「GVA 法人登記」などのリーガルテックサービスの開発・運営を行うGVA TECH株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山本 俊)は、GVA 法人登記の利用ユーザー135社を対象に「会社設立後に発生する書類関連の手続きや、その際に感じた負担・課題」に関するアンケートを実施しました。
アンケート結果からは、創業間もない企業特有のリソース不足に起因する課題が読み取れましたが、その中でも設立直後の企業にとって最大の負担(ペイン)となっているのは「労務手続き」であることが判明しました。本記事では、その背景と実態について詳しく解説します。
※調査結果の引用時の表記について
本調査内容はご自由に引用・ご利用いただけます。転載される際には、本ページのURLおよび「GVA TECH株式会社調べ」と出典元の表記をお願いいたします。
調査実施の背景
「GVA 法人登記」は、必要な事項を入力するだけで、最短7分で登記申請書類や議事録などの添付書類を自分で作成できるサービスです。会社の登記情報を自動反映する仕組みにより、最低限の入力で正確な書類作成を可能にしています。
2019年1月に株式会社を対象にサービスを開始し、その後も合同会社、有限会社(特例有限会社)、一般社団法人の変更登記へと対応範囲を拡大。創業間もない企業や中小・スタートアップ企業を中心に、累計3万社以上でご利用いただいております。
本アンケートでは、会社の設立手続きや変更登記のみならず、設立後に発生するさまざまな手続き・書類提出において、経営者が「どのような点に負担を感じているのか」を調査しました。会社設立直後の企業への支援やサービス提供を検討されている方のご参考になれば幸いです。
調査概要
調査方法:GVA 法人登記の利用経験のあるユーザーへのアンケート調査
調査対象:GVA 法人登記をサービス利用した会社135社
調査期間:2026年3月12日~2026年3月31日
【調査結果1】回答企業の75%以上が「1〜5名」の小規模な会社
まず、アンケートにご回答いただいた企業の規模(役職員を含む従業員数)は以下の通りです。

従業員数(役職員含む) | 回答数 | 割合 |
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1名(代表のみ) | 45 | 33.3% |
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2〜5名 | 62 | 45.9% |
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6〜10名 | 8 | 5.9% |
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11〜30名 | 17 | 12.6% |
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31名以上 | 2 | 1.5% |
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代表者を含めて「1〜5名」の小規模な会社が全体の75%以上を占めています。 回答者の多くが、専任のバックオフィス担当者や人事・労務部署を持たない「スモールビジネス(SMB)」「一人会社」や「スタートアップの創業期」の経営者であることがわかります。限られたリソース(ヒト・モノ・カネ・時間)の中で、社長自らがバックオフィス実務も兼任しているという背景が読み取れます。
【調査結果2】接点のある士業は「税理士」が7割超。社労士は3割未満
会社設立前後で発生する手続きを依頼・相談した士業について聞いたところ、以下のような結果となりました。

依頼した士業 | 回答数 | 割合 |
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税理士 | 96 | 71.1% |
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司法書士 | 57 | 42.2% |
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社会保険労務士 | 37 | 27.4% |
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行政書士 | 36 | 26.7% |
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弁護士 | 13 | 9.6% |
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弁理士 | 9 | 6.7% |
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「税理士」が71.1%と圧倒的に多い結果となりました。これは、法人成り以前の個人事業主時代から接点があるケースや、税務・節税に関する手続きは早期から発生するため、専門家のサポートを優先して受ける傾向があるためです。(次いで多い「司法書士(42.2%)」も、会社設立の登記手続きからの繋がりと考えられます)
一方で、「社会保険労務士(社労士)」との接点は27.4%にとどまりました。就業規則の作成義務が10名以上からであることや、従業員を雇用するまでは労災・雇用保険の手続きが発生しないため、一定の会社規模になるまでは接点を持ちにくいことが影響していると考えられます。
行政書士も同水準で、やはり補助金や許認可など、法人であることが前提の手続きを対象にしていることが影響しています。
【調査結果3】自分で提出する書類のトップは「社会保険関連」と「法人設立届出」
会社設立後に発生する手続きの中で、自分で記入・提出したことがある書類をお聞きしました。

自分で記入・提出した書類 | 回答数 | 割合 |
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健康保険・厚生年金の新規適用届(年金機構) | 71 | 52.6% |
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法人設立届出書(税務署など) | 58 | 43.0% |
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労働保険の保険関係成立届(労働基準監督署) | 50 | 37.0% |
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雇用保険の適用事業所設置届(ハローワーク) | 48 | 35.6% |
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給与支払事務所等の開設届出書(税務署など) | 42 | 31.1% |
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青色申告承認申請書(税務署など) | 39 | 28.9% |
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就業規則(労働基準監督署) | 38 | 28.1% |
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36協定(労働基準監督署) | 27 | 20.0% |
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「健康保険・厚生年金の新規適用届(52.6%)」と「法人設立届出書(43.0%)」の高さが目立ちます。
これらは手続き自体の難易度というよりも、「会社設立直後の非常にタイトなタイミングで提出しなければならない」という期限の問題が大きく影響しています。このタイミングでは士業に相談する猶予や予算もなく、経営者自らが自力でなんとかせざるを得ないケースが多いことが背景にあると考えられます。
【調査結果4】会社設立後、最も負担に感じた手続きは「社会保険の新規適用届」
さらに範囲を広げ、「会社設立後に必要となる手続きの中で、負担に感じたもの」をお聞きしました。
質問:会社設立後に必要な手続きで負担に感じたものを教えてください

手続き内容 | 回答数 | 割合 |
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社会保険(健康保険や年金)の新規適用届 | 66 | 48.9% |
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法人口座の開設 | 59 | 43.7% |
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国税向けの届出(法人設立届出書や青色申告申請書など) | 48 | 35.6% |
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補助金の申請 | 47 | 34.8% |
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地方税の届出(都税・県税事務所など) | 44 | 32.6% |
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労働基準監督署・ハローワークへの届出(労働保険) | 39 | 28.9% |
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法人クレジットカードの作成 | 28 | 20.7% |
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許認可の申請 | 26 | 19.3% |
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「社会保険の新規適用届(48.9%)」が、法人口座の開設などを抑えてトップとなりました。
前問の「自分で提出した書類」では上位だった税務関係の届出などは、ここで比率が下がっています。これは、税金関連の手続きはすでに顧問税理士がついて代行してくれているか、あるいは自力で対応可能な範囲であったため、心理的な負担感としては軽減されている可能性があります。
一方、社会保険関連の手続きは、このフェーズでは社労士との接点が薄いこともあり相談できる相手がおらず、結果として「最大の負担(ペイン)」として浮き彫りになっています。
【調査結果5】「専門家に頼むお金はないが、自分では分からない」創業期特有のジレンマ
手続き全般において、具体的にどのようなポイントに負担を感じたかをお聞きしました。

負担に感じたポイント | 回答数 | 割合 |
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士業など専門家に依頼する費用が高い | 78 | 58.7% |
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どんなときにどの申請、提出が必要なのかわからない | 79 | 58.5% |
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書類の作成方法、必要書類がわからない | 54 | 40.0% |
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手続きが必要ということ自体が心理的な負担になっている | 48 | 35.6% |
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書類作成や提出する時間が確保できない | 43 | 31.9% |
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気づいたときには期限を過ぎていて慌てて対応したことがある | 34 | 25.2% |
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依頼する専門家とのやりとりが手間に感じている | 20 | 14.8% |
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大きく分けて「知識面」と「コスト面」の2つの課題が明確になりました。
「どんなときにどの申請が必要なのか全体像がわからない(知識面)」という声と、「士業などの専門家に依頼する費用が高い(コスト面)」という声が共に約6割を占めています。「自分でやるには知識がなく時間がかかりすぎるが、プロに頼むお金もない」という、規模の小さい会社ならではの構造的なジレンマに直面していることがわかります。
また、注目すべきは「気づいたときには期限を過ぎていて慌てて対応したことがある(25.2%)」という回答です。法律で定められた手続きにおいて期限超過は本来あってはならない「アウトな状況」ですが、4社に1社がこの状態に陥っていることからも、経営者にとって手続き業務がいかに重い課題であるかが窺えます。
まとめ:設立直後の最大のペインは「義務である労務手続き」
会社設立前は、資金繰りやマーケティング・営業面などに関心が向きやすく、「補助金や助成金」の申請に課題感を抱く経営者が多い傾向にあります。しかし、実際に会社を設立してみると、任意の補助金申請よりも、「設立から5日以内」に提出が求められる社会保険の新規適用届などの義務的な労務手続きが、現実的なペインとして重くのしかかってくるというギャップが生じています。
時間的な余裕がなく、相談できる社労士もいない。自力で調べる時間もなく、専門家に依頼するコストもかけられない。これが会社設立直後の経営者が直面する「労務の壁」の実態です。
今後の展開について
GVA TECHでは、この調査から浮き彫りになった強烈な「労務手続きのペイン」を、安価かつスピーディに解決するため、創業直後の社会保険手続きの課題を解決する新サービスを現在開発中です。
起業家が煩雑なバックオフィス業務に忙殺されることなく、本来の事業成長にリソースを集中できる環境を提供するため、今後もリーガルテック領域でのサービス拡充に努めてまいります。
執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。
GVA TECH株式会社では、「GVA 法人登記」だけでなく法務オートメーション「OLGA」などのリーガルテックサービスを提供しています。