定款認証をオンラインで完結するためのウェブ会議の手順・準備

会社設立の定款
投稿日:2026.10.14
定款認証をオンラインで完結するためのウェブ会議の手順・準備

定款認証は、公証役場に出向かなくても、パソコンやスマートフォンを使った「ウェブ会議」で完結できることをご存知でしょうか?2024年3月1日からは、利用者が希望しない旨を申し出ない限り、全国の公証役場で電子定款の認証はウェブ会議方式が原則になりました。

ただし対象になるのは電子定款だけで、紙の定款では利用できません。また、事前に定款案と実質的支配者となるべき者の申告書を公証役場へ送って審査を受けておかないと、当日になって認証を受けられないことがあります。司法書士などの代理人に依頼する場合は、委任状や印鑑証明書の原本を郵送する準備も別途必要です。ウェブ会議での定款認証では、準備するものが多いという注意点があるのです。

この記事では、ウェブ会議を利用できる条件と経緯、必要な機材・ソフト、予約前に済ませておく事前確認、代理人に依頼する場合の追加準備、当日の流れ、手数料の支払い方法までを、日本公証人連合会の案内に沿って解説します。

ウェブ会議による定款認証とは?対象と2024年3月の変更点

ウェブ会議による定款認証とは、公証人が映像と音声のやり取りができるウェブ会議を通じて発起人(または代理人)と直接面談し、電子定款にされた電子署名が本人によるものであることの確認と本人確認を行ったうえで認証する制度です。対象になるのは、株式会社・一般社団法人・一般財団法人・各種法人の電子定款と、電子私署証書です。紙の定款・紙の私署証書の認証には利用できません。


この制度は段階的に対象が広がってきました。


時期

内容

2019年3月29日

「テレビ電話方式」として制度開始。公証役場に出向かず電子定款の認証を受けられるようになった

2020年5月11日

発起人が自分で電子署名できない場合でも、紙の委任状で依頼した定款作成代理人(士業)を通じて利用できるよう対象拡大

2024年3月1日

名称が「ウェブ会議」に統一され、全国の公証役場で利用者から特段の希望がない限りウェブ会議方式を原則とする運用に変更


なお、発起人の設立意思など公証人法上必要な確認がウェブ会議では十分に行えない事情がある場合は、公証役場に来訪したうえでの対面審査になります。公証役場に出向く従来の認証の流れは「定款認証の流れ5ステップを公証役場の予約から受取りまで解説」でまとめています。

ウェブ会議に必要な機材とソフトの準備

ウェブ会議には、FacePeer社が提供する「FACEHUB」というシステムを使用します。以前はスマートフォン・タブレット向けに専用アプリが必要でしたが、現在はアプリが廃止され、ブラウザから接続する方式に統一されています。過去にアプリをインストールしたことがある場合は、アンインストールしたうえでブラウザから接続します。


対応ブラウザは端末ごとに異なります。自分の環境に合ったものを用意してください。


端末・OS

対応ブラウザ

パソコン(Windows)

Google Chrome、Firefox、Microsoft Edge

パソコン(Mac)

Google Chrome、Firefox、Safari

スマートフォン・タブレット(Android)

Google Chrome

スマートフォン・タブレット(iOS・iPadOS)

Safari


このほか、内蔵または外付けのカメラ・マイクと、安定したインターネット環境が必要です。カメラ・マイクがない端末ではウェブ会議を利用できません。

予約前にやること〜定款案と実質的支配者申告書の事前確認

ウェブ会議の予約を入れる前に、公証役場への事前確認が必要です。メールやFAXなどで、①認証を受けたい定款の案、②実質的支配者となるべき者の申告書を公証役場に送付し、定款の内容などについて事前調査を受けます。このとき、ウェブ会議の利用を希望する旨もあわせて伝えます。


この事前チェックや書類の送付を済ませないまま認証を求めても、認証を受けられない場合があるので、不足なく手続きできているかよく確認しましょう。定款に記載すべき事項や電子定款の作成手順については「電子定款の作り方・自分で作る手順と必要なソフト一覧を解説」で解説しています。

代理人に依頼する場合の追加準備〜委任状と印鑑証明書の郵送

発起人が自分で電子署名できず、司法書士などの定款作成代理人に依頼する場合は、紙の委任状を公証役場へ事前に郵送する必要があります。同封する書類は、発起人が個人か法人かで異なります。


  • 発起人が個人(自然人)の場合:3か月以内に発行された当該個人の印鑑登録証明書(原本)
  • 発起人が法人の場合:3か月以内に発行された当該法人の登記事項証明書、および代表者の印鑑証明書(いずれも原本)


郵送料は依頼主(嘱託人)の負担です。認証済みデータの受領方法によっては、返送先を記載した返信用レターパックの同封を求められることもあります。委任状や証明書の郵送・返送には日数がかかるため、認証を希望する日から逆算して余裕をもって送付することが必要です。

予約から認証完了までの流れ〜当日の本人確認と受け取り方法

事前確認と必要書類の送付が済んだら、次の手順でウェブ会議による認証を受けます。


  1. 公証役場にメールまたは予約フォームで、ウェブ会議を希望する日時を申し込む
  2. 公証人から、決定した予約日時とウェブ会議用URLがメールで届く
  3. 予約日までに、認証を受ける電子定款のオンライン申請を登記・供託オンライン申請システムで済ませる
  4. 予約日時にメール内のURLをクリック(スマートフォン・タブレットではタップ)すると、FACEHUBが起動して公証人とウェブ会議を接続
  5. 運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・住民基本台帳カード・在留カードなど、顔写真付きの本人確認書類を画面に提示し、公証人が本人確認と実質的な設立意思の確認を行う
  6. 公証人が認証できると判断すると、登記・供託オンライン申請システムを通じて認証済みデータが送信される。メールでの受領を希望する場合は、その旨を公証役場に伝える


手数料の支払い方法と対面認証に変更したい場合の申告書

手数料の支払いは、インターネットバンキングまたはクレジットカード納付が原則です。振込・決済が確認できた後に認証が行われます。領収書は、公証役場との相談のうえ、郵送またはメールで受け取れます。


ウェブ会議での確認が十分に行えない事情がある場合や、対面での審査を希望する場合は、これまでどおり公証役場に来訪して対面の面前審査を受けることも可能です。対面を希望するときは、日本公証人連合会のサイトからダウンロードできる「ウェブ会議の利用を希望しない旨の申告書」に必要事項を記入し、メールや持参で公証役場に提出します。


ウェブ会議での定款認証は、事前準備や手続きが必要になります。発生頻度の高い手続きではありませんので、公証役場に近くにある場合は、直接行く手間と比較するなどできるだけ手間のかからない方法を選択するのも有効です。


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