株式会社の代表者は「代表取締役」という肩書になりますが、合同会社の代表者は代表社員という肩書になります。合同会社では他にも「業務執行社員」や「職務執行者」など、あまり聞き馴染みのない肩書が用いられます。
この記事では、合同会社における代表者員、業務執行社員、職務執行者の役割やそれぞれの違いをご紹介します。
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合同会社の代表社員とは?
まずは、合同会社の代表である代表社員について、その役割・業務内容や責任について解説します。
合同会社における「社員」とは?
合同会社における「社員」とは、その合同会社の所有者である地位にある人を指します。株式会社でいうところの「株主」です。一般的に、社員というと会社の従業員や正社員をイメージしますが、合同会社の「社員」は会社の持主、つまり会社に出資した人物を指します。
会社の持主が出資の対価として株式を取得する株式会社と異なり、合同会社をはじめとする持分会社(合同会社以外には合資会社と合名会社があります)では、出資の対価として持分を取得します。
株式会社は法令の仕組上、会社の所有と経営の分離が確保されていますが、合同会社では社員自身が経営に携わるため所有と経営が分離されていません。そのため、合同会社における「社員」は、出資しながら経営業務も行うことになります。
もちろん、会社所有者としての「社員」以外にも、従業員を雇用することは可能です。
代表社員は合同会社の代表者
代表社員は、合同会社の代表であり、株式会社でいうところの代表取締役です。代表取締役と異なり、「社員」である以上は必ず会社へ出資をしています。
会社の代表者であり経営者ですから、労務管理の対象とはならず労災保険や雇用保険といった労働者のための労働保険や社会保険も対象外です。
原則として、合同会社において業務を執行する社員は、各自が持分会社を代表します(会社法599条1項、2項)。ただし、定款で、業務を執行する社員の中から代表社員を定めることができ(会社法599条3項)、定款の定めがある場合は定められた者のみが代表社員となります。代表社員は、会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為の行為をする権限を有します(会社法599条4項)。
定款で代表者の代表権に制限を加えることも認められていますが、制限を加えられていることを知らない取引先等の第三者に対しては意味をなしません(会社法599条5項)。第三者からすれば、代表社員という肩書からすれば完全な代表権を有していると信じ代表権に制限がかけられているとは疑わないのが通常の商慣習なので、このような第三者の信頼を保護するためです。
代表社員が自らの職務執行について他人の権利を侵害する不法行為を行ってしまった場合、合同会社も損害賠償責任を負います(会社法600条)。代表社員は合同会社の代表ですから、職務上の代表社員の不法行為=合同会社の不法行為とみなされるのです。
代表社員になると、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)に氏名と住所が記載されます。
法人が代表社員となることもできますが、この場合は後述の職務執行者を選任する必要が
あります。
職務執行者を設置するケース
合同会社の「社員」は、法人でもなることが可能です。合同会社の「社員」は出資のみならず経営業務にも携わらなければなりません。そこで、法人が「社員」となった場合、業務を執行する「社員」としての職務を行うべき者、すなわち職務執行者を選任し、その職務執行者の氏名・住所を他の社員に通知する必要があります(会社法598条1項)。
通常、職務執行者は「社員」となった法人の取締役・理事・使用人の中から選任されます。職務執行者は、経営業務を行う権限はありますが代表社員と異なり代表権を持つわけではありません。
代表社員と、株式会社における代表取締役との違い
株式会社の代表である代表取締役は、会社へ出資していない人が選任されるケースもあります。株式会社では所有と経営が分離されているので、株主から経営を任された地位にあるのが代表取締役です。
合同会社では、代表社員は定款などで定められますが、必ずしも選任しなければならないものではありません。この場合は、業務を執行する社員各自が合同会社を代表します。株式会社でいうところのオーナー社長(株主でもあり代表取締役でもある)のイメージに近く、従来の有限会社に近い点もあります。
合同会社の業務執行社員とは?
合同会社では、業務を執行する社員(業務執行社員)を定款で定めることもできます。ここでは、業務執行社員の役割をご紹介します。
業務の執行に責任を持つ社員
合同会社をはじめとする持分会社では、業務を執行する社員(業務執行社員)を定款で定めることができ、この場合の業務執行の決定プロセスは、業務執行社員の過半数をもって行うことが原則です(会社法591条1項)。
業務執行社員は、会社経営につき善良な管理者の注意をもって職務を行う義務(善管注意義務)を負い(会社法593条1項)、会社のために忠実に職務行う義務(会社法593条2項)を負います。さらに、競業避止義務や利益相反取引に関する規制(会社法594条、595条)にも服します。自らの職務を怠った場合は会社に対する損害賠償責任を負うほか、場合によっては第三者に対して損害賠償責任を負うこともあります。このように、株式会社における役員と同等の義務・責任を負うのが業務執行社員です。
業務執行社員を定款で定めた場合、業務を執行しない社員は、持分会社の業務および財産状況を調査する権限を有するのみとなります(会社法592条1項)。
業務執行社員は、株式会社でいうところの平取締役(代表取締役ではない取締役)に近いイメージです。業務執行社員の中から定款で代表社員を定めた場合、他の業務執行社員は代表社員とはなりません。そして、代表社員のみが代表権(合同会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限)を有することになります。
なお、業務執行社員は、登記事項証明書(登記簿謄本)に氏名のみが記載され、住所は記載されません。
業務執行社員と代表社員の違い
業務執行社員と代表社員は、どちらも合同会社の経営を行う権限と責任を有する点で共通しますが、異なる点もあります。ここでは、両者の違いを解説します。
代表権を持つかどうかが異なる
定款で代表社員が定められている場合、その代表社員が会社を代表し、他の業務執行社員は代表権を有しません。代表権は代表社員が持ちつつ、日常的な業務執行は業務執行社員が担うという役割分担となります。代表社員と業務執行社員の両方が定款で定められている会社では、代表と業務執行の役割が分担されているといえます。
代表社員・業務執行社員の変更には登記申請が必要
合同会社の代表社員・業務執行社員を変更した際は登記申請が必要です。ここでは、登記申請の流れや必要書類を解説します。
社員変更には登記申請が必要
合同会社の代表社員や業務執行社員は定款で定められ、会社の登記事項証明書にその氏名や住所が記載されています。そのため、社員の変更=登記事項証明書の記載内容の変更となりますから、社員の変更があった際は定款の変更と合わせて登記申請も必要になります。
合同会社の代表社員や業務執行社員は、株式会社でいうところの代表取締役・取締役・監査役といった「役員」に近いイメージですが、株式会社と異なり任期は存在しません。そのため、総会等の何らの手続を経なくとも長期間にわたり経営に携わることも可能です。
登記申請に必要な書類
基本書類となる登記申請書を作成し、法務局に申請します。登記申請書に加え、変更についての社員の同意書も必要になります。業務執行社員のみ同意で登記申請をする場合には、業務執行社員の同意があったことを証する書面を作成し法務局へ提出します。
登記申請は自分でも行えますし、手続きが難しかったり時間がなかったりする場合は専門家である司法書士へ依頼すればスピーディーに登記申請を進めてもらえます。なお、司法書士へ依頼する場合には司法書士への委任状も必要となります。
なお、法人を代表社員とする場合は上記に加え、代表社員である法人の登記事項証明書、職務執行者の選任に関する書面、職務執行者の就任承諾書も必要になります。
法人を業務執行社員とする場合は、その法人の登記事項証明書が必要です。
作成した登記申請書には登録免許税分の収入印紙を貼ります。登録免許税は30,000円~となりますから、決して安い費用ではありません。定款変更を繰り返すとそれだけ登録免許税の負担も増えますから、定款変更をする際は他にも変更を要する事項がないかよく確認し、他にも変更を要する事項があるのであればまとめて変更登記申請をしてしまうとよいでしょう。登録免許税の削減だけでなく、登記申請の手間や法務局へ足を運ぶ時間の節約にもつながります。
登記申請に必要な書類は法務局のホームぺージからダウンロードできます。記載例も掲載されていますから、これを参考にしながら登記申請書類の準備を進めるとよいでしょう。
合同会社の経営業務は会社の所有者が行うのが最大の特徴
株式会社と異なり、合同会社においては経営を行う「社員」は必ず会社へ出資して会社の所有者としても地位も有しています。「社員」の中でも会社の代表権を持つのが代表社員、代表権の有無に関わらず会社の業務を執行する権限と責任を有するのが業務執行社員です。
株式会社における代表取締役や監査役といった「役員」に近いイメージですが、大きな違いは、合同会社の「社員」は必ず会社へ出資しているという点です。会社へ出資しつつ経営も自ら行いたいと考える人にとって合同会社は使い勝手のよい制度といえます。
社員を変更した際には登記申請も必要ですから忘れずに法務局で登記申請を行いましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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