合同会社から株式会社への組織変更とは?メリットや検討すべきタイミングを解説|GVA 法人登記

合同会社の基礎知識
投稿日:2026.01.19
合同会社から株式会社への組織変更とは?メリットや検討すべきタイミングを解説

「合同会社(LLC)としてスタートしたが、事業拡大に伴って株式会社への移行を考えている」 「組織変更をすると、これまでの実績や契約はどうなるのか?」

コストを抑えて設立できる合同会社は近年人気ですが、成長の過程で「株式会社」への転換が必要になる局面が訪れます。本記事では、合同会社から株式会社への「組織変更」の本質的な意味から、具体的な手続きの流れ、判断基準までを詳しく解説します。

目次

法人変更登記申請に必要な書類の作成方法

組織変更の解説の前に、法人変更登記の書類作成方法をご紹介します。重要なのでご確認ください。

変更登記申請に必要な書類作成には「GVA 法人登記」の利用など主に4つの方法があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、自分に向いている申請方法をご確認ください。

①法務局の申請書テンプレートを利用

法務局で公開されている無料のテンプレートを利用して、自分で書類作成から申請までをおこなう方法です。費用がかからないメリットがある半面、専門的な登記知識を必要とします。一か所でも間違えると補正が入りますので、利用の際は注意が必要です。

②オンラインサービスの「GVA 法人登記」を利用

オンラインで必要書類が自動作成できるサービスです。登記知識を必要とせず、画面の案内に従うだけで書類が作成できます。最短7分・費用5,000円~と、時間と費用を極力抑えて効率よく登記申請したい方におススメです。

③法務局のオンラインサービス「登記ねっと」を利用

法務局のオンラインサービスを利用する方法です。オンラインで書類の作成から申請までできるメリットがありますが、ソフトウェアのインストールや電子証明書の事前準備が必要です。また、UIが複雑なため、初心者の方には難易度の高い方法です。

④司法書士に依頼

登記知識がなくても相談しながら勧められる、丸投げできるなどのメリットがあります。ただし、安くはない手数料(専門家報酬)の支払いが必要なので、費用を抑えたい方にはおすすめしません。また、依頼先の選定や複数のやりとりなど、時間的な手間が多少かかります。

それぞれの方法を表にまとめましたのでご確認ください。

比較項目

①法務局テンプレート

②登記ねっと

③GVA 法人登記

④司法書士

難易度

非常に高い

非常に高い

低い

非常に低い

手間

専門知識が必要

操作が難しい

画面に従うだけ

丸投げできる

所要時間の目安

数日以上

登記知識による

最短7分

やりとりが必要

費用の目安

0円

0円

5,000円~

数万円〜

そもそも会社の「組織変更」とは何か?

法律用語としての「組織変更」は、会社法に基づき、会社の法人格(同一性)を維持したまま、その種類を切り替える手続きを指します。
今回のケースでは、持分会社(合同会社など)から株式会社へと形態を変えることを意味します。最大のポイントは、「新しい会社を作るわけではない」という点です。

「解散・新設」との決定的な違い

もし一度合同会社を解散し、新たに株式会社を設立しようとすると、それは「別法人」扱いとなります。しかし、組織変更であれば以下のものがそのまま引き継がれます。

  • 法人番号: 変更されません。
  • 契約関係: 銀行口座、オフィス賃貸、取引先との契約、雇用契約などは原則としてそのまま維持されます。
  • 許認可: 原則承継されますが、行政庁への「届出」が必要なケースや、業種によっては再申請に近い手続きが必要な場合もあるため事前の確認が重要です。
  • 資産・負債: 不動産の名義や借入金もそのまま引き継がれます。


なぜ合同会社から株式会社へ組織変更するのか?主な目的と背景

合同会社から株式会社へ組織変更する経営者の多くは、単なる「名称の格好良さ」ではなく、ビジネス上の明確な「壁」を突破するためにこの決断をします。

  • 外部資金調達(VC・投資家)への対応: ベンチャーキャピタルや投資家から出資を受ける場合、株式の概念がない合同会社では対応できず、株式会社であることが事実上の条件となります。
  • 社会的信用力と取引条件: 大手企業や公共事業の入札において、相手方の与信基準で「株式会社」が求められるケースがあります。
  • 採用ブランディング: 求職者にとって「株式会社」という名称が持つ安心感は、優秀な人材を確保する上での強みになります。


合同会社から株式会社への組織変更の具体的な手続きの流れ

合同会社から株式会社への組織変更は、法律で定められた厳格なプロセスが必要です。最短でも約1.5ヶ月〜2ヶ月程度の期間がかかるため、計画的な実施が求められます。

STEP1:組織変更計画書の作成

まず、組織変更の条件(商号、目的、本店所在地、発行可能株式総数、役員の氏名など)を記載した「組織変更計画書」を作成します。

STEP2:総社員の同意

合同会社の全ての社員(出資者)から、組織変更計画に対する同意を得る必要があります。一人でも反対があると組織変更は成立しません。

STEP3:債権者保護手続き(重要)

株式会社に変わることで会社の財産状況が変化する可能性があるため、会社にお金を貸している人(債権者)を守る手続きが必要です。

  • 官報公告: 国の機関紙である官報に「組織変更すること」を掲載します。
  • 個別催告: 会社が把握している債権者に対して、個別に通知を送ります。 ※公告と催告の後、1ヶ月以上の異議申し立て期間を設けることが法律で義務付けられています。

STEP4:登記申請

異議申し立て期間が終了した後、法務局へ登記申請を行います。

  • 「合同会社の解散登記」
  • 「株式会社の設立登記」 この2つを同時に申請することで、正式に株式会社としての効力が発生します。


合同会社から株式会社へ組織変更手続きを行う3つの方法

組織変更の書類作成や申請には、主に以下の3つのルートがあります。自社の状況(予算や手間、確実性)に合わせて選択しましょう。

① 司法書士に依頼する

最も一般的で確実な方法です。

  • メリット: 個別事情に合わせた相談ができ、書類作成から法務局への申請まで代行してもらえるため、経営者の手間が最小限で済みます。
  • デメリット: 登録免許税などの実費に加え、数万円〜10万円程度の報酬支払いが発生します。

② オンラインサービスを利用する

近年増えている、画面の指示に従って入力するだけで書類が自動生成されるWebサービスです。
GVA 法人登記では現在、組織変更登記には対応しておりません。

  • メリット: 司法書士に依頼するよりも費用を抑えられ、かつ自分で一から書類を調べる手間を省けます。24時間自分のペースで作業が可能です。
  • デメリット: 基本的に申請(法務局への郵送や持込)は自分で行う必要があります。また、特殊なケース(複雑な定款内容など)には対応していない場合があります。

③ 自分で書類作成から申請まで行う

法務局の雛形などを参考に、全ての書類を自力で作成する方法です。

  • メリット: 専門家報酬やサービス利用料がかからず、法廷費用(登録免許税等)のみで済みます。
  • デメリット: 非常に手間がかかります。特に組織変更は「解散」と「設立」の書類を同時に準備し、債権者保護の手続きもミスなく進める必要があるため、不備があると補正(差し戻し)になり、予定していた組織変更日に間に合わないリスクがあります。


合同会社から株式会社へ組織変更するメリットとデメリット

組織変更は運営上の義務やコストも変化します。両面を正しく理解しておく必要があります。

メリット

  • 資金調達手段の多様化: 株式発行やストックオプションの導入が可能になります。
  • 経営と所有の分離: 出資者と経営者を分けることができ、より組織的なガバナンスが構築できます。
  • 上場(IPO)が可能になる: 日本の証券市場へ上場するための前提条件をクリアできます。

デメリット

  • 決算公告の義務化: 毎年、官報などで決算を公表する義務が生じ、その費用が発生します。
  • 役員の任期制限: 最長でも10年ごとに役員の選任・登記が必要になります。
  • 運営ルールの変化: 出資比率に応じた意思決定という株式会社特有のルールに従うことになります。


合同会社から株式会社へ組織変更を検討すべきタイミング

  1. 外部からの出資を具体的に検討し始めたとき: 投資契約の前に完了させておくのが理想です。
  2. 従業員数が増え、組織化を強めるとき: 採用力強化やストックオプション導入を検討する時期です。
  3. 大手企業との大型契約や入札を控えているとき: 相手方の信頼を最大限に高める必要があるタイミングです。


最適なタイミングで合同会社から株式会社への組織変更を検討しましょう

合同会社から株式会社への組織変更は、単なる名称変更ではなく、「会社の器を大きくする手続き」です。

現在の実績や契約を維持したままアップデートできる点が最大の利点ですが、債権者保護手続きのように物理的に時間がかかるステップも含まれます。自社の事業計画(ロードマップ)を照らし合わせ、最適なタイミングで準備を開始することが重要です。

自社の成長において、今の「合同会社」という枠組みが制約になっていると感じたら、それが組織変更を検討すべき最良のサインかもしれません。

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