会社設立日は、法務局が設立登記の申請を受け付けた日で決まります。原則として土日祝日や年末年始は設立日にできませんが、2026年2月2日からは、一定の要件を満たして申請すれば休日を指定して設立日にする特例が使えるようになりました。
つまずきやすいのは、申請方法によって「申請日」の扱いが変わること、そして休日を指定する特例には「指定登記日の直前の開庁日に申請する」という条件があることです。特例を使っても、書類を出す作業自体は平日に行います。
この記事では、設立日が決まる仕組み、申請方法ごとの違い、原則として設立日にできない日、休日を指定できる特例の要件と記載方法、希望日から逆算するスケジュール、日付を選ぶときの判断材料を整理します。設立日から数え始める届出の期限もあわせて一覧で紹介します。
会社設立日は希望日にできる?決まり方と逆算の方法
会社設立日は「登記の申請日」で決まる
株式会社は、本店所在地で設立の登記をすることによって成立します。実務上は、登記所が申請を受け付けた日が登記簿に「会社成立の年月日」として記録され、これが設立日になります。
混同しやすい日付を整理すると次のとおりです。
日付 | 設立日になるか |
|---|---|
定款の作成日・認証日 | ならない |
出資金の払込日 | ならない |
登記の申請日(受付日) | なる |
登記の完了日 | ならない(設立日にさかのぼって記録される) |
登記の完了までは申請から1〜2週間ほどかかるのが一般的ですが、完了後の登記簿には申請日(後述の特例を使った場合は指定した日)が設立日として載ります。完了までの日数は「設立登記の完了までの日数は?進捗の確認方法も解説」で解説しています。
申請方法ごとに設立日になる日
申請方法は窓口・郵送・オンラインの3つです。どれを選ぶかで、希望日をどこまで確実に押さえられるかが変わります。
申請方法 | 設立日になる日 | 希望日の押さえやすさ |
|---|---|---|
窓口に持参 | 持参した日 | 押さえやすい |
郵送 | 法務局に到達した日 | 到着日がずれることがある |
オンライン | 登記所が受け付けた日 | 送信時刻に注意 |
郵送は、発送日ではなく法務局に届いた日が申請日です。配達状況によって1日前後することがあるため、特定の日付にこだわる場合は日数に余裕を見ておく必要があります。送付先と同封物は「設立登記は郵送で申請できる|送付先と同封物の一覧」、オンラインの手順は「設立登記をオンライン申請する手順と必要な電子証明書」にまとめています。
原則、設立日にできない日
法務局が申請を受け付けない日は、原則として設立日になりません。
- 土曜・日曜・祝日
- 年末年始(12月29日〜1月3日)
- 平日17時15分以降にオンラインで送信した場合。登記・供託オンライン申請システムの受付時間は平日8時30分〜17時15分で、それ以降や休日に送信した申請は翌業務日の受付になります(登記・供託オンライン申請システム FAQ)
たとえば金曜の18時にオンラインで送信すると、受付は翌週月曜(祝日なら火曜)です。郵送も同様で、土日に届いた書類は翌業務日の受付になります。
ただし2026年2月2日からは、次章の特例を使えば休日を指定登記日として設立日にできます。 「1月1日を創業日にしたい」「土曜日を設立日にしたい」といった希望は、この特例で対応できる場合があります。
休日を設立日にする特例(2026年2月2日〜)
令和8年の商業登記規則等の改正で、2026年2月2日から、一定の要件のもとで会社等の設立登記を行政機関の休日に登記することを求められるようになりました(法務省「休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました」)。この求めを申請書に記載すると、指定した休日の日付で「会社成立の年月日」が登記簿に記録されます。
特例を使うための要件は次のとおりです。
要件 | 内容 |
|---|---|
対象 | 登記が成立の要件となる会社等(株式会社を含む) |
申請書への記載 | 特例を求める旨と、指定する登記の日(指定登記日)を記載する |
指定登記日の条件 | 行政機関の休日であること |
申請するタイミング | 指定登記日の直前の開庁日に申請すること |
オンラインや郵送で申請する場合も、申請が開庁時間内に法務局へ到達し、指定登記日の直前の開庁日の日付で受付される必要があります。前章の「17時15分以降は翌業務日扱い」というルールは、特例を使う場合の申請タイミングにもそのまま関わるため、余裕をもって提出・発送してください。
記載場所は書面なら申請書の余白、オンラインなら「その他の申請書記載事項」欄で、具体的な記載例は法務省のPDF(設立の登記の申請の特例の求めの記載例)にあります。留意点は次の2つです。
- 添付書面(定款など)は、指定登記日ではなく実際に申請する開庁日までに作成したものを用意します。特例の求めに不備があり期限内に補正できない場合は、求めがなかったものとして通常どおり受付日が設立日になります。
- オンラインで定款認証と設立登記を同時申請する場合も特例は使えますが、申請日当日中に定款認証を終える必要があるため、公証役場との事前調整とテレビ電話面談の予約が必要です。
自社のケースでこの特例を利用できるかどうか不安な場合は、法務局や専門家に確認するのも有効です。
設立の希望日から逆算するスケジュール
設立登記の申請は、定款の認証と出資金の払込が終わってからでないとできません。希望日から逆算すると、おおむね次の順番と日数になります。
工程 | 目安の日数 | 希望日から見た時期 |
|---|---|---|
定款の作成 | 数日〜1週間 | 3〜4週間前 |
公証役場の予約・定款認証 | 予約から数日〜1週間 | 2〜3週間前 |
出資金の払込 | 1日 | 1〜2週間前 |
登記申請書類の作成・押印 | 数日 | 1週間前〜前日 |
登記の申請 | 当日(休日を指定する場合は直前の開庁日) | 希望日 |
日数は一般的な目安で、公証役場の予約状況や発起人の人数によって前後します【要確認】。定款認証の進め方は「定款認証の流れ5ステップを公証役場の予約から受取りまで解説」を参照してください。
注意したいのは申請期限です。発起設立の場合、設立時取締役等による調査が終わった日と、発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内に申請します。この期限は申請書の受付日(休日特例を使う場合は直前の開庁日)が基準なので、払込を早く済ませすぎると希望日より前に期限が来ることがあります。起算日の考え方は「設立登記の期限2週間の起算日と過ぎた場合の対応方法」で解説しています。
設立日を選ぶときの判断材料
設立日の選び方に決まりはありません。ここではよく検討される材料を紹介します。
縁起・記念日
大安や一粒万倍日などの暦、創業者の誕生日、事業の記念日を選ぶ人もいます。これらの日が土日や祝日にあたる場合でも、前章の特例を使えば指定登記日として設立日にできる場合があります。
事業年度の長さ
第1期は設立日から定款で定めた事業年度の末日までです。設立日が決算月に近いと第1期が短くなり、設立から間もなく最初の決算・申告を迎えることになります。
法人住民税の均等割の月数
均等割は事務所を置いていた月数で月割計算し、1か月に満たない端数は切り捨てます(全体が1か月未満の場合は1か月)。4月1日設立・3月決算なら12か月、4月15日設立なら11か月として計算されます。
事業年度や税金への影響は会社の状況によって異なるため、具体的な判断は税理士などの専門家に確認しましょう。
希望日から外れるケースとその後の扱い
申請後に書類の不備が見つかっても、補正で直せる範囲であれば受付日は変わらず、設立日は当初の申請日(または指定登記日)のままです。補正の連絡が来たときの対応は「設立登記で補正の連絡が来たら?対応手順と却下の回避」にまとめています。
一方、申請を取り下げて出し直した場合は、再申請の受付日が設立日になります。郵送の遅延、オンラインでの送信時刻超過、書類がそろわず申請日を後ろにずらした場合も同様に、実際の受付日が設立日です。一度登記された設立日を後から変更することはできません。
設立日から始まる手続きの期限一覧
設立日が決まると、設立後に必要な各種届出の期限も設立日を基準に動き始めます。設立後すぐに必要なものも多いので、よく確認しておきましょう。
届出 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 年金事務所 | 適用事業所となった日から5日以内 |
労働保険 保険関係成立届 | 労働基準監督署 | 従業員を雇った日の翌日から10日以内 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 開設から1か月以内 |
法人設立届出書 | 税務署 | 設立日から2か月以内 |
特に、登記の期限が2週間なのに対し、社会保険は5日以内と短い点に注意が必要です。
設立後の手続き全体は「会社設立後にやること13項目|提出期限の早見表つき」、登記申請の全体像は「会社設立登記の申請方法における提出先と2週間の期限を解説」、設立の流れ全体は「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」でも確認してください。