合同会社の社員権とは?募集するメリットや注意点を解説

合同会社の基礎知識
投稿日:2024.02.13
合同会社の社員権とは?募集するメリットや注意点を解説

投資を事業の目的とする合同会社が社員権を販売し、多くの出資者を集めたものの、返金などがなされず訴訟になったというニュースを耳にしたことのある方はいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした行為は投資詐欺ではないのかとされている一方で、そもそも合同会社が自己募集する社員権を販売するという行為はどういった意味を持つのか、適法な行為なのかといった点に疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、合同会社の社員権について基礎知識から、募集するメリットや注意点などを解説します。

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合同会社の社員権とは?

合同会社の社員権の募集について解説する前に、まずは合同会社の社員権とは何かという点について解説します。

合同会社とは

合同会社とは、平成17年制定の会社法により導入された比較的新しい企業の形態です。

多数の株主から出資を受け事業を行う形態が想定されている株式会社と比較すると少人数の出資者で集まって出資者自身が事業を行う形態として設計された制度となっています。

株式会社と比べて設立費用が安くすむ点や、決算公告や定款認証が不要など手続き面で簡易な設計となっていることから個人事業主等がマイクロ法人として設立する際にも利用されています。

日本版LLCとも呼ばれており、AmazonやAppleなどの超大手外資系企業が日本法人として合同会社を設立している点も同制度の特徴といえるでしょう。

「合同会社の社員になる権利」を指す

社員権とは合同会社の社員になる権利のことをいいます。社員と聞くと一般的にはその会社の従業員としての地位をイメージされる方が多いのではないでしょうか。合同会社における社員とは、簡単にいうと出資者のことを意味します。

株式会社の場合には出資者といえば株主が典型例であり、合同会社における社員も出資者であるという点ではこれに近いものといえるでしょう。ただし、株主と違うのは株式会社において株主は出資を行うのみで、業務執行は取締役等の役員が行うという所有と経営が分離した形態が取られているのに対し、合同会社の社員は原則として業務執行を行う事が予定されている点です(会社法(以下「法」)第590条第1項)。

このように所有と経営が分離していない点が株式会社と合同会社を含む持分会社との違いです。
こうした社員としての地位の取得に伴い出資が必要となることから、この仕組みを利用して会社の資金調達や投資の方法としても用いられています。

資金調達や投資の勧誘を目的とするケースが多い

前述の通り、社員権はその仕組みから資金調達や投資の方法として用いられることが多く見られます。しかし、それは会社法上の仕組みだけでなく、その他にも理由があります。

株式などを発行し、不特定多数から資金調達を行う場合には原則として金融商品取引業の登録が必要となります。これに対して資金調達のために社員の募集を行う事は金融商品取引業の登録は原則として不要です。

社員権の募集の場合も新株発行の場合と同じく会社への出資を募るのが目的ですが、社員権の場合には金融商品取引業の登録が不要な点が大きなメリットとなります。

なお、このように会社が資金調達の目的で社員権を自己募集することは会社法や金融商品取引法に照らして違法ではないため、押えておきましょう。

違法と判断される可能性があることに注意

証券取引等監視委員会が令和4年6月21日に行った建議においても明確に示されているように、合同会社の社員権の取得勧誘を従業員が行うことについて金融商品取引業の登録は不要です。

ただし、合同会社の社員権募集は、本来一緒に事業を行う人間を募集することが前提です。そのため、事業を行わない者が投資のみの目的で社員となることは、本来の制度趣旨とはずれており、現状はグレーゾーンといえます。

合同会社の社員権を販売し投資を募った事例で大きな被害が出ていることから将来的には投資を目的とした社員権の販売自体が違法とされる可能性があります。

実際に、金融庁は証券取引等監視委員会より金融商品取引業の登録が必要な範囲を拡大するなどを求める建議がなされたことを踏まえ、合同会社等の使用人(従業員)による社員権の取得勧誘の適正化を図るため、社員権の発行者に関する内閣府令の見直しを行い、令和4年10月3日より施行されています。

この改正により、合同会社等の社員権については、取得勧誘に業務執行社員以外の者が関与するときは、取得勧誘が業として行うものと認められる場合には、金融商品取引業の登録が必要となるとされています。このように合同会社の社員権販売については事後的に法制度が変わる可能性が高く非常にリスクが高いといえるでしょう。

現時点では、合同会社の社員権を販売することは違法ではありませんが、グレーゾーンであることからすると、専門家による高度なスキーム設計や合法性の確認が必要です。そのため、投資を集めるための方法としてはあまり現実的でないといえるでしょう。

合同会社の社員権の募集を活用するメリット

スキームの構築などが難しい合同会社の社員権募集ですが、これを活用するメリットにはどのようなものがあるでしょうか。ここからはメリットについて解説します。

金融商品取引業の登録が不要

前述の通り合同会社の社員権募集に当たっては一定の場合を除き、金融商品取引業の登録は不要です。登録が必要な場合であっても登録すれば良いのではないかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、金融商品取引業の登録は許認可の中でも登録が非常に難しいものになっています。

そのため、一般企業、特にスタートアップ企業では登録は実質不可能という状態になっています。こうした点から、金融商品取引業の登録が不要というのは非常に大きなメリットといえるでしょう。

投資を勧誘する人数を増やせる

社員権の募集以外に金融商品取引業金融商品取引業の登録が不要な資金調達方法としては、少人数私募債があります。この少人数私募債は主に中小企業が社長やその親族、従業員等の縁故者を対象とすることを想定した社債の募集です。縁故者等が制度の念頭に置かれているため、勧誘対象が50名未満と人数の上限が制限されている点が特徴です。

これに対して、社員権の募集の場合には原則として人数の上限はありません。ただし、集めた資金を株式やFX等の有価証券に投資する場合には500名以上への勧誘は金融商品取引法の規制を受けることになります。ですが、この場合でも499名までは社員権を取得させることが可能なため、実質的に投資を勧誘する対象を増やすことができるというメリットがあります。

利益の分配がしやすい

合同会社の社員は利益の配当を請求することが可能です(法第621条第1項)。この利益の配当に関する事項は定款自治が認められており(法第621条第2項参照)、定款の定めに従った柔軟な分配が可能です。

これに対して、例えば投資家から投資を集め、不動産投資を行う、不動産ファンドの形式で投資を集めようとする場合には不動産特定共同事業の許可が必要となります。

しかし、合同会社の資産である不動産を運用・投資を行い、それによって得られた利益を分配する場合でも、合同会社への出資は不動産特定共同事業契約に該当しないとされています。そのため、不動産ファンドへの規制を受けることなく会社法の定め通り定款に従った分配が可能というメリットがあります。

合同会社の社員権を活用する上での注意点

様々なメリットのある合同会社の社員権の募集ですが、こうした社員権を投資に活用する上でどのような注意点があるでしょうか。ここからは注意点について解説します。

スキーム構築の難易度が高い

投資を集めることを目的として合同会社の社員権を用いる場合、前述のようにその態様に応じて様々な法規制がかかる可能性があります。また、合同会社という形態もまだ一般的とは言い難い点からも、こうしたスキームの構築には高度な法的知識が必要となります。そのため、弁護士などをはじめとする法律の専門家の支援が必要不可欠といえるでしょう。

また、合同会社として事業の実態が無い場合には、集団的投資スキームとみなされる可能性もあります。こうした集団的投資スキームとみなされた場合には、金融商品取引法の規制を受けることになるため注意が必要です。

議決権の設定

株式会社の場合、出資者である株主は会社に対し株主としての地位を有しており、それに基づいて株主総会などで決議に参加する権利である議決権を原則として有しています(法第308条第1項)。これと同じように合同会社の社員は持分を会社に対して有しており、会社の様々な事項について決議を行う権利を有しています。

しかし、投資を集める目的で合同会社を設立した場合には出資者から会社の経営等について決議をされるというのは不都合なため、このような場合には社員の議決権を制限する必要があります。他方で議決権を完全に奪ってしまった場合には、集団的投資スキームに該当しうる可能性も指摘されていることから、社員の議決権を考慮に入れつつ会社運営を円滑に進められる制度設計を考える必要がある点には注意が必要です。

将来的に法改正の対象となる可能性

合同会社の社員権販売はグレーゾーンを利用した投資の募集方法であり将来的に法改正がなされ、その他の法律の規制対象となる可能性は十分に考えられます。

実際に前述の社員権の発行者に関する内閣府令の見直し以外にも、平成29年12月1日施行の改正特定商取引法により規制の対象となったという経緯があります。

特商法の規制を受ける結果、社員権を訪問販売等で販売するにあたっては、書面の交付、クーリングオフ等の特定商取引法に定めに従う必要があります。
このように将来的に法改正や法規制の対象となる可能性が高い点も注意が必要です。

社員が死亡したり相続が発生した場合の取り扱い

多数の投資者から投資を募る場合には、当然ですがその投資者が死亡した場合のことも考えなければいけません。相続が発生した場合、相続人がその被相続人の地位を包括的に承継するのが原則です。こうした際に、どういった対応を行うのか、税務面なども考慮に入れた上で制度設計をする必要がある点にも注意が必要です。

社員権の販売は法的リスクが高いことに留意しましょう

合同会社の社員権販売による投資の募集は金融商品取引法の登録が不要などのメリットはありますが、スキームや制度の設計が難しく、自力でこうしたスキームを構築するのは非常に困難です。また、将来的に法規制の対象となる可能性も高いことからすると、法的なリスクも高いといえます。

実際に合同会社の販売権の募集を行う場合には、本記事を参考にしながら、スキームの適法性の確認も含めて弁護士等の専門家の助力を得た上で行うのが良いでしょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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