定款の製本のやり方を設立書類の綴じ方と契印の押し方で解説

会社設立の登記申請
投稿日:2026.10.21
定款の製本のやり方を設立書類の綴じ方と契印の押し方で解説

会社設立登記における定款や登記申請書が複数ページになる場合は、各ページの綴じ目に契印を押すか、製本テープで袋とじにして背表紙部分の1〜2か所にまとめるかのいずれかで製本します。ホチキスで左端を留めるだけでは、契印がない限り要件を満たさないことに注意が必要です。

どの書類の契印に誰の印鑑を使うか、押印そのものが不要な書類にまで契印を押していないかという区別は、条文を読んだだけでは判断しづらく、見落としやすいポイントです。他にも収入印紙に誤って割印や消印をしてしまうケースも見られます。

この記事では、定款の製本方法2パターン、登記申請書・添付書類の綴じ方、契印に使う印鑑の種類、訂正印の扱い、製本・契印の不備が補正につながるケースまで解説します。

製本・契印が必要になるのはどの書類?

製本と契印が必要になるのは、紙で提出する書類が複数ページにわたる場合です。


電子定款を選んだ場合、定款そのものはデータで公証役場に提出するため、紙への製本や契印は発生しません。一方、登記申請書や委任状、取締役会議事録などは紙で法務局に提出するため、ページ数が2枚以上になれば各用紙のつづり目に契印が必要になります。


契印が必要かどうかの基準は、押印そのものに法令上の根拠がある書類かどうかで決まります。押印が不要な書類(払込みがあったことを証する書面や株主リストなど)には、契印も不要です。この区別は後述の一覧表で確認できます。

定款の製本方法2パターン(各ページに契印/袋とじで1か所にまとめる)

紙の定款が複数ページになる場合の製本方法は、大きく2つあります。


①各ページの綴じ目に契印を押す方法です。ホチキスで左端を2か所留めたうえで、ページとページの境目すべてに発起人全員の実印を押します。発起人が3人いて定款が5ページなら、4か所の綴じ目それぞれに3人分の契印が必要になり、押し忘れが起きやすい方法です。




②製本テープで背表紙を作り、袋とじにする方法です。表紙と製本テープの境目、裏表紙と製本テープの境目の計2か所に契印を押せば、ページごとの契印は省略できます。ページ数が多い場合や発起人の人数が多い場合は、押し忘れを防げる袋とじのほうが実務上は選ばれやすい方法です。



なお、発起人の人数が多い、または発起人の一部が遠方に住んでいて1つの原本に全員で押印するのが難しい場合は、同じ内容の定款を発起人ごとに分けて作成し、それぞれが自分の分だけに押印する方法も実務上とられることがありますが、公証役場などによって運用が異なる可能性もあるため、提出前に管轄の公証役場へ確認してください。

登記申請書・添付書類の綴じ方と契印の位置

登記申請書も、2枚以上になる場合は各用紙のつづり目に契印が必要です。登録免許税を収入印紙で納める場合は、収入印紙を貼った台紙を申請書と一括して綴じ、そのつづり目に契印をします。収入印紙そのものに割印や消印をする必要はありません。


添付書類についても、押印に法令上の根拠がある書類だけが契印の対象になります。法務省が公開している商業・法人登記の押印要否の整理によると、押印が必要な書類には定款、取締役会議事録、取締役会を置かない会社の取締役の一致を証する書面、就任承諾書(取締役会設置会社は代表取締役分、非設置会社は取締役分)などが含まれます。一方、株主リストや資本金の額の計上に関する証明書、払込みがあったことを証する書面などは押印そのものが不要なため、契印も不要です。


書類

押印

契印(2枚以上の場合)

定款

必要(発起人全員の実印)

必要

登記申請書

必要(代表者の届出印)

必要

委任状(代理人がいる場合)

必要(届出印)

必要

取締役会議事録

必要

必要

就任承諾書(設置会社は代表取締役分)

必要

必要

払込みがあったことを証する書面

不要

不要

株主リスト

不要

不要


※法務省「申請書、各添付書面等の押印の要否について(商業・法人登記)」をもとに作成。書類の種類は代表的なものに絞っており、個別の設立パターンによって必要書類は変わります。

契印に使う印鑑の種類

契印に使う印鑑は、書類ごとに異なります。定款は公証役場に提出する書類なので、発起人全員の実印を使います。登記申請書は法務局に提出する書類なので、会社の実印を使います(登記申請合わせて印鑑登録も行うのが一般的です)。司法書士などの代理人が申請する場合は、委任状に代理人の印を押したうえで、代理人が申請書のつづり目に契印することもあります。


定款の契印と登記申請書の契印は、押す印鑑も提出先も別物です。定款は発起人の実印、登記申請書は会社の実印という違いを混同しないようにしてください。

訂正するときの訂正印の押し方

製本後に文字の誤りに気づいた場合、書類を作り直さずに訂正印で対応できることがあります。申請書その他の登記に関する書面の文字を訂正・加入・削除したときは、訂正印が必要です。訂正箇所に二重線を引いて正しい内容を余白に記入し、その近くに押印する方法が一般的です。


ただし、訂正印が必要になるのは、もともと押印に法令上の根拠がある書類に限られます。押印が不要な書類であれば、訂正印も不要です。なお、訂正箇所が多い場合や記載内容そのものに誤りがある場合は、書類を作り直したほうが補正のリスクを抑えられます。

製本・契印の不備が補正につながるケースと防ぐためのポイント

契印漏れや契印の印鑑違い(定款は発起人の実印、申請書は会社の実印という区別を取り違えるケースなど)は、法務局からの補正連絡につながりやすい不備です。収入印紙に誤って割印や消印をしてしまうケースも見られますが、収入印紙への割印・消印は不要なので、押さないよう注意してください。


製本・契印の不備に気づかないまま提出すると、法務局からの連絡を待って訂正し、再提出する時間がかかります。綴じる前に、書類ごとの押印・契印の要否を一覧で確認しておくと、不備を防ぎやすくなります。補正の連絡が来た場合の対応手順は設立登記で補正の連絡が来たら?対応手順と却下を防ぐ方法で解説しています。


設立登記の申請方法や提出先、2週間の期限については「会社設立登記の申請方法における提出先と2週間の期限を解説」でまとめています。


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