バーチャルオフィスで会社設立できる?本店住所登記の注意点

会社設立の事前準備
投稿日:2026.10.20
バーチャルオフィスで会社設立できる?本店住所登記の注意点

バーチャルオフィスの住所を本店所在地として株式会社を設立することは、会社法上、禁止されていません。会社法は本店の所在地を定款に記載することになっていますが、バーチャルオフィスの住所が禁止されているということはありません。

ただし、登記できることと、その住所で事業を進められることは別の問題です。宅建業・建設業・古物商などの許認可では、事務所や営業所に求められる要件が業種ごとに定められています。契約するバーチャルオフィスが法人登記に使えるかどうかも、サービスによって異なることがあります。

この記事では、設立前の確認事項、許認可への影響、銀行口座や郵便物で確認する点、後から本店を移す場合の登記について解説します。

本店の所在地の登記と、事業を進められるかは別の確認になる

本店の所在地は、定款の絶対的記載事項です。設立登記では本店の所在地も登記され、登記簿に記載されて公開されます。バーチャルオフィスの住所を本店とする場合も、書き方は通常の住所と同じです。


定款には、市区町村までの記載にとどめ、番地やビル名・部屋番号は発起人の決定で定める方法もあります。住所の記載については後述する参考記事もご覧ください。


次の2点は、登記とは別に確認します。


  • 同じ住所に、同じ商号の会社がすでに登記されていないか(同一の所在場所での同一商号は登記できません。
  • 許認可、銀行口座、郵便物の受取など、その住所で必要になる条件を満たせるか


自宅や賃貸物件を本店にする場合の注意点は本店所在地の住所の決め方、自宅や賃貸を使う場合の注意点を解説で整理しています。代表取締役の自宅住所を登記簿に載せたくない場合の手続きは、代表取締役の住所を非表示にする方法、設立時の申出を解説で解説しています。本店の所在地は、この非表示の対象とは別に登記されます。

契約前に確認する項目チェックリスト

バーチャルオフィスの契約は、サービスごとに内容が異なります。契約前に次の項目を確認します。

契約書・利用規約

  • ▢ 「法人登記に使える」と明記されているか
  • ▢ 最低契約期間と、途中解約時の違約金
  • ▢ 住所を本店として登記した後に、利用を止められる条件はないか

郵便物・届出書類

  • ▢ 郵便物の転送の頻度、方法、費用
  • ▢ 書留、本人限定受取、大型の荷物の受取ができるか
  • ▢ 行政機関からの通知が届いてから手元に着くまでの日数

設立後の変更

  • ▢ 将来、本店を移す場合の登記の費用(後述)
  • ▢ 管轄の法務局での類似商号の事前調査

本店住所の許認可への影響

許認可が必要な事業を予定している場合は、設立前に、所管窓口で事務所の要件の概要を確認します。


業種

要件の概要

バーチャルオフィスの可否

宅地建物取引業

「住所(所在地)が登録されているだけ」では認められず、継続的に業務を行える実体と独立性が必要

住所貸しのバーチャルオフィスや、フリーアドレスのシェアオフィスは「独立した専用の空間」がないため不可

建設業

登記上の住所を置くだけではなく、実際に建設工事の請負契約を締結する実体のある営業所が必要

居住用のみや「住居限定」の賃貸、バーチャルオフィスは不可

古物商

壁や扉などで明確に区切られており、業務ができる、保管場所のスペースがあること

保管の物理的なスペースがないためバーチャルオフィスは不可

労働者派遣・有料職業紹介・士業

他社や関連会社と完全に同居・区画されていない、またはプライバシーや個人情報が適切に管理できる構造であること

専用の執務スペースを持たないバーチャルオフィスの住所のみでは不可


上記のとおり、バーチャルオフィスは専用の執務スペースはないため、許認可においては要件を満たせないことがあります。

ただし、バーチャルオフィスだから許可が出ない、あるいは出る、とは一概に言えません。許可の可否は、各制度の要件を満たす事務所の実態があるかどうかで判断されます。事務所の実態が要件を満たさない場合に、本店とは別に営業所を設ける方法が認められるかどうかも、制度ごとに異なります。

銀行口座・融資・補助金・取引先の審査

金融機関や取引先は、会社の所在地や事業の実態を確認することがあります。審査の基準は公表されていないため、バーチャルオフィスであることだけで可否が決まるとは言えません。


事業の内容を説明できる資料(事業計画書、ウェブサイト、契約書、見積書など)は、審査の際に説明を求められる場面に備えて、設立前から整えておくことができます。補助金や助成金は、公募要領に「事業所の所在地」や「実体のある事務所」の要件が書かれている場合があるため、申請前に要件の文言を確認します。


設立の段階では、資本金の払込みを発起人個人の口座で行うのが一般的です。払込みの方法は資本金の払込方法とは?払込証明書の作り方と見せ金・預け合いのリスクも解説で説明しています。

郵便物と届出の受取

設立後は、税務署、年金事務所、法務局など、行政機関からの通知が本店の所在地に届きます。バーチャルオフィスでは、郵便物が転送されるまでに日数がかかることがあるので期限がシビアな転送がある場合は注意しましょう。


設立後の手続きには、期限の短いものがあります。たとえば社会保険の届出は、事実が発生した日から5日以内という、登記の2週間より短い期限です。届出先と期限の一覧は会社設立後にやること13項目|提出期限の早見表つき、社会保険の手続きは会社設立後の社会保険の手続き|5日以内の期限に注意で解説しています。


設立後に本店住所を移転するとき

バーチャルオフィスから別の住所へ移るなど、本店を移した場合は、本店移転の変更登記を申請します。変更登記は変更から2週間以内の申請が必要です。


管轄の法務局が変わる移転では、旧本店所在地の法務局あてと新本店所在地の法務局あての、2通の申請書を作成します。法務局の案内で、旧本店所在地の法務局を経由して申請する形が示されています。提出先は旧本店所在地の管轄法務局です。


登録免許税は、同じ法務局の管轄内の移転で3万円、管轄が変わる移転で6万円(旧所在地分と新所在地分で各3万円)とされています【要確認】。設立時に、移転の可能性を見込んで費用を把握しておくこともできます。変更登記の進め方は設立後に必要な変更登記|役員変更・本店移転の進め方で整理しています。


設立前に決める項目の全体は会社設立前に決めること10項目の印刷できるチェックリスト、設立手続き全体の流れは株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用でまとめています。


今すぐ変更登記手続きを始める