合同会社から株式会社に組織変更する際の流れを解説

合同会社の基礎知識
投稿日:2023.03.01
合同会社から株式会社に組織変更する際の流れを解説

現在、会社の多くは株式会社もしくは合同会社の形をとっています。合同会社の方が簡単に設立できますが、新しい会社形態ということもあり、一般的には株式会社の方が合同会社よりも信用性が高いと言われることが多いようです。

そのため、合同会社を設立した方の中には、何らかの理由で株式会社への変更を検討している方もいらっしゃるかもしれません。

株式会社に組織変更することで具体的にどのようなメリットがあるのか、組織変更するとして手続きはどうすればよいのでしょうか?本記事では、合同会社から株式会社へ組織変更するメリットや手続きの方法・費用を解説します。

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合同会社から株式会社へ組織変更するメリット

まずは、合同会社から株式会社へ組織変更することにどのようなメリットがあるのか紹介します。

社会的信用度が増す

合同会社は、平成17年に制定された会社法で新たに創設された会社形態です。制度自体が創設されてからまだ日が浅く、株式会社に比べると知名度は低いでしょう。

また、株式会社には決算を公告する義務(会社法440条)がありますが、合同会社に決算公告義務はありません。そのため、合同会社に対する世間からの信用度は決して高いとはいえません。

他方で、株式会社は既に世間に広く浸透しており認知度は抜群に高く、決算公告義務をはじめ法令の規制があり、どちらかというと信用度は高いといえます。特に大手企業や伝統的企業などの取引先や金融機関に対しては合同会社よりも株式会社のほうが信用度が高くなる可能性があります。許認可などの申請においても同様のメリットが考えられます。

株式会社を新規で設立するより費用が安い

株式会社を新たに設立する際は、資本金とは別に登録免許税等の費用が20万円以上かかってしまいます。他方で、合同会社であれば登録免許税等の費用は6万円程度に抑えられます。

合同会社から株式会社へ組織変更するための費用は10万円程度のため、まずは合同会社を設立し、その後で株式会社へ組織変更して株式会社となった方が総額としては費用を安く抑えられます。

合同会社は株式会社に比べ会社法等の法令の規制が強くないという点も合わせると、まずは合同会社を設立して事業が拡大してきたら株式会社へ組織変更するという方法も合理的でしょう。

株式上場が可能になる

合同会社は株式を発行できません。株式会社が株主からの出資の対価として株式を発行して資金を調達するのに対し、合同会社は社員からの出資の対価として会社の持分(株式ではありません)を渡すことになります。そのため、合同会社である限りは証券取引所へ株式上場することができません。

株式上場できれば多額の資金調達が実現できます。事業拡大やM&Aはもちろん、上場による会社の信用性向上、経営の安定化にもつながるでしょう。
将来的に株式上場も狙えるようになるという点は、株式会社へ組織変更する大きなメリットです。

合同会社から株式会社に組織変更する流れ

続いて、合同会社から株式会社へ組織変更する手続きの流れを以下の図に沿って紹介します。なお、組織変更は、会社分割や合併等の「組織再編」とは別物ですので区別しておきましょう。


組織変更計画の作成

まずは、組織変更計画を作成します。組織変更計画へ記載すべき事項は会社法746条に規定されています。

記載すべき事項の概要は下記のとおりです。

①組織変更後の株式会社の商号(会社名)
②組織変更後の株式会社の事業目的
③組織変更後の株式会社の本店所在地
④組織変更後の株式会社の発行可能株式総数
⑤その他定款で定めるべき事項
⑥組織変更後の株式会社の役員の氏名
⑦合同会社の社員が組織変更後に取得する株式数、株式の種類に関する事項
⑧合同会社の社員に金銭等を交付する場合はその額または算定方法
⑨組織変更の効力発生日

なお、組織変更計画書および登記申請書の書式(テンプレート)記載例は法務局Webサイトからダウンロードできます。リンク先は合名会社の例ですが、合同会社の場合もおおむね同様です。

総社員(出資者)からの承認

組織変更計画を作成したら、次に合同会社の出資者である社員から承認を得ます。
社員全員の同意が必要になりますので注意しましょう。

債権者保護手続

続いて、債権者保護手続を行います。
債権者保護手続とは、会社の組織変更を行う際に、自社の債権者の利益を保護する目的で、債権者が組織変更につき異議申立てができる機会を与える手続きです。

金融機関から融資を受けている場合は当該金融機関が債権者となりますので、組織変更する旨を官報に公告するとともに、個別に通知をする債権者保護手続を行わなければなりません。債権者がいない場合であっても、個別の通知は不要ですが官報への公告は必須です。

債権者保護手続の結果、債権者から異議申立てが出されなければ、次のステップに進みます。債権者から異議申立てが出された場合は、債権者に対し弁済や担保の提供を行う必要があります。

効力発生

組織変更計画につき全ての社員が承認し、債権者保護手続も完了したら、組織変更計画で定めた効力発生日に組織変更の効力が発生します。
組織変更の効力発生をもって、合同会社は株式会社になります。

登記申請

効力発生により株式会社になったことを公にする必要があります。この公にする方法が登記申請です。

組織変更後の株式会社の本店所在地を管轄する法務局で、①株式会社の設立登記、②合同会社の解散登記を同時に登記申請します。登記申請は組織変更の効力発生から2週間以内に行う必要がありますので注意しましょう。

登記申請に必要な書類

株式会社の設立登記と、合同会社の解散登記の申請に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類

登記申請においては、登記申請書を作成し、これに下記の書類を添付して法務局に提出します。

①組織変更計画書
②定款
③総社員の同意書
④代表取締役の選定に関する書面
⑤役員の就任承諾書
⑥代表取締役の印鑑証明書
⑦役員の本人確認書
⑧資本金の計上に関する証明書
⑨債権者保護手続を実施した証明書

登記申請書およびその他必要書類の書式(テンプレート)はこちら(法務局Webサイト)から、記載例についてはこちらからダウンロードできます。リンク先は合名会社の例ですが、合同会社の場合もおおむね同様です。

登記申請後の審査日数

登記申請後、法務局で審査されるため、登記が完了するまでおおよそ1週間程度かかります。
登記が完了したら、組織変更後の株式会社の登記簿謄本を取得できますので、忘れずに取得しておきましょう。

合同会社から株式会社に変更するための手続きの費用

最後に、合同会社から株式会社へ組織変更するための費用と時間をご紹介します。

合同会社から株式会社への変更手続きは2ヶ月程度かかる

組織再編計画の作成から登記が完了するまで、おおよそ2カ月間は必要です。特に、債権者保護手続においては最低でも1ヵ月は官報に公告しなければならず、その後も債権者から異議申立てが出されないか返答待ちの期間も必要になるため債権者保護手続には多くの時間が割かれます。

債権者から異議申立てが出された場合は弁済等を行わなければなりませんから、さらに期間は延びます。

合同会社から株式会社への変更手続き費用

合同会社から株式会社へ組織変更するために要する費用は下記のとおりです。司法書士など専門家に依頼する場合は、別途報酬が発生する場合があります。

①官報への公告費用 :3万5000円
②登録免許税(株式会社設立登記):3万円
③登録免許税(合同会社解散登記):3万円

株式会社への組織変更を有効活用しましょう

合同会社は、低コストで事業を開始できる反面、知名度の低さや規制の緩さから、どうしても信用度は低くなってしまいます。株式会社へ組織変更することで、金融機関や取引先からの信用度が向上でき、株式上場などの選択肢も持てるようになります。

ただし、上記のようなメリットがある反面、運営コストは上がります。得られるメリットとコストを勘案して、合同会社から株式会社への組織変更を経営の打ち手として活用しましょう。

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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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