「自社が使える補助金があるのだろうか?」
「種類が多すぎて、どれが自分たちに合っているのか分からない…」
物価高や人手不足が続く中、資金調達の一手として「補助金・助成金」を検討されている中小企業経営者の方は多いのではないでしょうか。
特に2025年のキーワードは「賃上げ」「省力化」「DX」の3つで、来年以降も新たな補助金・助成金が登場していきます。自社の課題が「設備投資(モノ)」なのか「人材確保(ヒト)」なのかによって、選ぶべき制度は明確に分かれます。
この記事では、2025年に中小企業が注目すべき主要な補助金・助成金を厳選し、その特徴と選び方を徹底解説します。
※本記事では主に株式会社・合同会社・個人事業主などの営利企業向けに解説しています。一般社団法人やNPO法人の方は、対象となる制度や要件が異なるため、以下の記事をご覧ください。
参考記事
【2025年版】中小企業が知っておきたい補助金・助成金一覧|トレンドから選び方まで徹底解説
- 補助金と助成金の違い
- 補助金(主に経済産業省系)
- 助成金(主に厚生労働省系)
- 【2025年トレンド】キーワードは「賃上げ」と「省力化」
- 「賃上げ」要件の強化
- 「省力化」への集中投資
- 【事業拡大・設備投資】中小企業向け・代表的な補助金リスト
- 【2025年新設・注目】1. 中小企業成長加速化補助金
- 【2025年新設・注目】2. 中小企業新事業進出補助金
- 3. 中小企業省力化投資補助金(カタログ型)
- 4. 小規模事業者持続化補助金
- 5. IT導入補助金
- 6. ものづくり補助金
- 【雇用・人材育成】中小企業向け・代表的な助成金リスト
- 1. キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- 2. 人材開発支援助成金
- 3. 業務改善助成金(中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金)
- 4. 両立支援等助成金(出生時両立支援コース等)
- 申請へのロードマップ①「探し方」
- ミラサポplus(中小企業庁)
- J-Net21(中小機構)
- 雇用関係助成金検索ツール(厚生労働省)
- GVA 補助金診断
- 申請へのロードマップ②「誰に頼るか」(専門家の選び方)
- 補助金・助成金を3分で無料診断してみませんか?
- 自社に合った補助金・助成金を積極的に活用しましょう
補助金と助成金の違い
まず、混同しやすい「補助金」と「助成金」の違いを押さえておきましょう。 補助金は「事業成長のための投資」を支援し、助成金は「雇用環境の整備」を支援します。
補助金(主に経済産業省系)
- 目的: 生産性向上、賃上げ原資の確保、事業再構築。
- 特徴: 審査あり(競争・採択型)。
- 申請すれば必ずもらえるわけではなく、事業計画書を作成し、審査で「採択」される必要があります。採択率は制度によりますが、30%〜50%前後のものが多く、しっかりとした準備が必要です。
助成金(主に厚生労働省系)
- 目的: 雇用の安定、処遇改善、人材育成、働き方改革。
- 特徴: 審査なし(要件充足型)。
- 「従業員を1名以上雇用している(雇用保険に入っている)」などの要件を満たし、手順通りに申請すれば、原則として受給できます。
【2025年トレンド】キーワードは「賃上げ」と「省力化」
2025年の補助金・助成金トレンドを読み解く鍵は、国が抱える「物価高」と「深刻な人手不足」への対策です。国は「給料を上げられる企業」と「少ない人数で回せる仕組み(省力化)」を徹底的に優遇しています。
「賃上げ」要件の強化
- 多くの補助金で、「事業所内の最低賃金を上げる」と計画した企業に対して、補助上限額の引き上げや審査での加点(有利になる)といった優遇措置が設けられています。
「省力化」への集中投資
- 人手不足を解消するために、人が行っていた作業をロボットやシステムに置き換える「省力化投資」への支援が、かつてないほど手厚くなっています。
【事業拡大・設備投資】中小企業向け・代表的な補助金リスト
設備投資や新事業展開に使える補助金です。まずは2025年の目玉となる2つの新設補助金から紹介します。
【2025年新設・注目】1. 中小企業成長加速化補助金
- 概要: 売上高100億円を目指す「成長意欲の高い中小企業」向けの大型支援策です。工場新設や大規模な設備投資など、中堅企業へと成長するための投資を支援します。
- 補助上限: 最大5億円(投資額の1/2など)
- 公募頻度: 年数回(予定)
- こんな企業に: 地域経済を牽引する規模へ急成長したい企業、大規模な工場・拠点を新設したい企業。
- 公式サイト: 100億企業成長ポータル
【2025年新設・注目】2. 中小企業新事業進出補助金
- 概要: 既存事業とは異なる「新規事業」への挑戦を支援します。「事業再構築補助金」の後継的な位置づけとされ、建物費やシステム構築費など幅広い経費が対象です。
- 補助上限: 最大9,000万円(従業員数等による)
- 公募頻度: 年数回(予定)
- こんな企業に: 本業の市場縮小に伴い、全く新しい分野へ業態転換したい企業。
- 公式サイト: 中小企業新事業進出支援対策費補助金
3. 中小企業省力化投資補助金(カタログ型)
- 概要: 2024年から始まった注目の新制度。券売機、自動配膳ロボット、清掃ロボットなど、カタログに登録された製品を選ぶだけで申請できる、簡易でスピーディーな補助金です。
- 補助上限: 200万円〜1,500万円(従業員数による)
- 公募頻度: 随時受付(通年)
- こんな企業に: 人手不足をすぐに解消したい飲食・宿泊・小売業など。
- 公式サイト: 中小企業省力化投資補助金
4. 小規模事業者持続化補助金
- 概要: 小規模事業者が行う「地道な販路開拓」を支援します。チラシ作成、Webサイト制作、店舗改装、展示会出展などに幅広く使えます。
- 補助上限: 通常50万円(賃上げ等で最大200万円)
- 公募頻度: 年数回(※最新回は公式サイトを確認)
- こんな企業に: 従業員数が少ない(商業・サービス業5人以下、製造業等20人以下)会社や個人事業主。
- 公式サイト:
- 商工会議所管轄地域の方:小規模事業者持続化補助金
- 商工会管轄地域の方:小規模事業者持続化補助金
5. IT導入補助金
- 概要: 業務効率化のためのITツール導入を支援します。会計・受発注・決済ソフトのほか、インボイス対応のためのPC・タブレット購入も(条件付きで)対象になります。
- 補助上限: 数十万円〜最大450万円(枠による)
- 公募頻度: 通年で複数回公募
- こんな企業に: インボイス対応をしたい、手作業の事務を自動化したい企業。
- 公式サイト: IT導入補助金
6. ものづくり補助金
- 概要: 革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセス改善のための大型設備投資を支援します。
- 補助上限: 750万円〜最大8,000万円(枠・従業員数による)
- 公募頻度: 年数回(省力化枠などが中心)
- こんな企業に: 最新の製造機械を導入したい製造業や、システム開発を行う企業。
- 公式サイト: ものづくり補助金総合サイト
【雇用・人材育成】中小企業向け・代表的な助成金リスト
「人」に関する課題(採用難、育成、定着)を解決するために活用します。これらは要件を満たせば受給の確度が高い制度です。
1. キャリアアップ助成金(正社員化コース)
- 概要: アルバイトや契約社員などの「有期雇用労働者」を、正規雇用(正社員)に転換した場合に助成されます。
- 助成額: 1人あたり最大80万円(※要件による)
- 公募頻度: 随時(計画届の提出が必要)
- こんな企業に: 非正規スタッフを正社員登用して、定着率を上げたい企業。
- 厚生労働省ページ:キャリアアップ助成金(正社員化コース)
2. 人材開発支援助成金
- 概要: 従業員に専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練(研修)を受けさせた場合、経費や期間中の賃金を助成します。
- 助成額: 経費の45%〜75%など(コースによる)
- 公募頻度: 随時(訓練開始前の申請が必要)
- こんな企業に: 社員にスキルアップ研修や資格取得をさせたい企業。
- 厚生労働省ページ:人材開発支援助成金
3. 業務改善助成金(中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金)
- 概要: 事業所内の最低賃金を一定額以上引き上げ、かつ生産性向上のための設備投資(機械、POSレジ、PCなど)を行った場合に、その費用の一部を助成します。
- 助成上限: 最大600万円(引き上げ額・人数による)
- 公募頻度: 随時
- こんな企業に: 賃上げと同時に、設備投資も行いたい小規模な企業。
- 厚生労働省(特設サイト):業務改善助成金(中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金)
4. 両立支援等助成金(出生時両立支援コース等)
- 概要: 男性の育児休業取得を促進したり、育休からの復帰を支援したりする企業に支給されます。
- 助成額: 数十万円(コースによる)
- 公募頻度: 随時
- こんな企業に: 子育て世代の従業員が働きやすい環境を整えたい企業。
- 厚生労働省ページ:両立支援等助成金(出生時両立支援コース等)
申請へのロードマップ①「探し方」
自社が使える制度を効率よく探すために、以下4つをブックマークしておきましょう。
ミラサポplus(中小企業庁)
- 補助金の検索だけでなく、活用事例も豊富に掲載されており、自社に近い事例を探すのに最適です。
- 公式サイト:ミラサポplus(中小企業庁)
J-Net21(中小機構)
- 国だけでなく、都道府県や市区町村の独自な補助金情報も網羅されています。「新着情報」のチェックにおすすめです。
- 公式サイト:J-Net21(中小機構)
雇用関係助成金検索ツール(厚生労働省)
- 「取り組み(採用、育成など)」や「対象者」から、自社に合う助成金を絞り込んで検索できます。
- 公式サイト:雇用関係助成金検索ツール(厚生労働省)
GVA 補助金診断
- 簡単な入力で自社に合った補助金・助成金の診断ができます。事前シミュレーションも可能ですので、ぜひお試しください
- 公式サイト:GVA 補助金診断
申請へのロードマップ②「誰に頼るか」(専門家の選び方)
補助金・助成金は自社申請も可能ですが、複雑な制度は専門家のサポートを受けることで採択率や受給の確実性が上がります。
【比較表】中小企業の相談相手と得意分野
専門家(士業) | 得意な分野 | 依頼すべきケース |
|---|---|---|
中小企業診断士 | 補助金(事業計画) | 新事業進出や成長加速化など、難易度の高い事業計画書を作成してほしい時。 |
社会保険労務士 | 助成金(労務管理) | 雇用系助成金の申請代行(独占業務)。就業規則の変更が必要な時。 |
認定経営革新等支援機関 | 資金調達・計画 | 税理士や金融機関など。特定の補助金申請で「確認書」が必要な時。 |
行政書士 | 許認可・書類作成 | 建設業許可など許認可が絡む事業や、公的な書類作成の代行が必要な時。 |
補助金・助成金を3分で無料診断してみませんか?
今回の記事で挙げたもの以外でも、今後始まる補助金・助成金があります。実際にどんな募集があるのかを見てみたいという方は、GVA 補助金診断を活用してみてください。3分程度の簡単な入力で、自法人に合った補助金・助成金や受給金額のシミュレーションができます。
診断だけでなく、支援担当とのオンライン相談もできますので、補助金・助成金について検討している場合は、考え込むよりもまずは行動してみることをおすすめします。
自社に合った補助金・助成金を積極的に活用しましょう
2025年は、物価高や人手不足に対応するため、「賃上げ」や「省力化」に取り組む中小企業に対して、国が強力なバックアップを用意しています。
成功の鍵は、自社の課題を明確にすることです。
- 設備やシステムにお金を使いたいなら 「補助金」
- 人の採用や育成にお金を使いたいなら 「助成金」
まずはこの2つを切り分け、自社の目的に合う制度の公式サイトをチェックすることから始めてみましょう。