会社名を変更する手続きは、法律上は「商号変更」と呼びます。「社名変更」とも同じ意味です。
ただ、この商号変更にどんな手続が必要なのか、よく知らないという方も多いのではないでしょうか?商号を変更したときには登記申請をする必要がありますが、意外に知られていないのが登記申請の前に必要な準備です。
本記事では株式会社が商号変更する場合に、事前にどんな手続が必要かについて解説します。
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商号変更に必要なステップ
大きく分けると会社の商号変更では以下のステップが必要になります。
①どんな商号(社名)に変更するかを決める
まずはどんな社名にするかを決めます。社名を変更する背景はさまざまで、M&Aなどに伴いグループで社名を統一するために必要になるケースから、ブランディングを意識して全く新しい社名にするケースなどさまざまです。
商号変更の理由や例についてはこちらの記事もご参考ください。
関連記事:商号変更をする理由とは?5タイプの社名変更の事例から目的を紹介
②定款を変更するための株主総会を開催する
会社名は会社設立時に作成する定款内に記載されています。定款に記載された項目を変更するためには、株主総会での特別決議が必要になります。
③商号変更について登記申請する
株主総会で決議したら、変更した商号を登記申請します。
登記申請書に加え、株主総会の議事録や株主リストなどを添付し、法務局に申請します。
申請後、内容や添付書類に問題がなければ、変更が登記簿に反映されます。この時点で第三者も商号変更が確認することができます。
④商号変更に伴い各種の変更作業をする
このステップは厳密には商号変更ではありませんが、会社名の変更は社内外のさまざまな影響があります。取引先への連絡やホームページの更新などはもちろん、税務署や年金事務所、労働基準監督署への変更手続き、金融機関や公共料金への変更手続きなどさまざまです。
商号変更後の手続きについては以下のページでまとめていますので参考にしてください。
関連記事:商号変更後に必要な手続きとは?
商号変更の登記申請の前には定款変更が必要です
商号変更の登記申請前に必ず必要になるのが上記②にあたる定款変更です。なぜなら商号(社名)は必ず定款に記載されているからです。
定款に記載が必ず必要な事項を「絶対的記載事項」と呼び、商号(社名)の他に目的や本店所在地などがあります。商号変更以外でも定款の変更が必要になる場合があるので注意しておきましょう。
定款は会社のさまざまな決め事を記載しておく書類で、会社を設立するときに作成します。この定款の中に、社名はもちろん所在地や役員の員数や任期などさまざまなルールが記載されています。
商号変更では、この定款内に記載されている商号を変更することになります。
以下は法務局のWebサイトで配布されている、株式会社の設立登記申請書内の定款部分のサンプルです。
定款変更が決議されることで、新しい商号になります。商号変更の登記申請時は、登記申請書に加え、商号変更のための定款変更が正しく決議されたことを示す各種書類(株主総会議事録や株主リストなど)を添付して法務局に申請します。
定款変更には株主総会での特別決議が必要です
定款を変更するには、株主総会での特別決議が必要です。
株主総会は以下のステップで行われます。
- 取締役会で株主総会の開催を決定(取締役設置会社の場合)
- 株主総会の招集通知を発送
- 株主総会の開催(書面または電磁的記録によるみなし決議も可能)
- 株主総会で決議したことの議事録を作成
議事録には主に以下が記載されます。
- 株主総会で決議された事項の内容
- 株主総会の決議日(決議があったとみなされた日)
- 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
※議事録のテンプレートは法務局のWebサイトからダウンロードできるのでご参考ください。
以下は株主総会議事録のサンプルになります。
商号変更の登記申請書に、株主総会の議事録や株主リストを添付して法務局に申請します。
商号変更をしたら忘れずに登記申請を行いましょう
商号変更は、会社の意思決定の中でも大きな意味を持つものだけに、確実な登記申請が必要です。また、変更後はWebサイトや名刺の修正など、影響範囲が大きく対応に追われがちになるという特徴もあります。
商号変更の決定後に登記申請するには、司法書士に報酬を支払って依頼するか、自分で時間をかけて申請書類を作成する必要があります。どちらにしても発生頻度を考えると、効率化するのが難しい業務です。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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