会社設立とは、法人格を持つ会社を新しく作る手続きのことです。定款を作成し、出資金を払い込み、法務局に設立登記を申請することで、会社の設立となります。株式会社の場合、登記を申請した日が設立日になります。
法人の種類は、株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人などさまざまで、どれを選ぶかによって手続きも必要なものも変わるので情報収集において注意が必要です。
本記事では、会社設立と法人・商業登記の意味、主な法人の種類の違い、必要なもの、手続きの全体像、費用の目安、依頼先の選択肢(司法書士・書類作成のサポート・自分で行う場合)について解説します。
会社設立とは?法人の種類と必要なものを基礎から解説
会社設立とは?法人と商業登記の意味
法人とは、法律上、人と同じように権利や義務を持つ主体として認められた存在です。法人は、自分の名前で契約を結び、銀行口座を持ち、不動産などの財産を所有できます。個人とは別の人格を持つため、事業上の契約や財産が経営者個人と分かれ、別個の存在になります。
会社設立とは、この法人格を取得するための一連の手続きです。法人格は、法務局で設立の登記をすることで得られます。
この設立などの登記を総称して商業登記と呼びます。商業登記は、会社の商号、本店所在地、役員、資本金などを法務局の登記簿に記録して公開する制度で、取引の相手が会社の基本情報を確認できるようにするためのものです。登記簿の内容は、法務局で証明書(登記事項証明書)として取得できます。
なお、株式会社の設立日は、設立登記を申請した日です。登記が完了した日ではありません。設立日は、税務署への届出期限などの起算日にもなるため、しっかり把握しておきましょう。
法人の種類の違い
事業のための法人には、会社法で定める「会社」と、それ以外の法人があります。会社には、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類があります。なお、有限会社は、2006年の会社法施行により新しく設立できなくなっています。
種類 | 出資者の責任 | 定款の認証 |
|---|---|---|
株式会社 | 出資額まで(有限責任) | 公証人の認証が必要 |
合同会社 | 出資額まで(有限責任) | 不要 |
合資会社 | 無限責任社員と有限責任社員 | 不要 |
合名会社 | 全員が無限責任 | 不要 |
一般社団法人 | 負担なし(社員は責任を負わない) | 公証人の認証が必要 |
NPO法人 | 負担なし(社員は責任を負わない) | 所轄庁の認証(設立認証)が必要 |
一般社団法人とNPO法人は、会社と違い、利益を構成員に分配することを目的としない法人です。会社の設立を検討する場合、選択肢の中心は株式会社と合同会社になります。この2つの違いは、株式会社と合同会社の違い7項目|どっちを選ぶべきかで比較しています。
本記事では、以降、株式会社を設立する場合を前提に説明します。
会社設立に必要なもの
株式会社の設立に必要なものは、大きく「決めること」と「用意するもの」に分けられます。
決めることは、次のとおりです。
- 発起人(出資して設立を行う人)
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 事業目的
- 資本金(出資額)
- 機関設計(取締役の人数や取締役会の有無、任期)
- 事業年度(決算期)
- 発行可能株式総数
一つひとつの項目については、会社設立前に決めること10項目の印刷できるチェックリストで整理していますので参考にしてください。
設立を進めるにあたって用意するものは、次のとおりです。
- 発起人の印鑑証明書(定款認証で必要)
- 発起人・役員の実印、会社の代表印(法務局に届け出る印鑑)
- 定款
- 出資金の払込みを証明する書類(通帳のコピーなど)
- 役員の就任承諾書などの設立登記の申請書類
なお、登記申請に添付する書類は、機関設計などによって変わる場合があるので注意が必要です。
会社設立の流れの全体像
株式会社の設立は、一般的に次の順で進みます。
- 商号・本店所在地・事業目的・資本金などの基本事項を決める
- 定款を作成する
- 公証役場で定款の認証を受ける
- 発起人の口座に出資金を払い込む
- 法務局に設立登記を申請する(この日が設立日)
- 税務署・都道府県・市区町村などに設立の届出をする
設立後の届出のうち、税務署への法人設立届出書は、設立登記の日から2か月以内の提出が必要です。ほかにも、年金事務所や労働基準監督署などへの届出が必要になる場合があります。これらの中には会社設立後、数日以内に必要になるものもあるので必ず確認しておきましょう。
各ステップの詳しい手順や期限は、株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用で解説しています。
会社設立にかかる費用の目安
株式会社の設立には、登録免許税などの費用がかかります。主な項目は次のとおりです。
項目 | 金額の目安 | 条件など |
|---|---|---|
定款認証の手数料 | 1万5,000円〜5万円 | 資本金の額などの区分で変わる |
定款の収入印紙代 | 4万円 | 紙の定款の場合(電子定款は不要) |
設立登記の登録免許税 | 15万円または資本金の0.7%の高いほう | 株式会社の場合 |
定款謄本の交付手数料 | 数千円程度 | 認証を受けた定款の写し |
前提条件によって金額が変わるため、自分のケースの正確な金額は、日本公証人連合会や法務局の案内で確認してください。
なお、後述する専門家に手続きを依頼する場合、上記以外にも依頼するための報酬がかかることを押さえておきましょう。
設立手続きを専門家に依頼する場合の選択肢
会社の設立手続きは、自分で行うことも、専門家やサービスの力を借りることもできます。依頼先によって、できる範囲が異なります。
依頼先 | できる範囲 | 申請を行う人 |
|---|---|---|
司法書士 | 書類の作成と、登記申請の代理まで | 司法書士(代理人) |
商業登記のオンラインサービス | 書類の作成・購入、郵送での申請のサポートまで | 本人 |
自分で行う | すべて自分で行う | 本人 |
司法書士は、登記申請を本人に代わって行える(代理できる)資格者です。一方で、書類作成のサポートを受ける場合、申請を行うのは本人です。この違いを押さえたうえで、費用、時間、手間のバランスを見て選んでください。
まとめ
会社設立とは、定款を作成し、法務局に設立登記を申請して、法人格を持つ会社を成立させる手続きです。法人には株式会社、合同会社などの種類があり、必要なものや手続きは種類によって異なります。一般的な記事では株式会社を前提に解説されることがおおいので、自分の設立したい会社種類と照らし合わせて確認しましょう。
この次の一歩としては、設立前に決める項目を会社設立前に決めること10項目の印刷できるチェックリストで確認し、形態の選択に迷う場合は株式会社と合同会社の違い7項目|どっちを選ぶべきかを参照してください。