能な事業


家族経営のメリットを活用し成功させるポイント

ネガティブなイメージを持たれることもありますが、日本企業の90%以上、そして長寿企業の大半が家族経営です。

デメリットを抑えるためにガバナンスや管理体制、公私の区別は意識的に強化しましょう。透明性の高い制度を作り、経営陣のバランスを意識すれば、成功にグッと近づきます。

家族を従業員にすることは、会社の規模が小さなうちは良いのですが、規模が大きくなると問題になりことがあります。会社を成長させるためには、能力不足の家族を要職につけないようにしましょう。

統計にもあるように小規模事業では小売店、飲食店、宿泊施設などが、中小企業では建設業や製造業などが家族経営に向いています。

家族経営はデメリットもありますが多くのメリットもあり、これを活用できれば成功への近道です。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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