株式会社の設立登記は、本店の所在地を管轄する法務局に対して、資本金の払込みなど設立手続きが終了した日から2週間以内に申請します。提出方法は窓口への持参のほか、郵送やオンラインからも選べ、それぞれ必要な準備が異なります。
「2週間」の起算日は発起設立か募集設立かで異なり、休日を挟むと数え方を誤りやすい部分です。また、2026年2月からは休日を会社の設立日に指定できる制度も始まっており、この点を混同している解説も見られます。
この記事では、提出先の調べ方、期限の起算日と過ぎた場合の扱い、必要書類と登録免許税の目安、窓口・郵送・オンラインそれぞれの申請方法、補正が来た場合の対応、登記完了までにかかる日数までを整理します。会社設立全体の流れは「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」で解説しているので、本記事では登記申請の部分に絞って詳しく取り上げます。
会社設立登記の申請方法における提出先と2週間の期限を解説
会社設立の登記申請 投稿日:2026.10.15
設立登記書類の提出先は本店所在地を管轄する法務局
設立登記の書類の提出先は、本店所在地を管轄する法務局です。管轄は住所の地番ではなく法務局ごとに定められた区域で分かれているため、申請前に必ず確認しましょう。特に都内23区などは管轄法務局が細かく分かれているので注意しましょう。
確認方法 | 内容 |
|---|---|
都道府県・市区町村から検索できる | |
電話での確認 | 管轄の法務局に直接問い合わせる |
同じ市内に複数の法務局がある地域では、本局と支局・出張所で管轄する町名が分かれていることがあります。例えば東京23区は法務局の本局・出張所ごとに担当する区が分かれており、大阪市や名古屋市のように複数の区にまたがる政令指定都市でも同様です。管轄を誤って提出すると、その場では受け付けてもらえず、正しい管轄先へ出し直すことになり、その分だけ2週間の期限に近づいてしまいます。住所だけで判断せず、一覧ページか電話で確認してください。
期限は「設立手続きが終了した日」から2週間以内
会社法第911条により、設立登記は設立の手続きが終了した日から2週間以内に申請しなければならないと定められています。起算日は、発起設立か募集設立かで異なります。
設立方法 | 起算日 |
|---|---|
発起設立 | 設立時取締役等の調査が終了した日と、発起人が定めた日のいずれか遅い日 |
募集設立 | 創立総会が終結した日など、いずれか遅い日 |
例えば発起設立で、4月1日に資本金の払込みが完了し、4月3日に設立時取締役等の調査が終わった場合、起算日は遅い方の4月3日になり、期限は4月17日までです。休日を挟んでも期限が延びるわけではないため、法務局が閉庁している土日祝日をまたぐ場合は前倒しで準備を進める必要があります。
期限を過ぎても申請自体が却下されるわけではありませんが、登記を怠ったこととして代表者に100万円以下の過料が科される可能性があります。過料は法務局からの通知ではなく、後日、裁判所からの通知という形で来ることが一般的です。起算日の具体的な数え方や、期限を過ぎてしまった場合の対応は「設立登記の期限は2週間|起算日と過ぎた場合の対応」で解説しています。
会社の設立日は登記が受け付けられた日で決まる
会社の設立日は、法務局が登記を受け付けた日になります。申請方法によって受付日の考え方が変わります。
申請方法 | 設立日になる日 |
|---|---|
窓口持参 | 提出した日 |
郵送 | 書類が法務局に到着した日 |
オンライン | 申請データが受け付けられた日 |
2026年2月2日からは、商業登記規則等の改正により、一定の要件を満たせば土日祝日などの休日を設立日に指定できる特例も始まっています。指定登記日の直前の開庁日に申請すること、申請書にその旨と指定する日付を記載することなどが要件です。
この特例を使わない場合、郵送申請では「投函日」ではなく「到着日」が設立日になる点に注意が必要です。郵便事情によっては、投函から到着まで数日ずれることがあります。設立日の選び方や逆算の考え方は「会社設立日は希望日にできる?決まり方と逆算の方法」で整理しています。
登記申請に必要な書類一覧
設立登記には、定款のほかに複数の添付書類が必要です。発起設立か募集設立か、機関設計によって過不足があるため、申請前に一覧チェックリストで確認しましょう。
- 設立登記申請書
- 認証済みの定款
- 設立時取締役等の就任承諾書
- 設立時取締役(監査役)の印鑑証明書
- 資本金の払込みを証する書面
- 本店所在地・資本金決定に関する発起人の決定書
- 印鑑届書
- 登録免許税納付用台紙(収入印紙)
取締役会を設置するかどうかでも必要書類は変わり、設置する場合は就任承諾書に加えて取締役会議事録が必要になることがあります。募集設立の場合は、これらに加えて創立総会議事録や設立時取締役等選任書面など、発起設立より書類の点数が増えます。書類ごとの様式や記載例は、法務局が公開する「商業・法人登記の申請書様式」で確認できます。
設立の登録免許税はいくらかかるか
登録免許税は、資本金の額×0.7%と15万円を比べて高い方の金額です。資本金が少ない設立では、多くの場合15万円が登録免許税になります。
資本金の目安 | 登録免許税 |
|---|---|
約2,143万円以下 | 15万円(最低額) |
約2,143万円超 | 資本金×0.7% |
納付は、登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付けて登記申請書に添付する方法が一般的ですが、オンライン申請では電子納付も選べます。窓口や郵送で収入印紙を貼って納付した場合、税務署のような領収書は発行されないため、必要であれば登記申請書の控えで金額を確認します。
なお、自治体の特定創業支援等事業による証明書を取得すると、登録免許税が7万5,000円に軽減される制度もあります。設立費用全体の内訳は「会社設立の費用の総額はいくら?かかる費用の内訳早見表つき」で整理しています。
定款の製本と綴じ方
紙の定款を公証役場や法務局に提出する場合は、ページの差し替えを防ぐため製本と契印が必要です。ホチキス留めのうえ、ページの継ぎ目に発起人全員の契印を押します。
公証役場でオンライン認証を受けた電子定款の場合は、この製本や契印の作業自体が不要になります。紙の定款を選ぶか電子定款を選ぶかで、準備の手間が変わる点です。製本の具体的な手順や契印の押し方は「定款の製本のやり方|設立書類の綴じ方と契印の押し方」で解説しています。
申請方法は窓口・郵送・オンラインの3つ
設立登記は、法務局の窓口へ持参するほか、郵送やオンラインでも申請できます。
方法 | 特徴 |
|---|---|
窓口 | その場で提出できるが法務局へ行く必要がある |
郵送 | 管轄法務局宛てに書類一式と返信用封筒を送付する。到着まで日数がかかる。 |
オンライン | 登記・供託オンライン申請システムを利用。電子証明書が必要になる場合がある |
オンラインの登記・供託オンライン申請システムは、平日8時30分〜23時、休日8時30分〜18時まで利用でき(年末年始を除く)、法務局が開いていない時間帯でも申請データの作成・送信ができる点がメリットです。ただし、添付書面をオンラインで送るには電子署名や電子証明書が必要になる手続きもあり、特に初めて申請する場合は窓口・郵送に比べて事前準備の負担が大きくなる場合があります。
郵送での送付先・同封物は「設立登記は郵送で申請できる|送付先と同封物の一覧」、オンライン申請の手順と必要な電子証明書は「設立登記をオンライン申請する手順と必要な電子証明書」で解説しています。
補正の連絡が来たときの対応
申請書類に不備があると、法務局から申請書に記載した電話番号へ補正の連絡が入ります。補正できる期間は、通常は登記完了予定日までの期間です。
オンライン申請の場合は、電話ではなくシステム上に補正指示が届くこともあるため、申請後は処理状況照会のページも定期的に確認します。期間内に対応しないと申請は却下され、再申請には登録免許税を改めて納める必要があります。補正の具体的な対応手順は「設立登記で補正の連絡が来たら?対応手順と却下の回避」で解説しています。
登記完了までの日数と確認方法
登記完了までの日数は法務局の混雑状況で変わります。3〜4日で完了する法務局もあれば、申請が集中する都市部では2週間前後かかることもあります。
申請が集中する時期(決算期末や年度替わりの直前など)は、同じ法務局でも普段より完了までの日数が延びる傾向があります。各法務局が公開する「登記完了予定日」のページで、商業・法人登記の完了予定日を確認できます。進捗の確認方法や、完了後に登記事項証明書を取得できるタイミングは「設立登記の完了までの日数は?進捗の確認方法も解説」で解説しています。
自分で申請するのが不安なとき
書類の作成から法務局への提出まで、すべて自分で行うこともできますが、依頼先によってできる範囲は異なります。
依頼先 | できる範囲 |
|---|---|
自力 | 書類の作成から申請まですべて自分で行う。費用はかからないがハードルは高い |
書類作成の支援サービス | 書類の作成・購入・郵送申請の準備までサポート。申請者本人が申請する。費用と手間のバランスが取れている。 |
司法書士 | 書類作成に加えて、申請の代理まで依頼できる。全ておまかせできる。 |
依頼先ごとの対応範囲の違いは「設立登記を自分でやるのが不安な場合の3つの選択肢」で整理しています。
途中で手続きが進まなくなったとき
定款認証や資本金の払込みなど、どこかの工程で止まってしまうと、2週間の期限に間に合わなくなることがあります。よくあるのは、公証役場の予約が取れない、払込みに使う口座の名義が発起人本人と読み取れる形式になっていない、事業目的の記載で公証役場から確認が入る、といったケースです。
まずは止まっている工程を特定し、そこから手続きを再開する必要があります。工程別の再開手順は「会社設立が途中で進まないときは?工程別の再開手順」で解説しています。