株式会社の設立登記に必要な書類は、誰でも一律というわけではありません。
①発起人が個人か法人か
②取締役会を設置するかどうか
③現物出資があるかどうか
という3つの条件によって、用意すべき書類の種類や通数が変わります。
この記事では、まず全ケースに共通する必要書類を整理したうえで、3つの条件ごとに「何が増えるのか」を早見表で確認できるようにまとめました。あわせて、法務局のホームページで配布されている申請書様式・記載例のリンクも掲載しています。
株式会社設立の必要書類一覧。設立ケース別の早見表つきで解説
会社設立の必要書類 投稿日:2026.10.01
株式会社設立に共通して必要な書類
発起人が1人・現物出資なしのもっともシンプルなケースでも、最低限、以下の書類が必要です。
書類名 | 内容・入手先 |
|---|---|
定款 | 会社の基本規則。公証役場で認証を受ける(電子定款も可) |
株式会社設立登記申請書 | 法務局に提出する申請書本体。 |
収入印紙貼付台紙 | 登録免許税(資本金の0.7%または最低15万円)分の収入印紙を貼付 |
発起人の決定書(発起人の同意書) | 本店所在地や株式発行事項など、定款に記載がない事項を発起人全員の合意で決めたことを証する書面。 |
設立時代表取締役を選定したことを証する書面 | 発起人(取締役会設置会社では設立時取締役)による決議書 |
就任承諾書 | 設立時取締役・代表取締役・監査役に就任することを承諾する書面。 |
印鑑証明書 | 就任承諾書に押した実印について市区町村長が発行するもの。 |
本人確認証明書 | 印鑑証明書を添付しない役員(監査役など)の住民票記載事項証明書等 |
払込みを証する書面(払込証明書) | 出資金の払込みがあったことを証明する書面。 |
資本金の額の計上に関する証明書 | 資本金の額の計算根拠を示す証明書。金銭出資のみの場合は原則不要 |
印鑑届書 | 会社の実印(代表印)を法務局に届け出る書面。 |
委任状 | 司法書士など代理人に申請を依頼する場合のみ必要 |
なお、定款に本店の番地まで記載していない場合は「本店所在地及び資本金決定書」が別途必要になります。
ここからは、この基本セットに加えて「何が変わるか」を3つの軸で確認していきます。
軸①発起人が個人か法人かで変わる書類
発起人に法人が含まれる場合、その法人の実在と代表権を証明する書類が追加で必要になります。
書類名 | 発起人が個人の場合 | 発起人が法人の場合 |
|---|---|---|
発起人自身の印鑑証明書 | 定款認証時に必要 | 発起人法人の代表者印について、法人の印鑑証明書が必要 |
発起人法人の登記事項証明書 | 不要 | 必要(作成後3か月以内。申請書に会社法人等番号を記載すれば添付を省略可) |
定款認証時の資格証明書 | 不要 | 必要(登記事項証明書で兼用可) |
株式会社の取締役には個人しかなれないため、法人発起人が経営に関与する場合でも、役員に就任するのはその法人が指名した個人(職務執行者など)になります。発起人決定書や就任承諾書の記名も、法人発起人の場合は「代表者名+役職」で行う点に注意が必要です。
軸②取締役会を設置するかどうかで変わる書類
取締役会を設置するかどうかで、就任承諾書と印鑑証明書が必要な人数が変わります。
書類名 | 取締役会を設置する会社 | 取締役会を設置しない会社 |
|---|---|---|
就任承諾書 | 設立時取締役・設立時代表取締役・設立時監査役(置く場合)それぞれの分が必要 | 設立時取締役(代表権を持つ人)の分が必要 |
印鑑証明書 | 設立時代表取締役の分のみ | 設立時取締役全員の分(各自が会社を代表するため) |
代表取締役の選定を証する書面 | 設立時取締役による取締役会議事録(決議書) | 発起人の決定書、または就任承諾書内の記載を援用 |
取締役会設置会社では、決議書の中で就任承諾の記載と実印の押印を済ませることで、就任承諾書の添付を省略できるケースもあります。詳しい書式は後述の法務局リンクから確認できます。
軸③現物出資の有無で変わる書類
金銭のみの出資であれば不要な書類が、不動産や有価証券などを出資する「現物出資」の場合は追加で必要になります。
書類名 | 金銭出資のみの場合 | 現物出資がある場合 |
|---|---|---|
調査報告書及びその附属書類 | 不要 | 必要(会社法第28条の変態設立事項に該当するため) |
財産引継書 | 不要 | 必要 |
資本金の額の計上に関する証明書 | 原則不要 | 必要 |
検査役の調査報告書・弁護士等の証明書 | 不要 | 現物出資財産の総額が500万円を超える場合などに必要 |
現物出資財産の総額が500万円以下で、かつ弁護士・不動産鑑定士等の証明を受けている場合は、検査役の調査を省略できます。
早見表で自分のケースを確認する
次の3つの質問に答えると、自分が用意すべき書類が確認できます。
発起人に法人は含まれますか?
→含まれる場合は【軸①】の「発起人法人の登記事項証明書」などが追加
取締役会を設置しますか?
→設置する場合は監査役分も含めた就任承諾書一式、設置しない場合は取締役全員分の印鑑証明書が必要
金銭以外の財産を出資しますか?
→出資する場合は【軸③】の調査報告書・財産引継書などが追加
3つとも「いいえ」(個人発起人・取締役会なし・金銭出資のみ)であれば、記事冒頭の「共通して必要な書類」だけで手続きが完結します。一般的な起業ではたいていこのケースに当てはまるでしょう。
法務局の様式・記載例のリンク一覧
法務局のホームページ「商業・法人登記の申請書様式」では、以下の様式・記載例が無料で配布されています。記載例には、発起人の同意書・決議書・就任承諾書・払込証明書・資本金の額の計上に関する証明書・委任状などの文例もあわせて掲載されています。
書類 | 法務局の様式・記載例 |
設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立) | |
設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立) | |
発起人の同意書/設立時取締役選任及び本店所在場所決議書/設立時代表取締役選定決議書/就任承諾書/委任状 | 上記の各記載例(PDF)内に文例を掲載(会社の実情に合わせて作成) |
調査報告書・財産引継書(現物出資がある場合) | 上記の各記載例(PDF)内に文例を掲載 |
資本金の額の計上に関する証明書(株式会社設立の場合) | |
印鑑届書 |
※印鑑証明書・住民票・登記事項証明書は、法務局や市区町村の窓口・オンラインサービスで取得する「証明書」であり、記入用の様式は配布されていません。