自分で商号変更(社名変更)登記をする方法

商号変更
投稿日:2024.09.30
自分で商号変更(社名変更)登記をする方法

会社の経営主体の変更や事業活動の方針変更に伴い、社名を変更するケースがあります。こうした際には、登記上の商号を変更する必要があります。

この商号変更登記は、司法書士へ手続きを委任する方法もありますが、自分自身で商号変更登記を行うことも可能です。
本記事では、自分で商号変更登記をする方法について解説します。

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商号変更(社名変更)登記とは?

商号変更とは

商号と聞くとあまり耳なじみがない方もいると思いますが、会社法(以下「法」)では商号とは会社の名称のことをいうものと定められています(法第6条第1項)。

また、株式会社の場合には、商号に「株式会社」という名称を用いる必要があります(法第6条第2項)。

そのため、商号変更とは「〇〇株式会社」という名称を「株式会社△△」という名前へ変更するケースがこれに当たります。

商号変更登記とは

商号は、会社の登記事項です。そのため、商号を変更するにあたっては変更登記を行う必要があります(法第915条第1項)。商号変更登記手続きとはこの手続きのことをいいます。

なお、後述するように商号は定款の記載事項でもあります(法第27条第2号)。商号変更登記にあたっては、こうした点も影響するため押さえておきましょう。

商号変更について、目的別の変更の事例や商号に使える文字のルールなどについては以下の記事も参考にしてください。
関連記事:商号変更(社名変更)とは?登記申請の手続き方法を解説

商号変更登記に必要な手続き

自分で商号変更登記を行うには以下の手続きが必要となります。

・株主総会の招集手続きと決議
・株主総会議事録の作成
・登記申請書・添付書類の作成
・商号変更登記の完了を確認

それぞれ手続きの流れを説明します。

株主総会の招集手続きと決議

前述の通り商号は定款の記載事項となっています。そのため、商号変更登記を行うにあたっては定款変更を行う必要があり、定款変更は株主総会の特別決議により行われます(法第309条第2項第11号)。

したがって、最初に株主総会の招集手続きを行う必要があります。株主総会の招集手続きは、公開会社・非公開会社の別、取締役会設置の有無、により手続きが異なります。

また、定款変更を行うための株主総会決議は、特別決議です。そのため、定款で別段の定めを置く場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数以上が出席し、三分の二以上の株主の賛成が必要となります(法第309条第2項)。

通常決議の場合と比較して決議要件が重い点には注意が必要です。

定款変更と株主総会については、以下の記事もご参照ください。
関連記事:定款を変更する場合は株主総会での決議が必要です

株主総会議事録の作成

株主総会の決議が完了したら、次は株主総会議事録の作成が必要です(法第318条第1項)。議事録へ以下の事項について記載する必要があります。

・株主総会が適法に開催されたことを示す情報(開催日時や株式・株主、出席役員、決議要件を満たしていること)
・変更後の商号や決議内容の概略
・有効に決議されたこと

なお、株主総会議事録は商号変更登記手続きの際の添付書類となるため、記載内容は正確にしておく必要があります。

株主総会議事録の記載例は次のとおりです。



商号変更登記の際の株主総会議事録の記載については、次の記事もご参照ください。
関連記事:会社の商号変更(社名変更)における株主総会議事録の書き方

登記申請書・添付書類の作成

株主総会議事録の作成と並行して進める必要があるのが、登記申請書や添付書類の作成です。商号変更登記には以下の書類が必要となります。

・登記申請書
・株主総会議事録
・株主リスト

株主リストについては、以下の事項を記載します。
・株主の氏名又は名称
・住所
・株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)
・議決権数
・議決権数割合

そして、リスト記載の対象となる株主は、以下のとおりです。
・議決権数上位10名の株主
・議決権割合が2/3に達するまでの株主

株主リストの詳細については以下の記事もご参照ください。
関連記事:商業登記(会社変更登記)の申請時に添付する株主リストとは

商号変更登記の完了を確認

自分で登記を行う場合には、商号変更登記が完了したことを確認する必要があります。商号変更完了の確認は登記事項証明書を請求し、記載された商号が申請したものと一致しているかを確認することでできます。

自分で商号変更登記をする場合の申請書の記載例

商号変更登記を自分で行う場合には、登記申請書を自身で作成する必要があります。申請書への記載については法務局にテンプレートがあるため、以下では法務局のテンプレートを例に解説します。



上記のテンプレートからわかるように、申請書に記載すべき事項としては、

  1. 会社法人等番号
  2. 変更前の商号とフリガナ
  3. 変更後の商号とフリガナ
  4. 本店住所
  5. 登記の事由の記載(商号の変更)
  6. 登記すべき事項:新商号、原因年月日を記載


を記載することになります。なお、この書式はあくまでも例であり、内容について必要事項の記載がされていれば他の書式を用いても問題ありません。

ただし、登記手続きは申請書類に不備があれば、修正ややり直しが必要となるため、必要事項の記載漏れをなくすという観点からは基本的には上記の書式に従って作成する方が無難といえます。

自分で商号変更登記を行う場合の注意点

自分で商号変更登記を行う場合には以下の点に注意して行いましょう。

登録する商号の表記は正しく記載する

当たり前のことのように思われるかもしれませんが、商号は登記したものが正式な商号となります。そのため、登録する商号がアルファベットなのかそれともカタカナなのかといった点を正しく登記することは非常に重要です。

申請書類と添付書類で商号の記載が一致していない場合には書類の不備とされる可能性が高いため、二度手間になることを避けるためにも注意しましょう。

商号の文字については以下の記事もご参照ください。
関連記事:商業登記(会社変更登記)の商号に使用できる文字や英数字、記号、住所記載方法などのルール

目的変更登記を同時にする必要がないか確認しておく

商号の変更が事業内容の変更や合併などの組織変更に伴うものである場合、会社の目的事項の変更が必要となるケースがあります。

こうした場合、目的事項の変更と商号変更を別々に行うと登録免許税が3万円ずつの合計6万円が必要となります。

これに対して同時に行った場合には3万円で済むために、必要な場合には同時に行う方がお得に手続きを進めることができます。

こうした目的事項変更登記が必要なのかといった点については、自分で手続きを行う場合、司法書士などのアドバイスを受ける機会がないため見落としがちです。会社の事業内容に変更が生じるようなケースではしっかりと確認をしておきましょう。

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「どの書類を用意したらいいのかわからない」
「書類にどの印鑑を押印をしたら良いのかわからなかない」

など登記手続きに関する知識がないと調べるだけでも何時間もかかってしまうものです。

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GVA 法人登記で作成できる株式・合同会社の商号変更登記の書類

※申請状況により、一部作成されない書類がございます。
〈株式会社〉

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 印鑑届書


〈合同会社〉

  • 登記申請書
  • 総社員の同意書
  • 印鑑届書


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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