【合同会社のM&Aは可能!】事業譲渡を中心に解説

合同会社の基礎知識
投稿日:2024.08.22
【合同会社のM&Aは可能!】事業譲渡を中心に解説

合同会社のM&Aは、その特徴から難しいと考えられています。「合同会社でもM&Aは可能なのか?」「どのような方法があるのか?」、このような疑問を抱いている経営者も多いのではないでしょうか。

この記事では、合同会社のM&Aの可能性と課題を探り、特に事業譲渡を中心に解説していきます。合同会社の特性を踏まえたM&Aの手法や注意点、事業譲渡のメリット・デメリットについてまとめます。

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合同会社と株式会社の違いについて解説

M&Aを考えるうえで、合同会社と株式会社の違いを理解することは重要です。両者には特徴的な違いがありますので、ポイントをまとめておきます。

合同会社とは?

合同会社は、2006年5月1日の会社法施行によって新たに導入された会社形態です。それまでの有限会社に代わる新しい会社形態で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考にしています。

合同会社の基本的な特徴として、出資者全員が会社の業務執行に携わる権利を持ち、同時に会社の債務に対して有限責任を負うという点が挙げられます。合同会社では、出資者がそのまま経営陣となるため、経営の意思決定が迅速に行えるという利点があります。また、組織設計の柔軟性が高く、特に中小規模の事業に適した形態として活用されています。

合同会社と株式会社の違い

合同会社と株式会社の最も基本的な違いは、出資者と経営陣の関係性にあります。株式会社では、一般的に株主(出資者)と取締役(経営陣)が分離していますが、合同会社では出資者がそのまま経営者となります。株式会社は組織的な経営が可能で、大規模な事業展開に適している一方、合同会社は意思決定が迅速で、経営の柔軟性が高いとされています。

そのほかの合同会社と株式会社の違いをまとめると、次のようになります。

項目

合同会社

株式会社

設立手続き

株式会社に比べ簡易

合同会社に比べ複雑

設立コスト

低め

高め

機関設計

柔軟(法定の機関設置義務なし)

厳格(一定の設置義務あり)

資金調達

株式発行による調達不可

株式発行による調達可能

社会的信用

株式会社に比べ低い傾向あり

合同会社に比べ高い傾向あり

また、M&Aに関わる違いとして、おもに持分や株式の譲渡方法が挙げられます。

株式会社では株式の譲渡が自由であり、M&Aをより容易に行えますが、合同会社の場合、持分の譲渡には原則として社員全員の同意が必要となることから、M&Aのハードルが高くなる傾向にあります。また、合同会社は株式公開ができないため、株式市場を通じた資金調達や取引が行えません。M&Aの戦略や手法を検討する際には、会社形態による制約や特徴を十分に考慮する必要があります。

合同会社のM&Aが難しいと言われる理由

合同会社のM&Aは株式会社と比較して難しいとされています。合同会社において、それぞれのM&Aの手法が難しい理由についてまとめます。

合同会社のM&Aの手法

合同会社のM&Aには、おもに次のような手法があります。

M&A手法

概要

持分譲渡

合同会社の社員がその持分を譲渡する方法

株式譲渡

合同会社を一度株式会社に組織変更してから行う手法

事業譲渡

会社の事業の全部または一部をほかの会社に譲渡する方法

合併

合同会社とほかの会社がひとつの会社になる手法

その他

会社分割(会社の事業の全部または一部をほかの会社に承継する方法)や株式交換(ただし、合同会社は株式交換完全子会社となることはできない)など

これらの手法には、それぞれ異なる特徴があります。合同会社のM&Aを検討する場合は、各手法の特性を理解し、自社の状況や目的に適した方法を選択することが重要です。しかし、合同会社特有の構造や法的要件により、これらの手法を実行するうえでの課題もあります。次に、なぜ合同会社のM&Aが一般的に難しいとされているのか、その理由について詳しくみていきましょう。

合同会社のM&Aが難しいと言われる理由

合同会社のM&Aが難しいとされる背景には、いくつかの特徴的な要因があります。これらの要因は、合同会社の法的構造や経営の特性に深く関連しています。次の表は、おもな理由とその詳細をまとめたものです。

理由

詳細

持分譲渡の制限

会社法第585条第1項により、原則として他の社員の全員の承諾が必要。

株式譲渡の複雑さ

会社法第743条に基づく株式会社への組織変更が必要。次の法定手続きを経る必要がある。

1. 組織変更計画の作成

2. 社員全員の同意

3. 債権者保護手続き

4. 登記手続き

これらの法定手続きには通常2〜3ヶ月程度かかり、弁護士や司法書士への相談費用も発生する。

事業譲渡の条件

会社法第590条第2項により規定

1. 合同会社の事業譲渡は通常の業務決定で足りるとされる

2. 業務の決定には社員の過半数の同意が必要

M&Aの障壁となり得るが、持分譲渡や株式会社への組織変更と比べると、ハードルは低くなる。

買い手の不足

株式会社と比べて透明性や知名度が低く、また持分の譲渡に制限があるため、M&A後の経営参画や出口戦略が立てにくいことから、買い手が見つかりにくい。

上場の不可能性

合同会社は株式市場に上場できない。上場による資金調達や企業価値向上の機会を得られず、M&Aの出口戦略としての株式公開(IPO)もできません。

資金調達の制限

株式発行による資金調達ができないため、大規模な資金調達が難しく、金融機関からの借入れに頼らざるをえません。

このように、合同会社のM&Aには法律上の制約や実務上の課題が多いことがわかります。特に持分譲渡の制限や株式会社への組織変更の複雑さは、M&Aの大きな障壁となっています。次の章では、比較的M&Aのハードルが低い、事業譲渡についてみていきます。

事業譲渡が比較的難易度は低い

合同会社のM&Aにおいて、事業譲渡は最も実行しやすい手法です。その理由と特徴を詳しくみていきましょう。

事業譲渡が比較的難易度は低い

事業譲渡は、合同会社のM&A手法のなかで最も実行しやすいと考えられます。その主な理由は、次のとおりです。

1. 社員の過半数以上の賛同があれば実行可能:合同会社については事業譲渡に関する手続きが規定さ
 れておらず、会社法第590条第2項の業務の決定で足りるとされ、社員の過半数の同意で実行できま
 す。これは、全員一致が必要な持分譲渡や、複雑な手続きが必要な株式会社への組織変更と比べて
 、ハードルが低いといえます。ただし、定款で別段の定めがある場合や将来の紛争防止のため、総
 社員の同意をもって事業譲渡を実行するケースもあります。 

2. ほかの手法と比較した難易度の低さ:持分譲渡では全社員の同意が必要で、一人でも反対すれば実
 行できません。また、株式譲渡のためには株式会社への組織変更が必要で、時間とコストがかかり
 ます。これらと比較すると、事業譲渡は手続きが簡素で、合意形成も比較的容易です。

このように、事業譲渡は法的要件と実務的な観点の両面から、合同会社にとって最も実行しやすいM&A手法といえます。ただし、事業譲渡にもメリットとデメリットがあります。次に、これらの点について詳しく見ていきましょう。

事業譲渡によるM&Aのメリット

事業譲渡によるM&Aには、合同会社にとって多くのメリットがあります。これらのメリットは、事業の継続性や経営の柔軟性を高め、効果的な事業再編を可能にします。おもなメリットは、次のとおりです

1. 雇用された従業員をそのまま引き渡せる:事業譲渡では、従業員の雇用契約を含めて事業を譲渡す
 ることができます。これにより、事業の継続性を保つことができます。ただし、従業員とは事前に
 協議し、承諾を得る必要があります。

2. 一部の事業のみ引き渡すことができる:会社の全事業ではなく、特定の事業部門のみを譲渡するこ
 とも可能です。これにより、企業の再編や事業の選択と集中を柔軟に行えます。

3. 残った事業に集中できる:不採算事業を譲渡し、主力事業に経営資源を集中させることで、企業価
 値の向上を図ることができます。

4. 法人格を残せる:事業譲渡後も元の法人格は存続するため、ブランドや取引関係を維持したまま事
 業再編を行うことができます。

5. 譲渡対象の選択が柔軟:資産、負債、契約関係など、譲渡する対象を柔軟に選択できるため、買い
 手のニーズに合わせたM&Aが可能です。

合同会社の事業譲渡は、特に、事業の一部売却や経営資源の再配分を考えている場合に有効です。ただし、メリットがある一方で、いくつかの注意点やデメリットもあります。次章で、これらのデメリットについて詳しく確認します。

事業譲渡によるM&Aのデメリット

次に事業譲渡によるM&Aのデメリットを確認します。デメリットを十分に理解し、適切に対処することがポイントとなります。

1. 売却後に負債が残る可能性がある:事業譲渡では選択的に資産や負債を譲渡できるため、不要な負
 債が譲渡元に残る可能性があります。これにより、譲渡後の財務状況が悪化する恐れがあります。

2. 契約の承継に個別の手続きが必要:取引先との契約を承継する場合、個々の契約ごとに相手方の同
 意を得る必要があります。これは時間と労力を要する作業となる可能性があります。

3. のれん代の取り扱いが複雑:事業譲渡では、のれん代(営業権)の評価や税務上の取り扱いが複雑
 になる場合があります。適切な評価と処理が求められます。

これらのデメリットについて、事業譲渡を検討する際に慎重に評価しなければなりません。特に時間とリソースを要する従業員の合意形成や契約の承継については、十分に検討する必要があるでしょう。M&Aの知識や経験が豊富な専門家から適切なアドバイスを受けることも重要です。

合同会社のM&A手法は事業譲渡が第一候補

ここまで解説したように、合同会社のM&Aにおいては事業譲渡が最も現実的な選択肢です。事業譲渡は、法的手続きの簡素さや柔軟性においてほかの手法よりも実行しやすい特徴があります。

しかし、事業承継でも合同会社のM&Aが簡単なわけではありません。従業員の同意獲得や契約の承継など、いくつかの重要なハードルを乗り越える必要があります。また、M&A後の手続きにも気を配ることが大切です。たとえば、事業譲渡に伴い本店移転を行った場合、10日以内に労働基準監督署への届出が必要となります。このような法的要件を見落とさないよう、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

どのような手法が自社に適しているか、専門的な知識や経験が必要となる場面も多いため、必要に応じて法務、財務、税務の専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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