社名には漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットの使用が可能ですが、どれを使えばいいのでしょうか。頻繁に変えるわけにもいきませんので、後から不備の生じる社名にしてしまうのは避けたいですよね。
本記事では商号変更時の社名の考え方や、文字の使い分けによるメリット・デメリットについて説明していますので、商号変更の際にご参考ください。
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商号において、以前は使える文字の制約があった
現在は、社名に漢字・ひらがな・カタカナ・アラビア数字・アルファベットの使用が認められていますが、以前は、アルファベット・アラビア数字の使用が認められていませんでした。アラビア数字とは(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9)のことです。使用の認められていたカタカナも、ャュョァィゥェォの使用は認められておらず、登記上はヤユヨアイウケオに置き換えていたそうです。(例:株式会社ジャパンタイムズ→株式会社ジヤパンタイムズ)
このように以前は制限がありましたが、現在は漢字・ひらがな・カタカナ・アラビア数字・アルファベットの使用が認められており、一部の記号「&」(アンパサンド)「’」(アポストロフィー)「,」(コンマ)「-」(ハイフン)「.」(ピリオド)「・」(中点)の使用も認められています。
昔の社名に漢字が多かった理由
一昔前の社名に漢字が多かった理由は上記の文字制限が理由です。現在アルファベットやアラビア数字の使用が認められたことにより、漢字からアルファベットへ商号を変更する企業が多く存在します。以下の例があります。
- (旧商号)ティーディーケイ株式会社 → (新商号)TDK株式会社
- (旧商号)株式会社ワウワウ → (新商号)株式会社WOWOW
- (旧商号)ケイディーディーアイ株式会社→ (新商号)KDDI株式会社
カタカナからアルファベットに社名を変更する理由
上記のような背景もあり、カタカナからアルファベットに社名を変更する会社が増えました。
その理由は会社によって様々だと思いますが、そもそもアルファベットの使用が認められていなかったので、仕方なく登記上はカタカナで登記していたパターンが多いようです。使用可能になったので、もともと使用したかったアルファベットに商号変更をしたという流れのようです。
もう一つの理由としては、単純にカタカナだと読みづらい、覚えづらいなどの理由があったようです。確かにカタカナで長い社名だと覚えにくく、インパクトにかけるかもしれませんね。
ちなみに文字制限が掛けられていた頃もあくまでも制限は登記上のみであったので、表記上やロゴはアルファベットを使うこともありました。
商号(社名)変更時の社名は漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットどれが良い?
この記事をお読みになっている方の中には、自社の商号変更(社名変更)を検討されているかもしれません。どの種類の文字を使おうか悩んでいる方はそれぞれの特徴を把握しておきましょう。
商号変更に漢字を使う場合
漢字を商号に使っている会社は以前に比べかなり減っています。前述したとおり漢字からカタカナ・アルファベットへの商号変更の例は非常に多いです。これは商号変更時だけではなく、会社設立時も同じことが言え、漢字を使う数は少なくなっているようです。
漢字は他の文字と比べて覚えにくいのと硬いイメージがあるようです。例えば「シャープ株式会社」の以前の商号は「株式会社早川金属工業研究所」でした。旧商号だと覚えにくい印象があります。どうしても漢字を使用したいと考えている場合は短めにしたり、特徴的な漢字を用いた社名が適切かもしれません。
例えば、「株式会社伊藤園(旧商号:ロンティア製茶株式会社)」のようにカタカナから漢字へ商号変更をした例もあります。伊藤園といえば誰もが知っている茶製品、清涼飲料水メーカーです。「お茶=和=漢字」というイメージ的な戦略、漢字3文字という覚えやすさなどから、漢字の商号で成功している企業と言えます。
商号変更にひらがなを使う場合
商号にひらがなを使っている企業も多く存在します。ひらがなを使うメリットとしては、やわらかいイメージがある、誰でも読めて覚えやすいなどのメリットがあります。社名がひらがなで有名な企業といえば、「株式会社しまむら」などがあります。子供向けのサービスを展開している企業などは、ひらがなを使用することにより子供に覚えてもらえるなどのメリットもありますので、自社のサービス次第ではひらがなの使用を検討すると良いかもしれません。
商号変更にカタカナを使う場合
最近はカタカナの商号の会社は一般的ですが、片仮名の場合は文字数によって検討が必要です。
前述の通り、長いカタカナ表記は読みにくく覚えづらいイメージがあります。また、社名を表記するスペースの問題もあります。例えば紙媒体などはスペースが限られており、商品の紹介にあてたいスペースを社名の記載に使用しなければならなくなります。短いカタカナ社名で、一目で意味を理解できる場合は問題ありませんが、読まないと理解できない程度の長さになってしまうなら他の表記を検討してもよいかもしれません。
商号変更時にアルファベットを使う場合
現在使用されることの多いアルファベットですが、実は大きなデメリットがあります。どんなデメリットがあるかというと、「社名を見ただけではどんな事業を営んでいる会社か分からない」ということです。
例えば〇〇製紙・〇〇印刷などは社名を見ただけで事業内容が明確で分かりやすいメリットがありますが、アルファベットにしていまうと社名から事業内容を把握することができません。この点が大きなデメリットとなります。
また、現在はインターネットでの情報収集が盛んですが、社名に事業内容が入っていると「検索で引っ掛かる」メリットがありますが、アルファベットの社名ではほぼ引っ掛かることはありません。その点でもデメリットとなります。
逆に覚えやすい、自社ブランディングしやすいなどのメリットもあります。また、アルファベットを使用することで、日本人に限らず海外の人にも覚えてもらいやすいという最大のメリットがあります。
BtoCの事業だったり、海外へのサービス展開を視野に入れている場合は社名にアルファベットを使用することにより、より多くの人に覚えてもらえることに繋がります。
自社の事業内容に沿った社名にすることが大事
漢字・ひらなが・カタカナ・アルファベットそれぞれのメリット・デメリットを説明しましたがいかがでしたでしょうか。
社名として最も伝えたいことを含めつつ、和を強調したいのであれば漢字、子供向けならひらがな、海外を視野に入れるならアルファベットなどと、社名で表現することの優先度を確認しながら決めることが重要です。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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