会社設立では発起人と設立時取締役の印鑑証明書が必要になります。
発起人は定款認証のために全員分の印鑑証明書が必要になり、設立時取締役は取締役会を置くかどうかで必要な人数が変わります。取締役会を設置する場合は、設立時代表取締役の印鑑証明書1通で足ります。
発起人と取締役は1人が兼ねるケースが多く、「同じ人なのに何通必要なのか」で迷いがちです。印鑑証明書の提出先は公証役場(定款認証)と法務局(登記申請)の2か所に分かれるため、兼任している人でも通数の数え方に注意が必要です。取締役会の有無で対象範囲が変わる点も注意が必要です。
この記事では、発起人・設立時取締役・設立時代表取締役それぞれに必要な印鑑証明書の通数と、兼任時の数え方、取得時の注意点をケース別に整理します。
会社設立の印鑑証明書は誰の分が何通必要?一覧で解説
印鑑証明書とは?ひな形と記載事項を確認
印鑑証明書は、市区町村に登録した印鑑(実印)について、氏名・住所・生年月日と登録された印影を市区町村長が証明する書類です。会社設立の手続きで必要になるのは、発起人や設立時取締役に個人として発行される印鑑証明書であり、会社の実印(代表印)を登録して取得する「会社の印鑑証明書」とは別のものです。
なお、会社の印鑑証明書は、設立登記が完了したあとに法務局で取得できるようになります。
会社設立で印鑑証明書が必要になる2つの場面
会社設立の手続きで印鑑証明書を提出する場面は、次の2つです。提出先も対象者も異なるため、混同しないように整理しておきます。
場面 | 提出先 | 対象者 | 通数の目安 |
|---|---|---|---|
定款認証 | 公証役場 | 発起人全員 | 発起人1人につき1通 |
設立登記の申請 | 法務局 | 設立時取締役(取締役会設置会社は設立時代表取締役のみ) | 対象者1人につき1通 |
定款認証は会社の設立準備の早い段階、登記申請は書類がすべて整った最後の段階で行うため、印鑑証明書を用意するタイミングも2回に分かれます。
発起人の印鑑証明書は全員分が必要
定款認証では、発起人全員の印鑑証明書が必要です。発起人が複数いる場合は、1人につき1通ずつ、公証役場に提出します。書面の定款に発起人本人が実印を押す場合はもちろん、代理人に手続きを委任する場合も、委任状に発起人本人の実印を押し、その印鑑証明書を添付する必要があります。
発起人本人が公証役場に出向いて電子署名により定款認証を行う場合は、マイナンバーカードの署名用電子証明書で本人確認を行うため、紙の印鑑証明書が不要になるケースがあります。書面の定款に押印する場合や、代理人に委任する場合は、発起人全員の印鑑証明書が必要になる点は変わりません。
設立時取締役の印鑑証明書は取締役会の有無で必要範囲が変わる
登記申請で必要な印鑑証明書の範囲は、取締役会を設置するかどうかで変わります。
機関設計 | 印鑑証明書が必要な人 | 他の役員に必要な書類 |
|---|---|---|
取締役会を設置しない | 設立時取締役の全員 | なし(全員が印鑑証明書の対象) |
取締役会を設置する | 設立時代表取締役のみ | 他の設立時取締役・設立時監査役は住民票記載事項証明書などの本人確認証明書 |
取締役会を設置しない会社は、代表取締役を選定していても、設立時取締役全員の印鑑証明書が必要です。一方、取締役会を設置する会社では、設立時代表取締役以外の設立時取締役・設立時監査役は、実印や印鑑証明書ではなく、住民票の写しなど氏名・住所が確認できる本人確認証明書で足ります。
兼任する場合の通数の数え方
発起人と設立時取締役を1人が兼ねる場合、印鑑証明書は「発起人としての1通」と「設立時取締役としての1通」を別々に用意します。提出先が公証役場と法務局に分かれているため、同じ人物でも合計2通が必要になる、と考えると数えやすくなります。
例1:発起人1名がそのまま代表取締役に就任し、取締役会を設置しない場合
発起人としての印鑑証明書1通(公証役場に提出)+設立時取締役としての印鑑証明書1通(法務局に提出)合計2通となります。
例2:発起人2名(夫婦)がともに設立時取締役に就任し、取締役会を設置せず、夫のみを代表取締役に選定する場合
発起人の印鑑証明書は夫婦それぞれ1通ずつで合計2通(公証役場)。設立時取締役の印鑑証明書も、取締役会非設置のため夫婦それぞれ1通ずつで合計2通(法務局)。夫婦それぞれが発起人分1通・取締役分1通の合計2通を用意することになり、全体では4通です。
例3:発起人3名で取締役会を設置し、代表取締役1名のみを選定する場合
発起人の印鑑証明書は3名分で合計3通(公証役場)。登記申請に必要な印鑑証明書は設立時代表取締役の1通のみ(法務局)。他の設立時取締役2名は印鑑証明書ではなく本人確認証明書で足ります。合計は発起人3通+代表取締役1通の4通です。
印鑑証明書を取得するときの注意点
有効期限に注意
印鑑証明書には有効期限があります。会社設立の手続きで提出する印鑑証明書は、いずれも発行から3か月以内のものを用意します。定款認証・登記申請のどちらも先に取得しすぎると期限切れになるため、他の書類の準備状況にあわせて取得のタイミングを調整しましょう。
印鑑証明書の取得方法
個人の印鑑証明書は、実印を登録している市区町村の窓口で取得できるほか、マイナンバーカードを持っていれば全国のコンビニエンスストアのマルチコピー機からも取得できます。まだ実印の登録(印鑑登録)をしていない場合は、印鑑証明書の取得より先に、住民登録をしている市区町村で印鑑登録を済ませておく必要があります。
発起人・役員のケース別必要通数
ケース | 発起人の印鑑証明書 | 登記申請に必要な印鑑証明書 |
|---|---|---|
発起人1名=取締役会非設置・代表取締役 | 1通 | 1通(本人) |
発起人2名(兼任・取締役会非設置) | 2通 | 2通(それぞれ) |
発起人3名・取締役会設置・代表取締役1名 | 3通 | 1通(代表取締役のみ) |
印鑑証明書は、発起人か設立時取締役か、取締役会を設置するかどうかで必要な範囲と通数が変わります。印鑑証明書以外にどのような書類が必要になるかは、ケース別の早見表を掲載している、株式会社設立の必要書類一覧も参考にしてください。