「早急に登記事項証明書を取引先に提出する必要ができたが、現在登記申請中で取得できないと法務局で言われた。」
基本的に登記事項証明書や印鑑証明書は、会社に関する変更登記を申請すると登記が完了するまで取得できなくなるため、このようなトラブルが生じることもあります。
しかし申請中の変更登記の内容によっては、管轄法務局において、一定の証明書を取得できる可能性があります。
本記事では、登記申請中に登記事項証明書・印鑑証明書を取得できるケースについて、具体例も挙げながら解説していきます。
「早急に登記事項証明書を取引先に提出する必要ができたが、現在登記申請中で取得できないと法務局で言われた。」
基本的に登記事項証明書や印鑑証明書は、会社に関する変更登記を申請すると登記が完了するまで取得できなくなるため、このようなトラブルが生じることもあります。
しかし申請中の変更登記の内容によっては、管轄法務局において、一定の証明書を取得できる可能性があります。
本記事では、登記申請中に登記事項証明書・印鑑証明書を取得できるケースについて、具体例も挙げながら解説していきます。
登記申請中に取得できるかどうかを判断するためは、まず、登記事項証明書や印鑑証明書について理解しておく必要があります。
「登記事項証明書」とは、登記記録に記録されている事項を証明する書面のことをいいます。
株式会社の登記記録は、次の区ごとに必要な情報が記載されています。
「商号区」
「目的区」
「支配人区」
「支店区」
「会社履歴区」
「会社状態区」
「登記記録区」
「株式・資本区」
「役員区」
「役員責任区」
「新株予約権区」
「企業担保権区」
登記事項証明書を請求する場合には、次の3つのいずれかを選択します。
(1)「全部事項証明書」
登記簿謄本に該当するもので、登記記録に記録されている全部の事項が記載されます。
(2)「一部事項証明書」
登記簿抄本に該当するもので、登記記録に記録されている一部の事項が記載されます。
(3)「代表者事項証明書」
登記事項のうち、代表者に関する事項が記載されます。
さらに、(1)「全部事項証明書」と(2)「一部事項証明書」については、必要な情報の内容に応じて、次の3種類のいずれかを選択する必要があります。
①現在事項証明書
現在有効な登記事項が記載されている証明書です。
②履歴事項証明書
現在有効な内容のほか、すでに抹消された事項についても過去3年分の内容が記載されている証明書です。
③閉鎖事項証明書
履歴事項証明書に記載されない抹消された事項や会社の解散などによって閉鎖された登記記録の内容が記載されている証明書です。
(1)の②のパターンである履歴事項全部証明書は、最も情報量が多いため、実務で利用されることの多い書類です。
しかし登記記録の一部の区の情報があればよいということであれば、(2)の②のパターンである履歴事項一部証明書によることもできます。
会社の代表者などが法務局に提出する印鑑は、個人の実印と同様に、本人確認手段などとして利用されています。
そのため取引先との契約書などに、会社の代表者が法務局に提出した印鑑で押印して、法務局が交付する印鑑証明書を添付することがあります。
印鑑証明書は、その印鑑が会社の代表者本人のものであることを証明するものなので、代表者が地位を失えば印鑑証明書の交付を受けることはできません。
登記申請中の会社の登記事項証明書や印鑑証明書については、次のような取り扱いがなされています。
登記が申請されているということは、登記記録に記録されている事項に変更が生じる可能性があるということです。
そのため、その状況で登記申請がなされる前の内容で登記事項証明書を発行してしまえば、現状を正確に反映していない情報を証明してしまうことになります。
また印鑑証明書についても、代表者が申請によって変更されていれば、すでに会社の代表者でない者を会社の代表者として証明してしまうリスクがあります。
したがって登記中は、基本的には登記事項証明書・印鑑証明書は取得できない取り扱いになっています。
登記申請中には登記事項証明書等の取得はできないのが原則ですが、例外的に取得できるケースがあります。
それは、「管轄法務局」において、「変更内容とは関係がない証明書を取得する場合」です。
なぜなら、登記申請を受けた管轄法務局では、どのような内容の変更登記の申請が行われたかを確認できるためです。
なお、管轄法務局でない法務局においては、変更内容を法務局が把握できないので、変更内容とは関係がない証明書であっても取得することはできません。
これまでご説明したように、「管轄法務局」において「変更内容とは関係がない証明書を取得する場合」には、登記申請中でも証明書を取得できます。
具体的には、次のようなケースが挙げられます。
役員変更の登記を申請している場合、「役員区」に変更が生じることになります。
そのため、役員区を含む登記事項証明書や、証明書の記載事項等に変更が生じる可能性がある印鑑証明書については、管轄法務局であっても取得できません。
しかし、役員区を除く一部事項証明書であれば、登記申請中であっても管轄法務局で取得することができます。
たとえば役員変更の登記中に、会社の資本金などを証明する必要が生じた場合には、管轄法務局で「株式・資本区」を選択して履歴事項一部証明書を取得し、証明することができます。
会社の資本金を増額する増資の登記を申請すると、登記簿の「株式・資本区」に変更が生じることになります。
そのため、株式・資本区を含む登記事項証明書は、取得することはできません。
しかし株式・資本区を含まない一部事項証明書であれば、増資の登記の申請中でも、管轄法務局で取得することは可能です。
たとえば、増資の登記中に、役員について証明する必要がある場合には、「役員区」を選択して履歴事項一部証明書を取得することはできます。
なお、増資の登記は、代表者等の印鑑証明書の記載事項に影響を与えるリスクはないので、管轄法務局においては、登記申請中でも印鑑証明書を取得することはできます。
会社の事業を拡大したり事業内容を変更したりするときには、会社の目的の変更登記が必要になることがあります。
目的変更の登記申請中には目的区に変更が生じるので、目的区を含む登記事項証明書は取得できません。
しかし、たとえば登記申請中に、事業拡大で生じた新規取引において、役員や資本金等の証明を行う必要が出てきたような場合には、「役員区」と「株式・資本区」を選択して履歴事項一部証明書を取得することで対応できる可能性もあります。
なお、目的変更の登記申請は印鑑証明書には影響を与えないので、登記中であっても、管轄法務局において印鑑証明書を取得することはできます。
本記事では、登記申請中に登記事項証明書・印鑑証明書を取得できるケースについて、具体例も挙げながら解説していきました。
登記申請中には、基本的に登記事項証明書や印鑑証明書の取得はできないため、登記申請前に取得して準備しておくことが大切です。
しかし、準備できていなかった場合や急な取引等で必要になった場合でも、内容によっては、管轄法務局で取得して対応できることもあります。
取得できるケースは、主に、登記申請中の内容と関係のない内容の証明書を請求する場合です。
具体例としていくつか挙げましたが、詳しくは管轄法務局などに問い合わせて、確認を取りながら進めることがおすすめです。
会社に関するさまざまな手続きで必要になる登記簿謄本。GVA 登記簿取得なら、法務局に行ったり郵送で依頼することなくネットからカンタンに交付請求できます。
GVA 登記簿取得では登記申請中の証明書取得には対応しておりませんのでご注意ください。
GVA 登記簿取得で、リーズナブルかつスピーディに登記簿謄本を請求しましょう。
GVA 登記簿取得はこちら(登録無料)
GVA 法人登記のマーケティングやコンテンツ作成を担当しています。GVA TECH株式会社では、オンライン登記書類作成サービス「GVA 法人登記」や契約書チェック支援支援「GVA assist」などのリーガルテックサービスを提供しています。