株式会社を設立する前に決めておく項目は、商号、事業目的、本店所在地、発起人、出資額、役員と機関設計、発行可能株式総数、事業年度と公告方法、設立日、代表取締役の住所の扱いの10項目と多岐にわたります。このうち、商号・事業目的・本店所在地・出資額・発起人の5つは、会社法で定款に必ず記載するよう定められている項目です。
つまずきやすいのは、項目同士がつながっている点です。出資額は登記にかかる税額に、本店所在地は管轄の法務局に、設立日は申請の日程に影響します。どれかを決め直すと、定款や申請書の書き直しが連鎖するのです。
この記事では、10項目を印刷できるチェックリストの形で一覧にし、各項目の記載先と、詳しく解説した記事へのリンクを紹介します。決め方の詳細は各記事に譲り、本記事では「何を決めるか」をリスト形式で確認できるようにしました。
会社設立前に決めること10項目の印刷できるチェックリスト
会社設立の事前準備 投稿日:2026.10.19
決めること10項目の一覧と、決める順番
まず全体像です。上から順に決めると、あとの項目を決めやすくなります。
項目 | 主な記載先 | 連動・関連する項目 |
|---|---|---|
1. 商号 | 定款 | 本店所在地、事業目的 |
2. 事業目的 | 定款 | 許認可、役員 |
3. 本店所在地 | 定款・登記申請書 | 管轄の法務局、代表者の住所 |
4. 発起人 | 定款 | 出資額、役員、必要書類の数 |
5. 出資額・資本金 | 定款・払込証明書 | 登記の税額、出資の方法 |
6. 役員と機関設計 | 登記申請書・就任承諾書 | 任期、必要書類 |
7. 発行可能株式総数・設立時発行株式数 | 定款・登記申請書 | 出資額、発起人 |
8. 事業年度・公告方法 | 定款・登記申請書 | 設立日、決算 |
9. 設立日 | 登記申請日 | 申請書類の準備期間 |
10. 代表取締役の住所の扱い | 登記申請書 | 本店所在地 |
決める順番は、会社の骨格にあたる1〜4を先に決め、続けて資金と体制に関わる5〜7、最後に日程にかかわる8〜10を決める流れが、書き直しが少なくなります。ここで示すのは項目同士の関係であり、各項目の内容をどう決めるかは、個別の事情により異なります。
以下の各項目の「□」は、印刷して決まった項目にチェックを入れて使えます。
1. 商号(会社名)
商号は、会社の名前です。定款の絶対的記載事項のひとつで、決め直すと定款も申請書も作り直しになります。
- ▢商号の候補を決めた
- ▢株式会社の表記の位置(前につけるか、後ろにつけるか)を決めた
- ▢使用できる文字の範囲を確認した
- ▢同じ本店所在地に、同一の商号が登記されていないか確認した
一例として、「株式会社〇〇」と前につける表記と、「〇〇株式会社」と後ろにつける表記があり、どちらを使っても会社の成立に違いはありません。
使える文字と類似商号の調べ方は、商号(会社名)の決め方|使える文字と類似商号の調べ方で解説しています。
2. 事業目的
事業目的は、会社が行う事業の内容を定款に書くものです。定款の絶対的記載事項で、許認可が必要な事業では、定款の目的の書き方が許認可の要件に関わることがあります。また、融資などの際にも資金の使途となる事業が目的に記載されているかなど、意外に人の目に触れる機会の多い項目です。
- ▢現在行う事業を洗い出した
- ▢将来行う可能性のある事業を洗い出した
- ▢許認可が必要な事業があるか確認した
- ▢目的の項目数と並べ方を決めた
一例として、飲食業を行う場合は、営業許可が必要になる事業かどうかを、設立前に管轄の窓口で確認します。
目的の書き方と許認可の注意点は、会社の事業目的の決め方・書き方の例と許認可における注意点で解説しています。
3. 本店所在地
本店所在地は、会社の本店の住所です。定款の絶対的記載事項で、設立登記を申請する法務局は、この住所を管轄する法務局になります。
- ▢本店を置く場所を決めた
- ▢賃貸物件の場合、本店住所として登記できるか契約内容を確認した
- ▢定款に、どこまで書くか(市区町村まで、または番地まで)を決めた
- ▢管轄の法務局を確認した
一例として、自宅の一室を本店にする場合と、賃貸のオフィスを本店にする場合があります。どちらでも登記はできますが、賃貸借契約や管理規約で、本店としての使用が制限されていないかの確認が必要です。
自宅や賃貸を使う場合の注意点は、本店所在地の決め方|自宅や賃貸を使う場合の注意点で、バーチャルオフィスについては、バーチャルオフィスで会社設立できる?登記の注意点で解説しています。
4. 発起人
発起人は、会社の設立手続きを行い、設立時に株式を引き受ける人です。氏名(法人の場合は名称)と住所は、定款の絶対的記載事項です。
- ▢発起人になる人を決めた
- ▢発起人の人数を決めた
- ▢発起人が個人か法人かを確認した
- ▢発起人ごとの氏名・住所を確認した
一例として、1人で設立する場合は発起人が1人、共同で設立する場合は2人以上になります。人数が増えると、必要になる書類の数も増えます。
発起人の役割と責任は、発起人とは?役割と責任、誰にするかの決め方を解説で、複数人で設立する場合は、発起人が2人以上の会社設立|手続きと共同経営の注意点で解説しています。
5. 出資額と資本金
出資額は、設立時に発起人が出資する財産の価額です。定款には「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」を記載します。出資額によって、設立時にかかる税額も変わります。
- ▢設立時の出資額(資本金の額)を決めた
- ▢出資者ごとの出資額を確認した
- ▢出資の方法(金銭だけか、金銭以外の財産を含むか)を確認した
- ▢払込みに使う口座を確認した
一例として、設立登記の登録免許税は、資本金の額の0.7%が基準で、これが15万円に満たない場合は15万円になります。資本金が100万円の場合、0.7%は7,000円で15万円を下回るため、登録免許税は15万円です【要確認:登録免許税法で入稿前に確認】。
資本金の決め方の判断材料は、会社設立時の資本金はいくらが目安?平均額と決め方の判断材料5つで、金銭以外の財産で出資する場合は、現物出資で会社設立する方法|500万円の上限と注意点で解説しています。かかる費用の全体像は、会社設立の費用の総額はいくら?かかる費用の内訳早見表つきで確認できます。
6. 役員と機関設計
役員と機関設計は、会社の運営体制です。取締役を何人置くか、取締役会を置くか、任期をどうするかといった項目で、設立登記の申請書に反映されます。
- ▢設立時の取締役を決めた
- ▢代表取締役を決めた
- ▢取締役会を置くかどうかを決めた
- ▢取締役の任期を決めた
- ▢役員になる人から就任の承諾を得る準備をした
一例として、取締役が1人の会社では、その1人が代表取締役になります。取締役会を置く場合は、取締役の人数や、代表取締役の選び方の要件が変わりますので確認しておきましょう。
機関設計の選択肢は、取締役会は設置すべき?機関設計の選び方を比較表で解説で、任期については、取締役の任期は10年でいい?設立時の人数と決め方で解説しています。
7. 発行可能株式総数と設立時発行株式数
発行可能株式総数は、会社が将来発行できる株式の上限です。設立時発行株式数は、設立の時点で発行する株式の数で、出資額と1株あたりの金額から決まります。
- ▢設立時に発行する株式の数を決めた
- ▢1株あたりの金額を決めた
- ▢発行可能株式総数を決めた
- ▢発起人ごとの引受株式数を決めた
一例として、出資額が100万円で、設立時に1,000株を発行する場合は、1株あたり1,000円です。
決め方の詳細は、発行可能株式総数の決め方|設立時の株式数と1株の金額で解説しています。
8. 事業年度と公告方法
事業年度は、決算を行う期間の区切りで最終月は「決算月」とも呼ばれます。公告方法は、会社が公告をする場合の方法です。どちらも定款に記載する項目です。
- ▢事業年度の開始日と終了日(決算日)を決めた
- ▢公告方法を決めた
一例として、4月1日から翌年3月31日までを1事業年度とする場合、決算日は3月31日、決算月は3月です。公告方法には、官報に掲載する方法などがあります。
事業年度の決め方は、決算期はいつがいい?事業年度の決め方と判断材料4つで解説しています。
9. 設立日
設立日は、会社が成立した日です。設立日は登記の申請日で決まるため、希望の設立日がある場合は、申請書類の準備期間から日程を逆算して組みます。
- ▢設立日の希望があるか確認した
- ▢定款の認証、払込み、書類の準備にかかる日数を見積もった
- ▢登記を申請する日(設立日)の目標を決めた
設立登記は、会社法911条1項により、調査の終了日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に申請する必要があります。
設立日の決まり方と逆算の方法は、会社設立日は希望日にできる?決まり方と逆算の方法で解説しています。
10. 代表取締役の住所の扱いをどうするか
2024年10月1日から、設立登記と同時に申し出ることで、代表取締役の住所のうち最小行政区画より下の部分を登記事項証明書に表示しないようにする制度が始まりました。申し出るかどうかは、設立前に決めておく項目です。
- ▢代表取締役の住所を登記簿に表示するか、非表示にするかを決めた
- ▢非表示にする場合、添付書面をそろえる日程を確認した
申出は設立登記の申請と同時にしかできないため、設立後に気づいて単独で申し出ることはできません。
手順と添付書面は、代表取締役の住所を非表示にする方法、設立時の申出を解説で解説しています。
決めたあとの流れと、確認できる記事
10項目が決まったら、定款の作成、公証役場での認証、出資の払込み、設立登記の申請へと進みます。
次の手続き | 確認できる記事 |
|---|---|
定款を作る | |
書類をそろえる | |
費用を確認する | |
登記を申請する |
設立の流れの全体は、株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用にまとめています。