有限会社の商号変更とは?登記申請方法と必要書類、費用を解説

商号変更
投稿日:2024.09.05
有限会社の商号変更とは?登記申請方法と必要書類、費用を解説

有限会社(特例有限会社)の商号変更は、会社にとって重要な意思決定事項です。商号変更の際には、会社内の手続きと登記申請の2つの段階を踏む必要があり、それぞれに要件があります。

本記事では、特例有限会社の商号変更と手続きの流れ、必要書類、費用について、詳しく解説していきます。特例有限会社の商号変更を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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有限会社(特例有限会社)の商号(社名)変更とは

特例有限会社の商号変更には、決められた手続きが必要になります。ここでは、特例有限会社の商号変更について解説します。

商号(社名)は会社設立時に定められ、登記事項証明書に記載される

商号(社名)は、会社設立時に定款に定められます。会社が商号を変更することを、法律上は「商号変更」といいますが、「名称変更」や「事業者名変更」などと呼ばれることもあります。

定められた商号は、会社設立後に登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されます。この登記簿謄本は、会社の基本的な情報が記載された公的な文書としてさまざまな手続きにおいて閲覧されます。

商号の変更には登記申請が必要

一度定めた商号を変更することは可能ですが、正式な手続きを踏まなければなりません。社長の思いつきだけで勝手に商号を変更することはできませんので、注意しましょう。

具体的には、商号を変更するために、まず会社内で法律に定められた決議(株主総会)を行わなければなりません。株主総会にて商号変更の決議がなされたら、登記申請の手続きを行うことで、登記簿謄本上の商号が変更されたことになります。登記申請では、形式上、「定款に記載されている商号を変更する」手続きになります。

商号変更後は、速やかに登記申請を行わなければなりません。法律では、商号変更後2週間以内に登記申請することが定められていますので、期限に注意してください。

「特例」有限会社とは?

2006年に会社法が施行されたことにより、それまで存在していた「有限会社」という会社形態を新規に設立することはできなくなりました。会社法施行以前からあった有限会社は「特例有限会社」となり、株式会社の一種として存続することが認められています。特例有限会社は、商号として引き続き「有限会社」と名乗ることも認められています。

「特例有限会社の商号変更による株式会社設立」との違いに注意

ここまで、商号変更について解説しましたが、混同しやすい手続きとして、特例有限会社から通常の株式会社への変更があります。この手続きは、登記申請においては「商号変更による株式会社設立」と呼ばれており、一般的な商号(社名)変更とは異なる手続きとなります。

  • 一般的な商号変更:会社の種類(有限会社、株式会社など)はそのままで、社名だけを変更する手続き
  • 商号変更による株式会社設立:特例有限会社から通常の株式会社へと、会社の種類そのものを変更する手続き


両者は、目的が異なり、手続きの内容が大きく変わってくるので、注意しましょう。

特例有限会社における商号変更の手続き

特例有限会社が商号変更を行う際に必要な手続きは、大きく会社内の手続きと登記申請の2つに分かれます。それぞれの手続きの詳細を見ていきましょう。

一つ目は、会社内での定款変更手続きで、商号を変更する際に必要となります。もう一つは、商号変更の登記申請で、法務局に登記申請を行う必要があります。

①会社内での商号変更の手続き(決議)

まず、会社内の手続きとして、「定款に記載されている商号を変更する手続き」を行わなければなりません。

この定款変更には、株主総会の決議が必要です。2006年の会社法施行以前は、有限会社の場合は社員総会の決議でしたが、現在は特例有限会社も株式会社の一類型となったため、株主総会の決議が必要となっています。株主総会を開催し、商号変更に関する決議を行ったあと、議決内容を記した議事録を作成します。

②法務局に変更登記を申請する 

会社内で、株主総会での決議、議事録の作成が完成したら、法務局への登記申請を行います。登記申請では、登記申請書を作成し、必要書類とともに提出します。

商号変更の場合、変更後2週間以内に登記申請を行うことが法律で定められています。期限を過ぎてしまうと、手続き上の問題が生じる可能性がありますので注意しましょう。

登記申請は、株主総会議事録や定款の変更部分を記載した書面などの必要書類も準備のうえ、自分で登記申請書を作成して行うことができます。専門知識が必要な登記申請であることから、司法書士に依頼して手続きを代理してもらうことが一般的です。また登記申請時には登録免許税の納付も必要となります。

特例有限会社の商号変更登記の必要書類

登記申請を円滑に進めるために、特例有限会社の商号変更登記を行う際に必要となる書類について、詳しく解説します。

登記申請の必要書類

特例有限会社の商号変更の登記申請には、次の書類が必要です。

  • 登記申請書:商号変更の内容を記載した申請書です。法務局に提出する際のメインの書類となります。
  • 株主総会議事録:商号変更を決議した株主総会の議事録です。商号変更が適正な手続きを経て行われたことを証明できます。
  • 株主リスト:商号変更時点での株主全員の氏名や住所を記載したリストです。
  • 委任状(司法書士に委任する場合):登記申請を司法書士に委任する場合、委任状が必要です。会社から司法書士への委任内容を明記します。
  • 定款の変更部分を記載した書面:商号変更に伴う定款変更の内容を記載した書面です。変更前と変更後の商号を明記します。
  • 登録免許税納付用台紙:登録免許税を貼付する書面です。
  • 登記簿謄本:現在の会社の状況を公的に証明する書面です。商号変更前の会社の状況を示すために、登記申請時に必要となる場合があります。


商号変更の書式(テンプレート)は法務局Webサイトでも配布されている

登記申請書は、所定の用紙が準備されているのではなく、自分で作成して申請します。申請書の様式と記載例は、法務局のホームページでダウンロードできますので、必要に応じてご利用ください。Webサイトでは、次のようなテンプレートを入手できます。

<申請書の様式> ダウンロードはこちら



※出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式 1-11株式会社変更登記申請書(商号の変更)【R3.2.15更新】」

<記載例> ダウンロードはこちら



※出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式 1-11株式会社変更登記申請書(商号の変更)【R3.2.15更新】」

申請書には、現在の商号(旧商号)と新商号を記載し、登記の事由を商号の変更とします。登記すべき事項には、「新しい商号」と「原因年月日」の2点を記します。記載例のように、別紙で記しても構いません。

特例有限会社の商号変更にかかる費用

特例有限会社が商号変更を行う際にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。費用の内訳と、一般的な相場について詳しく見ていきましょう。

商号変更の登記申請にかかる費用

特例有限会社の商号変更の登記申請には、次の費用がかかります。

  • 登録免許税:登記申請の際に必要な税金です。商号変更の場合、原則として3万円の登録免許税がかかります。
  • 交通費や郵送費:登記申請のために法務局に出向く場合は交通費が、郵送で申請する場合は郵送費がかかります。これらの費用は、会社の所在地と法務局の位置関係などで変わります。
  • 司法書士への報酬:登記申請を司法書士に依頼する場合、その報酬が必要です。報酬額は依頼内容の複雑さや司法書士事務所によって異なりますが、おおよそ数万円程度です。


これらを合計すると、特例有限会社の商号変更の登記申請には、およそ6〜10万円前後の費用がかかることになります。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、実際の費用は状況によって変動します。特に、司法書士への報酬は事務所によって大きく異なる可能性があります。

商号変更を検討する際は、これらの費用も考慮に入れておく必要があります。費用や手続きの手間を考えて、司法書士に依頼するかどうかを判断するとよいでしょう。

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〈株式会社〉

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 印鑑届書


〈合同会社〉

  • 登記申請書
  • 総社員の同意書
  • 印鑑届書


〈有限会社〉

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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