法人がPC(パソコン)やOA機器の導入コストを抑えたい場合、補助金の活用は有効な選択肢です。
ただし、結論から言うと「PCやOA機器の購入だけ」を目的として使える補助金・助成金は非常に限定的です。
多くの制度は、あくまで生産性向上や業務効率化といった「取り組み」全体を支援するものであり、PCはそのための設備の一つとして扱われます。
本記事では、まず「賃上げ」や「テレワーク導入」などの特定の条件を満たすことでPC購入費用も対象にできる補助金・助成金(業務改善助成金など)を紹介します。
あわせて、有名ですが誤解も多い「IT導入補助金」についても、「ソフトウェア導入とセットでなければPCは対象にならない」という点や、申請時の注意点を詳しく解説します。
法人のPC(パソコン)・OA機器の購入に使える補助金を解説
- 「GVA 補助金診断」で補助金・助成金を今すぐ無料診断
- 法人のPC(パソコン)・OA機器の購入に使える補助金
- 業務改善助成金
- テレワークトータルサポート助成金
- 自治体独自の補助金・助成金
- 創業助成事業
- IT導入補助金 ※PCやOA機器単体での購入は原則対象外
- パソコン購入で補助金を申請する際の注意点
- 必ず「交付決定後」に購入・契約する
- パソコン単体では申請できない
- 「IT導入支援事業者」経由での購入が必須
- 申請スケジュール(締切)を厳守する
- 補助金対象となるパソコンの選び方
- よくある質問
- 補助金でパソコンは購入できる?
- パソコンを買ったら補助金はもらえる?
- IT補助金はいつから申請できる?
- 新設法人でもIT補助金は申請できる?
- まとめ|PC導入コストを抑え、業務効率化を実現しよう
- 補助金・助成金の申請に必要な登記変更や登記簿謄本が必要になったら
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法人のPC(パソコン)・OA機器の購入に使える補助金
法人のPC(パソコン)・OA機器の購入に使える補助金は、次のとおりです。
- IT導入補助金
- 業務改善助成金
- テレワークトータルサポート助成金
- 創業助成事業
- 自治体独自の補助金・助成金
業務改善助成金
業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。
制度概要
業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ 、併せて生産性向上に資する設備投資(機械設備導入、コンサルティング、人材育成・教育訓練など)を行った場合に 、その設備投資等にかかった費用の一部を助成するものです 。
対象事業者
以下の要件をすべて満たす中小企業・小規模事業者(大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)を除く)が対象です 。
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
※申請は(工場や事務所などの)事業場ごとに行います 。
助成上限額及び助成率
助成上限額は、引き上げる賃金額(30円・45円・60円・90円コース)、引き上げる労働者数、事業場の規模によって区分され、最大で600万円が支給されます 。
- 助成率
- 事業場内最低賃金が1,000円未満の場合: 4/5
- 事業場内最低賃金が1,000円以上の場合: 3/4
- 特例事業者
- 事業場内最低賃金が1,000円未満の事業者 や、物価高騰等の要件(利益率が低下している等)に該当する事業者 は、特例事業者として扱われます。
- 物価高騰等要件に該当する場合、通常は対象外となるパソコン等の新規導入や一部の自動車の導入も助成対象経費として認められる場合があります 。
申請期間と事業完了期限
申請期間
- 第1期: 令和7年4月14日 ~ 令和7年6月13日
- 第2期: 令和7年6月14日 ~ 申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日
※第3期以降の募集は、別途HPにてお知らせされます 。
事業完了期限
令和8年1月31日
申請手続きの流れ
助成金の支給は以下の流れで進められます 。
- 交付申請: 事業実施計画書等を管轄の都道府県労働局に提出します 。
- 交付決定: 労働局が申請内容を審査し、交付決定を通知します 。
- 事業実施: 交付決定後、計画に基づき賃金の引き上げ、設備の導入、代金の支払い等を実施します 。
- 実績報告・支給申請: 事業完了後、労働局に事業実績報告書と助成金支給申請書を提出します
- 助成金支給: 労働局が報告内容を審査し、適正と認められれば交付額が確定し、助成金が支払われます 。
主な注意事項
- 交付決定前の設備導入: 交付決定前に導入(発注・契約等)を行った設備等は、助成の対象となりません 。
- 申請回数: 同一事業場の申請は年度内1回までです 。
- 募集終了: 予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります 。
- 令和6年度からの主な変更点
- 大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)は対象外となりました 。
- 基準となる事業場内最低賃金労働者の雇用期間が、「3か月以上」から「6か月以上」に変更されました 。
テレワークトータルサポート助成金
テレワークの導入から定着・促進を図るため、東京都が実施するテレワーク相談窓口やコンサルティングを利用した都内中堅・中小企業等に対し、テレワーク機器導入経費等のテレワーク環境整備に係る経費への助成です。
また、テレワーク環境整備とあわせて改正育児・介護休業法への対応や、テレワーク困難な業務(※)従事者の熱中症対策として、体温を下げるための機能のある作業服や熱中症のリスクを回避する機能のある製品等の整備に係る取組を行った企業等には加算して助成されます。
※(例)建設業、運送業等の現場業務
助成金の概要
テレワーク環境の整備に必要な機器等の導入経費への助成です。
あわせて、育児・介護休業法への対応 や、テレワークが困難な業務従事者への熱中症対策 に取り組む企業等には、助成額が加算されます 。
助成対象事業者の主な要件
以下の要件を満たす必要があります。
- 常時雇用する労働者が2人以上999人以下であること 。
- 都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等であること 。
- 東京都が実施する「テレワーク相談窓口」を利用したこと 。
上記のほかにも要件があります 。
詳細は必ずホームページの募集要項をご確認ください 。
助成内容
テレワーク環境の整備 在宅勤務、モバイル勤務等を可能とする情報通信機器等の導入に係る経費の助成
- 常時雇用する労働者数:2人~29人
- 助成上限額: 150万円
- 助成率: 3分の2
- 常時雇用する労働者数 30人~999人
- 助成上限額: 250万円
- 助成率: 2分の1
加算項目
条件を満たした場合に、必須項目に加えて以下の額が加算されます(加算項目のみの申請はできません )。
- 育児・介護コース
- 内容: 3歳未満の子の育児または介護を行う労働者のためのテレワークに関する規程の整備に係る経費 。
- 助成額: 20万円 (定額) 。
- 職場環境改善コース
- 内容: テレワーク困難な業務従事者の熱中症対策として、体温を下げる機能のある作業服や熱中症リスクを回避する機能のある製品等の整備に係る経費 。
- 助成額: 最大50万円
申請受付期間
令和7年6月10日 (火曜) ~ 令和8年2月27日 (金曜)
申請方法
- 郵送または電子申請 (Jグランツ) のいずれかにより提出。
- 来所による持参提出は受け付け不可。
- 郵送の場合は締切日の消印有効 、電子申請の場合は締切日の23時59分までに提出されたもののみ受付。
申請から助成金振込までの流れ
- 「テレワーク相談窓口」の利用: 東京都へ申込み、相談窓口を利用します 。
- 取り組みの実施: 申請項目ごとに必要な取り組み(テレワーク機器の整備 、規程の整備 、熱中症対策品の整備 等)を実施します。
- 助成金申請: 東京しごと財団へ申請書類を提出します 。
- 事業の実施: 支給決定後、助成事業(機器導入など)を実施します 。
- 実績報告: 事業完了後、実績報告を行います 。
- 請求: 助成金額の確定後、助成金の請求を行います 。
- 振込: 助成金が振り込まれます 。
自治体独自の補助金・助成金
各地方自治体が独自に実施している補助金・助成金制度です。
事業所の所在地の自治体(都道府県や市区町村)のウェブサイトで最新の情報を確認してください。
創業助成事業
都内開業率の向上を目標に掲げ、東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社では、都内で創業予定の個人又は創業から5年未満の中小企業者等に対し、賃借料、広告費、従業員人件費、市場調査・分析費等、創業初期に必要な経費の一部を助成する「創業助成事業」を実施されています。
実施主体
東京都中小企業振興公社
助成内容
- 助成対象期間
- 交付決定日(令和8年3月1日予定)から6か月以上2年が経過する日までの間で事業に必要な期間 。
- 助成限度額: 上限400万円、下限100万円 。
- 助成率: 助成対象と認められる経費の2/3以内 。
- 助成対象経費
- 事業費(賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費)
- 従業員人件費
- 委託費(市場調査・分析費)
主な申請要件
申請にあたっては、以下をすべて満たす必要があります 。
創業者等であること
- 都内で創業予定の個人 。
- 都内で事業を行う、事業開始(法人登記または開業届提出)から5年未満の個人事業主・法人代表者 。
※ただし、個人事業主・法人の代表者として通算5年以上の経営経験がある方等は申請できません 。
創業支援事業の利用
- 公社が実施する「プランコンサルティング」の支援終了 、認定特定創業支援等事業による支援 、東京都中小企業制度融資(創業融資)の利用 など、指定された20の支援事業のいずれかの要件を満たすこと 。
事業の実施等
- 助成対象期間内に事業を実施できること 。
- 助成対象期間終了後も、都内で実質的に事業活動を継続し、都に納税すること
納税地・重複助成等
- 納税地が都内であること(創業前の方は開業後に都内となること) 。
- 公社の「商店街起業・承継支援事業」等、所定の助成金・補助金と重複して受けないこと 。
申請手続
- 申請受付期間: 令和7年9月29日(月)~ 令和7年10月8日(水) 。
- 申請方法: 国が提供する電子システム「jGrants」による電子申請のみ 。
- 事前準備: 「jGrants」の利用には、事前に「GビズIDプライム」の取得が必要です 。
審査及びスケジュール
- 書類審査: 令和7年11月
- 書類審査結果通知: 令和7年12月中旬頃
- 面接審査: 令和8年1月7日(水)~ 1月16日(金)
- 交付決定・採択通知: 令和8年3月1日予定
- 助成金支払: 助成金は原則として後払いです 。助成対象期間終了後(または中間払の要件充足後)に実績報告・検査を経て、助成金額が確定・支払われます 。
IT導入補助金 ※PCやOA機器単体での購入は原則対象外
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。
また、相談対応等のサポート費用やクラウドサービス利用料等も補助対象に含まれます。
補助金申請者(中小企業・小規模事業者等のみなさま)は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んで申請することが必要となります。
補助対象枠の詳細
通常枠
- 概要
- 生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を支援します。クラウド利用料は最大2年分、保守運用等の導入関連費用も支援対象です。
- 補助対象経費
- ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(保守サポート、マニュアル作成、導入後の”活用支援”も対象)。
- 補助額
- 業務プロセスが1〜3つの場合: 5万円〜150万円
- 業務プロセスが4つ以上の場合: 150万円〜450万円
- 補助率
- 中小企業: 1/2
- 最低賃金近傍の事業者(※): 2/3
インボイス枠 (インボイス対応類型)
- 概要
- 令和5年10月1日に開始されたインボイス制度への対応に特化した支援枠です。会計・受発注・決済ソフトのほか、PC・タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も支援します。
- 特徴
- 補助下限はなく、安価なITツール導入も支援対象であり、小規模事業者は最大$4/5$が補助されます。
- 補助対象経費
- ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費、ハードウェア購入費(PC・タブレット等、レジ・券売機等)。
- 補助額
- ITツール(1機能): 〜50万円
- ITツール(2機能以上): 50万円〜350万円
- PC・タブレット等: 〜10万円
- レジ・券売機等: 〜20万円
- 補助率
- ITツール(〜50万円以下の部分): 3/4 (小規模事業者: 4/5)
- ITツール(50万円〜350万円の部分): 2/3
- ハードウェア購入費: 1/2
インボイス枠 (電子取引類型)
- 概要
- 発注者(大企業を含む)が費用を負担し、インボイス対応済の受発注ソフトを導入することで、受注者である中小企業・小規模事業者等が無償で利用できるケースを支援します。
- 補助対象経費: クラウド利用料(最大2年分)
- 補助額: 〜350万円
- 補助率:
- 大企業: 1/2
- 中小企業: 2/3
複数社連携IT導入枠
- 概要
- 10者以上の中小企業・小規模事業者等が連携して行う、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済の導入といった取組等を支援します。導入や活用に向けた事務費・専門家経費も補助対象です。
- 補助対象経費
- インボイス枠対象経費、消費動向等分析経費、事務費・専門家経費
- 補助額
- インボイス枠対象経費 + 消費動向等分析経費: 合計3,000万円まで
- 事務費・専門家経費: 200万円
- 補助率: (b)消費動向等分析経費、(c)事務費・専門家経費: 2/3
セキュリティ対策推進枠
- 概要: 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載のセキュリティサービス利用料を支援します 。
- 補助対象経費: サイバーセキュリティお助け隊サービス利用料(最大2年分)
- 補助額: 5万円〜150万円
- 補助率:
- 中小企業: 1/2
- 小規模事業者: 2/3
今後の申請スケジュール
- 通常枠、インボイス枠 (インボイス対応類型、電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠
- 第7次申請締切日: 12月2日
- 第8次申請締切日: 1月7日
- 複数社連携IT導入枠:
- 第4次申請締切日: 1月7日
パソコン購入で補助金を申請する際の注意点
補助金申請には、守らなければならない厳格なルールがあります。
「知らなかった」では済まされず、最悪の場合、採択が取り消されたり、補助金が1円も支払われなかったりします。
特に法人がパソコンを購入する際、担当者の方が陥りがちな「5つの落とし穴」をまとめました。
必ず「交付決定後」に購入・契約する
交付決定後の購入や契約は、補助金を受け取る条件です。
「申請中だが、業務ですぐに必要なため先にパソコンを発注してしまった。」「おそらく採択されるだろうと見越して、ソフトウェアの契約を済ませた。」などの理由により、補助金を受け取れないケースも多く見受けられます。
交付決定前の購入や契約が認められない理由は、以下のとおりです。
交付決定前の購入や契約が認められない理由は、補助金は、「交付決定」という公的な承認を得てから「事業(=購入)」を開始することが大前提のためです。
交付決定日より1日でも前の日付の契約書や発注書、領収書は、すべて補助対象外となることから、事務局から「交付決定通知」が届くまでは発注・購入・契約・支払いをしないように注意してください。
パソコン単体では申請できない
本記事で解説しているIT導入補助金(インボイス枠)は、あくまで「ITツール(ソフトウェア)」の導入を促進するための補助金です。
「会計ソフトはもう導入済みだから、パソコンだけ買い替えたい」という場合は、申請できないため、注意が必要です。
パソコンは、そのITツールを利用するために「必要不可欠なハードウェア」という位置づけで、補助対象として認められています。
主役であるソフトウェアの導入がなければ、パソコンは補助対象にならないのです。
必ず、「会計」「受発注」「決済」いずれかの機能を持つインボイス対応ソフトとセットで申請計画を立てましょう。
「IT導入支援事業者」経由での購入が必須
「申請だけ専門家に手伝ってもらい、PCは付き合いのある取引先や安いECサイトで買う」ということは一切認められません。
「Amazonや楽天、家電量販店で領収書をもらって申請する。」「交付決定後に、いつも取引している別の業者からPCを購入する。」などは認められないため、注意しましょう。
補助金の対象となるITツール(ソフト)とハードウェア(PC)は、必ず申請をサポートした「IT導入支援事業者」を通じて購入・導入する必要があります。
支援事業者は、どのツールやPCが補助対象として登録されているかを管理しており、事務局への実績報告もその事業者が行う必要があるのです。
導入するソフトウェアからパソコンの選定、購入、支払いまで、すべて申請パートナーであるIT導入支援事業者に一本化しましょう。
申請スケジュール(締切)を厳守する
IT導入補助金は、通年で公募されていますが、定期的に「締切」が設定されています。
「いつでも申請できる」と思い、事前準備(gBizID取得など)を後回しにすると締切に間に合わず、補助金を受け取れないことがあるため、注意しましょう。
締切日の17:00までに、IT導入支援事業者との共同作業をすべて終え、申請を完了させる必要があります。
「gBizIDプライム」の取得には1〜2週間かかるため、締切直前に準備を始めても間に合わないため、注意が必要です。
IT導入補助金の公式サイトで、最新の公募スケジュール(次の締切はいつか)を必ず確認し、締切日から逆算し、最低でも3〜4週間前にはIT導入支援事業者への相談とgBizIDの取得申請を開始するのが理想です。
補助金対象となるパソコンの選び方
補助金を使ってパソコンを導入する場合、コストだけでなく「補助対象として認められるか」という視点も必要です。
まず大前提として、IT導入補助金(インボイス枠)で購入できるパソコンは、申請を依頼する「IT導入支援事業者」が補助対象ハードウェアとして登録・提供している製品に限られます。
「このメーカーの、このハイスペックモデルが欲しい」と決めていても、その支援事業者が取り扱っていなければ、補助対象として申請することはできません。
その上で、以下の「用途別」のスペック目安を参考に、IT導入支援事業者と相談しながら、自社の業務効率化に本当に役立つPCを選定しましょう。
- 事務・経理・営業支援などの一般業務(会計ソフト利用など)
- 導入する会計ソフトや受発注ソフトが快適に動作することが最低条件です。
- スペック目安: Core i3~i5程度、メモリ8GB以上、SSDストレージ
- 形状: ノートPC、または省スペースデスクトップPC
- テレワーク・在宅勤務向け(Web会議が多い場合)
- Web会議ツール(Zoom, Teamsなど)をスムーズに動かすため、一般事務用より少し余裕のあるスペックが推奨されます。
- スペック目安: Core i5以上、メモリ16GB、高性能なWebカメラ・マイク(または外付け)
- 形状: 持ち運びやすい軽量ノートPC
- CAD/BIMを使う建設・製造系業務
- IT導入補助金は設計ソフトなども対象になるため、これらに使うPCは高い処理能力とグラフィック性能が求められます。
- スペック目安: Core i7/i9、メモリ32GB以上、専用グラフィックボード(NVIDIA製など)搭載
- 形状: 高性能ノートPC(ワークステーションモデル)、またはデスクトップワークステーション
よくある質問
ここでは、経営者や総務担当者の方から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
補助金でパソコンは購入できる?
補助金でパソコンを購入できる場合がありますが、主に事業者(個人事業主や中小企業)向けの制度であり、厳しい条件が設けられています。
(事業者ではない)一般の個人の方が、家庭用や私用のためにパソコンを買い替える目的で利用できる国の補助金は、残念ながら現状ではほとんどありません。
パソコンを買ったら補助金はもらえる?
パソコンの購入のみを目的とした個人向けの補助金は、ほとんどありません。
ただし、中小企業や個人事業主の場合、事業で使用する目的であれば、「IT導入補助金」などを活用できる可能性があります。
IT補助金はいつから申請できる?
2025年のIT導入補助金の交付申請は、2025年3月31日に受付が開始されました。
現在も申請を受け付けており、申請枠ごとに締め切り日が設定されています。
新設法人でもIT補助金は申請できる?
新設法人(設立1年未満)でもIT導入補助金に申請できるケースはありますが、いくつか条件があります。
多くの場合は、決算を一度終えていることが前提となります。
まとめ|PC導入コストを抑え、業務効率化を実現しよう
本記事では、法人がパソコンを購入する際に活用できる最も現実的な手段として「IT導入補助金2025(インボイス枠)」を中心に解説しました。
PCの導入・買い替えは、企業にとって大きなコスト負担ですが、キャッシュフローを圧迫せずに業務効率化(DX)を進めるチャンスでもあります。
使える制度を賢く活用し、本業の生産性向上につなげましょう。
補助金・助成金の申請に必要な登記変更や登記簿謄本が必要になったら
補助金や助成金の申請における添付書類の代表格が法人の登記簿謄本(登記事項証明書)です。
書類の用意はもちろんですが、その内容にも注意が必要なことをご存知でしょうか?
- 補助金対象の自治体に本店や支店の登記が必要になる
- 補助金の対象となる事業目的が登記簿謄本内にも記載されていなかった
- 代表者や役員の住所変更時の登記を申請しておらず、古いままになっていた
このようなことがあれば、審査通過以前の問題ですし、慌てて登記申請したとしても補助金申請の締切に間に合わないという可能性があります。
今後補助金申請を検討している方は、現在の登記簿謄本の内容を確認して、必要なら時間に余裕をもって変更登記を申請しておきましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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