取締役会は設置すべき?機関設計の選び方を比較表で解説

会社設立の事前準備
投稿日:2026.10.30
取締役会は設置すべき?機関設計の選び方を比較表で解説

取締役会を置くかどうかは、設立前に決める機関設計の論点の一つです。取締役が3人未満なら置けず、3人以上であれば置くかどうかを選べます。置く場合は監査役などの追加の要件があり、置かない場合とでは取締役の人数・代表取締役の決め方・株主総会の権限が変わります。

「置くかどうか」は設立後に変更もできますが、定款の変更と変更登記が必要になります。設立時に迷いやすい理由として、設置の有無によって取締役の人数、監査役、決議の方法がまとめて変わり、全体像が見えにくい点があります。

この記事では、会社法が定める機関設計の組み合わせ、取締役会設置会社と非設置会社の比較表、設立時に増える書類、条件別の要件、監査役の扱い、設立後の変更について解説します。

機関設計とは?株式会社で選べる組み合わせ

機関設計とは、株式会社にどのような機関(意思決定や監督を担う仕組み)を置くかを決めることです。


まずすべての株式会社に必要なのは、株主総会と取締役の2つだけです。そのほかに、取締役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人などを、定款の定めによって置くことができるようになっています。


株式の譲渡に会社の承認が必要な非公開会社(株式譲渡制限会社)では、「取締役のみ」「取締役+監査役」「取締役会+監査役」「取締役会+会計参与」といった組み合わせがあります。会計参与は、取締役と共同して計算書類を作成する機関で、税理士などが就任します。取締役会設置会社は原則として監査役が必要ですが、非公開会社が会計参与を置く場合は不要です。

なお、株式に譲渡制限を付けない公開会社は、取締役会の設置が必須です。

取締役会設置会社と非設置会社の比較表

非公開会社で、取締役会を置く場合と置かない場合の主な違いは次のとおりです。


項目

取締役会を置かない

取締役会を置く

取締役の人数

1人以上

3人以上

監査役

任意

原則必要

代表取締役

定めなければ各取締役が代表

取締役会で選定

業務の決定

取締役の過半数

取締役会の決議

株主総会で決議できる事項

会社に関する一切の事項

法令と定款に定める事項に限る

招集通知の方式

書面や電磁的方法は不要

書面または電磁的方法が必要


取締役の任期は、取締役会の有無にかかわらず原則2年で、非公開会社は定款で最長10年まで伸ばせます。任期の決め方は「取締役の任期は10年でいい?設立時の人数と任期の決め方」で解説しています。


ここまでの内容から「パターンが多すぎてわかりづらい」と感じる方もいるかもしれません。ですが、一般的な創業パターンである「オーナーが一人社長として設立する株式譲渡制限のある会社」であればほとんどの項目は自ずと決まってきますので、それほど心配する必要はありません。

機関設計で変わる設立時の書類と手続き

法務省の「株式会社設立(発起設立)の手順」によると、取締役会設置会社の場合は、設立時取締役を3人以上選任し、設立時代表取締役を設立時取締役の中から、その過半数で選定します。監査役を置く場合は、設立時監査役も選任します。


取締役会を置かない場合、設立時代表取締役は発起人の互選などで定めることができます。定めなければ、設立時取締役の全員が設立時代表取締役になります。


書類面では、役員が増えるほど就任承諾書などが人数分に増え、取締役会設置会社では代表取締役の選定の書面や監査役の就任承諾書も加わります。法務局の設立登記の申請書様式も、取締役会設置会社と非設置会社で別々に用意されています(法務局:株式会社の設立登記の申請書様式)。


定款認証の手数料にも、機関設計が関わります。認証手数料の区分には、資本金の額や発起人の構成のほか、取締役会の設置有無が条件に含まれるものがあります。条件の詳細は定款認証の手数料は?1.5万円になる条件を資本金で解説を参考にしてください。

条件別に見る機関設計の要件

設立時の人数や株式の設計によって、選べる機関設計は決まります。


条件

取締役会

根拠・補足

取締役が1人または2人

置けない

取締役会設置会社は取締役3人以上が必要

取締役が3人以上

置くかどうか選べる

置く場合は監査役か会計参与が必要

株式に譲渡制限を付けない

必ず置く

公開会社は取締役会が必須(327条1項1号)

監査役会を置く

必ず置く

監査役会設置会社は取締役会が必須(327条1項2号)


たとえば、夫婦2人で取締役になる設立では、取締役が3人に満たないため取締役会を置けません。友人3人が取締役になる設立では、置くことも置かないことも選べます。ただし置く場合は、取締役のほかに監査役または会計参与の就任が必要で、就任承諾書などの書類も増えます。

監査役は必要か

監査役は、取締役の職務執行を監査する機関です。取締役会設置会社では原則として必要ですが、取締役会を置かない会社では任意です。任期は原則4年で、非公開会社は定款で最長10年まで伸ばせます。また、非公開会社(監査役会設置会社と会計監査人設置会社を除く)は、定款で監査役の権限を会計に関するものに限定できます。


必要かどうかは会社の構成や出資者の状況で異なるため、判断に迷う場合は司法書士や弁護士などの専門家に確認してください。

設立後に機関設計を変える方法

取締役会の設置や廃止は、設立後に変更できます。ただし、定款の変更が必要で、株主総会の特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成)を経ます。取締役会設置会社である旨は登記事項のため、変更日から2週間以内に変更登記を申請します。登録免許税などの費用もかかります。


設立時にどちらを選んでも、のちの変更は可能です。ただし、取締役会を置く間は、取締役3人と監査役などの人数を維持する必要があります。定款変更の手続きは定款変更が必要になる場面・手続きと登記申請が必要なケースで詳しく解説しています。

機関設計の判断のヒントとなる記事

判断材料は、取締役の人数(3人未満では置けない)、監査役や会計参与の確保、株式の譲渡制限の有無、意思決定の方法(取締役会の決議になり、株主総会の決議事項は限定される)、設立書類の増減、の5点です。設立後は、定款変更と変更登記でどちらにも変更できます。


機関設計が決まったら、定款の記載事項に進みます。定款の全体像は「株式会社の定款の作り方・記載事項の全項目とひな形を解説」、設立前に決める項目の全体は「会社設立前に決めること10項目の印刷できるチェックリスト」で確認できます。会社設立全体の流れは会社設立ガイドを参考にしてください。


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