会社の設立登記は郵送でも窓口への持参でも申請できます。法務局の窓口が開いている時間に行けない場合でも、本店所在地を管轄する登記所宛てに申請書一式を郵送すれば受理されます。
ただし、宛先の登記所を誤ると受理されず、同封すべき書類が1つでも欠けていると後日「補正」の連絡が来ます。さらに、郵送の場合は会社の設立日の考え方も窓口申請と異なるなど細かいルールに注意が必要です。
この記事では、送付先となる管轄法務局(登記所)の調べ方、同封する書類の一覧、封筒の書き方と郵送方法、返信用封筒の要否、郵送時の設立日の扱いまで、郵送申請の実務を解説します。
設立登記は郵送で申請できる?送付先と同封物の一覧で解説
結論として、設立登記は郵送で申請できる
法務省によると、商業・法人登記の申請は郵送のほか、信書便等による方法でも差し支えないとされています。設立登記も商業登記の一種であるため、この取り扱いが適用されます。
申請書には、書類に不備があった場合に法務局から連絡をもらうため、連絡先(電話番号等)を必ず記載する必要があります。窓口に出向く時間が取れない人や、本店所在地と現住所が離れている人にとって、郵送申請は選択肢の一つになります。
なお、登記・供託オンライン申請システムを使ったオンライン申請という方法もありますが、郵送・窓口提出とは準備方法が異なります。
郵送先は「本店所在地を管轄する登記所(法務局)」
設立登記の郵送先は、会社の本店所在地を管轄する登記所です。管轄は法務局の公式サイトで公開されている管轄区域一覧で確認できます。
ここで注意したいのが、「商業・法人登記」の管轄区域と「不動産登記」の管轄区域が、同じ都道府県内でも一致しない場合があることです。
支局や出張所の多くは商業・法人登記の事務を扱っておらず、都道府県内の本局や一部の支局が広い範囲をまとめて管轄しているケースが珍しくありません。その県の中で商業・法人登記に対応している登記所が一箇所のみというケースもありえます。
不動産登記の管轄だけを確認して最寄りの出張所に郵送してしまうと、誤送付となり申請が受理されないため、必ず商業・法人登記の管轄区域で確認してください。
郵送時に同封する書類の一覧
発起設立で取締役会を置かない株式会社を例にすると、一般的に次の書類を同封します。
会社の機関設計や出資方法によって増減するため、詳しい組み合わせは株式会社設立の必要書類一覧で確認してください。
- 設立登記申請書
- 登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙
- 定款(公証役場で認証を受けたもの)
- 発起人の決定書(本店所在地や資本金額を定款とは別に決めた場合)
- 設立時取締役・設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役等の印鑑証明書
- 払込みがあったことを証する書面(払込証明書と通帳コピーなど)
- 印鑑(改印)届書
- 登記すべき事項を記録したCD-RやDVD-Rなどの記録媒体(またはOCR用紙)
収入印紙は登記申請書に直接貼らず、別紙の台紙に貼って申請書とホチキス留めするのが一般的です。定款や議事録などを複数の書類にまたがって綴じる際の製本方法や契印の押し方は、定款の製本のやり方で解説しています。
封筒の書き方と郵送方法
封筒の見える位置に「登記申請書在中」と朱書きすることが推奨されています。法務局には日々多くの郵便物が届くため、中身がひと目で分かるようにしておくと、担当者の処理もスムーズになります。
郵送方法は普通郵便でも差し支えありませんが、法務省の案内でも「できる限り到達の確認が可能な書留等」での送付が案内されています。実務では、追跡と対面受け取りができる書留やレターパックが使われることが多くなっています。
郵送方法 | 追跡確認 | 対面受け取り | 向いているケース |
|---|---|---|---|
普通郵便 | できない | できない | 郵送事故のリスクを許容できる場合 |
簡易書留 | できる | できる | 追跡と記録を残したい場合 |
レターパック | できる | プラスのみ可 | 全国一律料金で追跡を確保したい場合 |
収入印紙という金銭的価値のある書類を送るため、普通郵便よりも配達状況を確認できる方法を選んでおくと、万が一届かなかった場合の確認もしやすくなります。
返信用封筒は必要?原本還付と受領証の受け取りとは
設立登記の申請そのものには、返信用封筒は必須ではありません。ただし、次の2つの場面では返信用封筒(切手を貼付したもの)を同封するのが一般的です。
①印鑑証明書や住民票の写しなど、原本の提出を求められた書類について「原本還付」を受けたい場合です。原本と相違ない旨を記載した謄本(コピー)を添付したうえで、返信用封筒を同封すると原本が返送されます。
②登記受領後に交付される「受領証」を郵送で受け取りたい場合です。郵送希望の場合は申請時に申請書の写しを添付し、返信用封筒を同封しておくと手続きがスムーズです。
郵送の場合の会社設立日においては、到着した日が受付日になる
郵送申請で特に注意したいのが、会社の設立日の扱いです。設立登記の申請日は、書類が法務局に到着し、受付がされた日になります。投函した日や発送した日ではない点に注意してください。
希望する設立日がある場合は、配達日指定が可能な郵便方法を利用し、その登記所の業務日に届くよう調整する必要があります。土日祝日や年末年始など登記所の閉庁日を指定しても、実際の受付はその後の開庁日になります。
また、書類に不備があり補正が必要になった場合は、受付自体は当初の到着日のまま進むのが通常の取り扱いですが、記載内容や添付書類に誤りがあると、そもそも申請の体裁が整わず再提出を求められることもあるため、余裕を持った発送が安心です。設立日を厳密に指定したい場合は窓口提出のほうが確実です。
書類に不備があった場合も郵送で補正できる
申請書や添付書類に不備があった場合の「補正」も、郵送等ですることができます。法務省の案内では、当初の申請がオンライン申請・窓口申請・郵送申請のいずれであっても、補正は郵送で対応できるとされています。
登記所から電話等で補正の連絡がある際には、申請書の受付年月日と受付番号が伝えられるため、補正書にその番号を記載して提出します。訂正した書類をまるごと差し替える方法と、誤りの箇所だけを明記して正誤を伝える方法のどちらも可能です。
補正にどこまで時間がかかるかは申請内容によって異なるため、不安がある場合は設立登記を自分でやるのが不安な場合の3つの選択肢、申請全体の流れと期限は会社設立登記の申請方法などでも確認してください。