「合同会社はやめとけ」と耳にしたことがあるかもしれません。インターネット上でも「合同会社は避けるべきだ」という意見を目にしますが、これは必ずしも正しいとは言えません。
特に、個人事業主としてビジネスを始める場合、合同会社の設立には多くのメリットが存在します。
そこでこの記事では、合同会社の基礎知識とともに、設立における具体的なメリットを8つ解説します。あわせて、一人社長が合同会社を設立するメリットについても説明しますので、参考にしていただければ幸いです。
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合同会社とは?基礎知識と定義
合同会社は、2006年に施行された新会社法により導入された会社形態であり、「出資者=経営者」という特徴があります。
合同会社は出資者全員が有限責任社員であり、出資額を超える責任を負わない点が特徴で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考にしており、その柔軟性と設立の容易さが注目されています。
一方で、「合同会社 やめとけ」と検索結果に出ることもあり、否定的な意見を目にすることもあります。その主な理由は、「社会的信用度が低い」「資金調達が難しい」「社員同士の意見の対立が経営に大きな影響を与える」「株式上場ができない」といった点があげられます。
これらは合同会社のデメリットとして認識されがちですが、事業内容や運営方針によっては必ずしも問題とはなりませんので、しっかりと状況を確認したうえで、メリット・デメリットを比較してみましょう。
合同会社設立の8つのメリット
合同会社は、個人事業主や少人数での事業運営を考えている方にとって、設立時の手間やコストを抑えつつ、柔軟な経営ができる点が魅力です。ここでは、合同会社を設立する8つのメリットを詳しく解説します。
設立時の手間と費用がかからない
【合同会社と株式会社の設立にかかる法定費用】
| 合同会社 | 株式会社 |
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定款認証手数料 | 不要 | 3万円〜5万円 |
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定款印紙代(紙の定款) | 4万円 | 4万円 |
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定款謄本代 | 不要 | 2,000円 |
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登録免許税 | 6万円 | 15万円 |
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合計 | 10万円 | 22万2,000円 |
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設立において株式会社と比較すると、合同会社は、手間と費用が大幅に削減されるのが大きなメリットです。
まず、合同会社では定款認証が不要です。株式会社を設立する場合、作成した定款を公証人に認証してもらう必要があり、「定款認証手数料」として3~5万円がかかりますが、合同会社の場合にはこの費用が発生しません。
また、定款認証をする場合、本店所在地を管轄する公証役場に足を運ぶ必要がありますが、この手間が合同会社では発生しません。これにより、設立手続きが迅速に進み、会社を早期に立ち上げることが可能です。
さらに、法人登記の登録免許税も合同会社は安くなっており、株式会社に比べ、合同会社の設立は半分以下の手数料ですみます。設立時のコストを抑え、効率的に会社を設立できることは、スタートアップや小規模事業者にとって大きな魅力です。
経営意思決定の自由度が高く意思決定が速くできる
合同会社のもう1つの大きなメリットは、経営の自由度が高く、意思決定が速いことです。合同会社では「出資者(社員)=経営者」となるため、出資者が経営の全権を握り、経営方針や事業戦略の決定が迅速に行われます。
また、出資者は有限責任であるため、出資額を超える責任を負う必要がない点も、リスクを抑えながら自由な経営ができる理由の1つです。
この経営の自由度は、迅速な意思決定が求められる場面で非常に有利です。株式会社では、取締役会や株主総会の承認が必要な場合がありますが、合同会社ではそのような手続きを省略でき、経営のスピードが上がり市場の変化に迅速に対応できるのです。
税金として納める金額がかからない
合同会社を設立する際には、節税メリットも見逃せません。まず、資本金が1,000万円以下の場合、設立から2期目までの消費税が免除されるという特典があります。これは、会社設立時の大きなメリットと言えるでしょう。ただし、2023年10月から導入されたインボイス制度に伴い、適格請求書発行事業者として登録すると、課税事業者となる点には注意が必要です。
さらに、法人化することで、経費として認められる範囲が広がり、結果的に税負担が軽減されるケースもあります。個人事業主と異なり、法人化することで所得の分散や、役員報酬を経費として計上できるなど、節税効果を高めることが可能です。
役員任期が制限されていない
合同会社では、役員の任期に制約がありません。株式会社では、役員の任期は通常2年から最長で10年と定められていますが、合同会社では役員の任期が無期限です。
このため、定期的な役員の改選やそれに伴う手続きが不要となり、経営の安定性が高まります。役員の任期がないことで、長期的な経営戦略を安定して進めることが可能になります。
役職の任期満了に関する手間と費用がかからない
上記のように、合同会社では役員任期の更新が不要であるため、役員の任期満了時に発生する手間と費用がかかりません。株式会社では、役員の任期が満了するたびに重任登記が必要であり、この手続きには1万円または3万円の登録免許税がかかります。
合同会社では、この重任登記の手続きや費用が不要です。これにより、会社運営にかかるコストを削減し、経営者が本来の業務に集中できる環境が整います。また、手続きの簡素化により、会社設立後の運営がスムーズに進みます。
決算公告にかかる手間と費用の削減ができる
合同会社には、決算公告の義務がありません。株式会社では、事業年度終了後に決算公告が義務付けられていますが、合同会社ではこの手続きが不要です。
旧商法で有限会社に決算公告が義務付けられていなかったことを踏まえ、合同会社でも同様に決算公告の義務が免除されています。
これにより、事業年度終了後の手間と費用を大幅に削減できます。決算公告にかかるコストを削減することで、資金を他の重要な事業活動に充てることが可能です。
また、決算公告が不要であるため、財務状況の公開に伴うリスクも軽減されます。そもそも、現代において決算公告制度そのものの有効性がほぼなく、株式会社に決算公告が義務付けられていること自体に、議論が必要かもしれません。
利益配分を自由に決められる
合同会社では、利益の分配を自由に決めることができます。原則として、利益は出資割合に応じて分配されますが、定款に記載することで出資額に関係なく利益分配の割合を決めることが可能です。
例)AさんとBさんが共同で事業を行う場合(同額を出資)
Aさんが高い専門能力を持っているケースでは、Aさんの貢献度を考慮して、出資割合に関係なく利益分配率を設定できます。 |
このような柔軟な利益配分は、事業における貢献度や役割に応じて公平に報酬を分配できるため、チーム全体のモチベーションを高める効果があります。また、柔軟な利益配分により、事業の成長に応じた報酬制度を設計することが可能です。
<株式会社>の場合 |
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出資者 | A | B |
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出資割合 | 50% | 50% |
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利益分配割合 | 50% | 50% |
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利益 | 100万円 |
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配当 | 50万円 | 50万円 |
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<合同会社>の場合 |
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出資者 | A | B |
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出資割合 | 50% | 50% |
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利益分配割合 | 70% ←自由に変更可 | 30% ←自由に変更可 |
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利益 | 100万円 |
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配当 | 70万円 | 30万円 |
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株式会社への移行も可能で容易にできる
合同会社から株式会社への移行も比較的容易に行うことができます。一般的には、移行の手続きを開始してから完了するまでに2~3ヶ月程度の時間がかかりますが、計画的に進行すれば問題なく進められます。
官報公告や登記手続き、総社員の同意など、移行に必要な手続きは複数ありますが、それらを1つずつクリアしていくことで、スムーズに株式会社への移行が可能です。
合同会社から株式会社への移行を視野に入れて事業を始めることで、将来的な事業拡大や資金調達の柔軟性が高まります。これにより、事業の成長に応じて、最適な会社形態を選択することが可能です。
一人社長が合同会社を設立するメリット
一人でビジネスを始める際、合同会社の設立を検討する方が増えています。個人事業主としての活動も可能ですが、法人化することで得られる社会的信用や税務面でのメリットは無視できません。特に、有限責任の範囲でのリスク管理は、経営者にとって大きな安心材料となります。
以下では、一人社長が合同会社を設立する際の、主なメリットについて詳しく解説します。
法人化により一人会社でも社会的信用を得やすくなる
合同会社を設立する際には、商号(社名)、所在地、資本金などの情報を法務局に提出して法人登記を行います。この登記によって、法人としての存在が法的に認められ、登記内容は一般に公開されます。これにより、合同会社としての社会的信用度が向上し、たとえ一人社長であっても、個人事業主と比べて信頼性が高まるのです。
個人事業主との取引を避ける企業もありますが、合同会社として法人化することで、新たな取引の機会が広がります。特に、法人取引を重視する大手企業や公共機関との契約が可能になるため、一人社長であっても事業拡大のチャンスを掴みやすくなります。
さらに、法人化することで、金融機関からの融資を受けやすくなることもメリットです。個人事業主に比べ、法人として社会的信用が向上することで、銀行の融資審査においても有利になる可能性が高まります。融資など事業資金の調達を考えている方は、合同会社の設立を推奨します。
税負担が軽減される
合同会社を設立することで、税務面でも多くのメリットを享受できます。個人事業主と比較して、法人化することで経費の幅が広がり、結果として税負担を軽減できる可能性があります。
個人事業主は、事業所得すべてが課税対象となりますが、合同会社の場合、要件を満たせば、社長自身の役員報酬を経費として計上することが可能です。これにより、課税所得を減少させ、税負担を抑えることができます。
また、法人化することで、経費として認められる範囲も拡大します。例えば、事業に関連する接待費や福利厚生費、さらには社長自身の退職金の積み立てなども、法人経費として計上できるようになります。これにより、個人事業主としての経営と比較して、より柔軟かつ効率的な税務対策が可能です。
さらに、個人事業主の所得税は累進課税制度に基づき、所得に応じて税率が上がります。最高税率は45%に達しますが、合同会社の法人税率は、資本金1億円以下で所得が800万円以下の場合、15%と低く抑えられます。
所得が800万円を超える部分についても、税率は23.2%に設定されています。これにより、所得が増加しても、税負担が個人事業主よりも軽減されるケースが多く見られます。
有限責任になり会社が倒産した際のリスクが低下する
合同会社を設立する際の大きなメリットとして、「有限責任」の概念が挙げられます。有限責任とは、会社が経営不振や倒産などで負債を抱えた場合、出資した金額を限度として責任を負うことを意味します。言い換えれば、会社が倒産した際に、社長個人の財産にまで影響が及ぶことはありません。
個人事業主の場合、「無限責任」となり事業に関連する負債はすべて個人の責任となり、事業が失敗した際には個人の財産を持ち出してでも債務を返済しなければなりません。これに対して、合同会社の社長であれば、出資額以上の負担を負う必要はないため、リスク管理の面で非常に有利です。
また、法人としての責任が明確化されることで、取引先や金融機関との交渉においても、リスク管理がしやすくなります。これにより、経営者としての負担を軽減し、安心して事業を展開することが可能になります。
個人事業主や一人社長は合同会社設立がおすすめ!
合同会社は、一見すると「やめとけ」と言われることもありますが、実際には多くのメリットがあります。法人化による社会的信用の向上や税負担の軽減、有限責任によるリスク管理の向上など、個人事業主にはない利点が多くあります。
これらのメリットにより、事業の安定性や成長性を高めることが可能です。特に、ビジネスの拡大を目指す方や、将来的に株式会社への移行を視野に入れている方にとって、合同会社は非常に有利な選択肢となるでしょう。一人での起業を考えている方は、合同会社の設立を検討してみることをおすすめします。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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