一般社団法人はものづくり補助金に申請できる?

補助金申請
投稿日:2025.11.05
一般社団法人はものづくり補助金に申請できる?

設立間もない事業者にとっては新たな事業を軌道に乗せる上で、資金調達は避けて通れない課題です。金融機関からの融資だけでなく、「補助金」や「助成金」という制度を活用するのは有効な方法です。
本記事では、補助金の代表的な制度の一つである「ものづくり補助金」に焦点を当て、その概要から、特に一般社団法人が対象となるかという点、そして申請にあたっての注意点までを網羅しながら解説します。

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ものづくり補助金とは

「ものづくり補助金」の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、中小企業や小規模事業者の生産性向上を促進するための補助金制度です。

この制度は、革新的なサービスや試作品の開発、あるいは生産プロセスの改善に必要な設備投資など、競争力強化に資する取り組みに対して、費用の一部を補助することを目的としています。

どんな取り組みが対象になる?

この補助金は、名称に「ものづくり」とありますが、製造業だけでなく、サービス業や小売業、農業などの幅広い業種に適用されます。

  • 革新的な製品・サービスの開発
  • 生産プロセスやサービス提供方法の改善
  • これらに必要な設備の導入やシステム構築


などが主な対象です。

補助金額と補助率は?

補助金額や補助率は、申請する枠(類型)や従業員数によって異なりますが、一般的な枠の目安は以下の通りです。(例:製品・サービス高付加価値化枠)

従業員数

補助上限金額(補助下限額100万円)

補助率

5人以下

750万円

中小企業:1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3

6~20人

1,000万円

21~50人

1,500万円

51人以上

2,500万円

採択審査と公募期間

ものづくり補助金は、多くの補助金と同様に競争的な採択審査があります。事業計画の優位性や妥当性が厳しく審査されるため、申請すれば必ず受けられるわけではありません。
また、募集期間が限定されていることが多く、情報収集と準備を迅速に進める必要があります。申請は、インターネット上の電子申請システムを利用して行われます。

一般社団法人はものづくり補助金に申請できる?

ものづくり補助金の利用を検討している一般社団法人が最も気になる点、「一般社団法人はものづくり補助金の対象になるのか」について解説します。

基本的には一般社団法人は対象外

結論から言うと、ものづくり補助金において、一般社団法人は基本的に補助対象外とされています。
公募要領には、補助対象外となる法人格として、以下のように明記されています。
連合会や財団法人(公益・一般)、社団法人(公益・一般)、医療法人及び法人格のない任意団体は補助対象外です。
引用:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領

たとえ営利活動を行っている一般社団法人であっても、ものづくり補助金の公募においては対象者のリストから除外されています。

一般社団法人でも申請できる主な補助金・助成金

では、ものづくり補助金が利用できない一般社団法人が、設備投資や事業の変革、または雇用に関する資金を調達する場合、どのような制度を活用すれば良いでしょうか。多くの一般社団法人が活用できる代表的な補助金・助成金を紹介します。

事業再構築補助金

ものづくり補助金とは異なり、事業再構築補助金は、一般社団法人も補助対象者としています。
概要: 新しい分野への進出や事業再編など、「思い切った事業の再構築」を支援する大規模な補助金です。
対象となる法人格: 株式会社や合同会社などの営利団体と同様に、普通型一般社団法人と非営利型一般社団法人のどちらも申請可能です。
活用例: コロナ禍後の市場変化に対応するための新規事業の立ち上げや、既存事業からの大胆な業態転換など。
注意点: 一般的な営利事業者よりも厳しめに審査される可能性があるため、申請には綿密な事業計画の準備が必要です。

IT導入補助金

中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際の費用の一部を補助することで、業務効率化や売上向上を支援する補助金です。
概要: 会計ソフト、顧客管理システム(CRM)、ECサイト構築ツール、セキュリティソフトなどの導入費用が対象となります。
一般社団法人の扱い: 特定の枠(インボイス対応枠など)や類型において、要件を満たす一般社団法人が対象に含まれます。
活用例: 業務効率化のためのクラウド会計ソフトの導入、顧客・会員管理をデジタル化するためのシステム導入など。
注意点: 導入するITツールは、事務局に登録された「IT導入支援事業者」を通じて選定・導入する必要があります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が、販路開拓や生産性向上のための取り組み(持続的な経営に向けた取り組み)を行う際に、その経費の一部を補助する補助金です。
概要: Webサイト制作、チラシ作成、店舗改装、新たな設備の導入など、集客や業務改善に資する費用が対象となります。
一般社団法人の扱い: 事業内容が収益事業であり、従業員数の要件を満たせば、一般社団法人も対象となる可能性があります。
活用例: 新規会員獲得のための広告費、オンラインセミナー開催のための設備投資など。
注意点: 補助金額は比較的小規模ですが、商工会・商工会議所の支援を受けながら計画書を作成することが求められます。

人材関連の助成金(厚生労働省系)

雇用維持や労働環境改善に関する取り組みを支援する目的で、主に厚生労働省が管轄する助成金です。
概要: 従業員のスキルアップ研修、働き方改革の推進、特定の雇用(高齢者、障害者など)の促進などが対象です。助成金は要件を満たせば原則として受給できます。
一般社団法人の扱い: 労働保険に加入しており、労働法規を遵守している法人であれば、一般社団法人も広く活用できます。
活用例: 従業員を正規雇用に転換した場合(キャリアアップ助成金)、研修を実施した場合(人材開発支援助成金)など。
注意点: 助成金の申請手続きは社会保険労務士の独占業務であり、労働関連の法令遵守が前提条件となります。

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補助金申請にあたって、一般社団法人が留意すべき点

補助金制度を活用することは大きなメリットがありますが、一般社団法人が申請を検討する際には、株式会社などの営利法人とは異なる特有の課題があります。

補助金の対象事業者であるかの徹底確認

一般社団法人、特に非営利型一般社団法人は、補助金の対象外となるケースが多いため、まず公募要領の「補助対象者」欄を最優先で確認することが重要です。

  • 無駄な労力の回避: 申請書類の作成には多大な時間と労力がかかります。まず法人格が対象に含まれているかをチェックすることで、後で不採択となる無駄な作業を回避できます。
  • 収益事業の有無: 収益事業を行っていない場合、対象外となる補助金がほとんどです。事業内容が補助金の趣旨に合致し、かつ収益事業として認められるかを確認してください。

競争的な採択審査の理解(補助金の場合)

助成金が要件を満たせば原則受給できるのに対し、補助金は厳しい審査があるため、申請したからといって必ずしも受給できるわけではありません。一般社団法人であっても、事業計画の独自性や実現性が厳しく問われます。

先行して資金が必要になる可能性がある(事後精算の原則)

補助金は原則として「事後精算」です。事業の経費を自己資金で先に支払い、事業完了後の審査を経て初めて補助金が交付されます。このタイムラグに耐えうる資金力(つなぎ融資の検討も含む)が必要です。

申請手続きに労力がかかる

事業計画書、見積書、各種証明書など、膨大な量の提出書類が必要です。特に事業再構築補助金などの大型補助金では、専門的な視点と綿密な準備が不可欠となります。

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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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