会社設立を自分でやると大変な工程は?所要時間で比較

会社設立サービスの比較
投稿日:2026.10.09
会社設立を自分でやると大変な工程は?所要時間で比較

株式会社の設立を自分で進めるとき、作業時間が多くかかるのは「定款の作成」と「登記申請書類の作成」です。日数がかかるのは、公証役場での定款認証までのやり取りです。全工程を合わせると、作業時間は十数時間から30時間程度、着手から登記完了までは2〜4週間がひとつの目安になります。

「大変」と感じる理由は、作業量よりも判断と順番にあります。定款の記載事項は自分で決める必要があり、資本金の払込や登記申請には守るべき順番と期限があります。どこで手が止まりやすいかを先に知っておくと、全体の見通しが立てやすくなります。

この記事では、工程ごとの作業時間と待ち日数を一覧で比較し、手間が集中する工程とつまずきやすい点、手間を減らす方法を整理します。

会社設立を自分でやる工程と所要時間の一覧

株式会社を自分で設立する場合の工程と、所要時間の目安です。作業時間は書類を作る・窓口に行くなど手を動かす時間、待ち日数は相手方の処理や郵送を待つ時間です。


工程

作業時間の目安

待ち日数の目安

①基本事項の決定

3〜10時間

─

②会社の印鑑の作成

1時間

数日〜1週間

③定款の作成

3〜8時間

─

④定款認証(事前確認〜認証)

2〜4時間

数日〜1週間

⑤資本金の払込

1〜2時間

即日〜1日

⑥登記申請書類の作成・申請

3〜6時間

─

⑦法務局の審査

補正があれば対応

原則3執務日


※上記の表は目安です。発起人や役員の人数、定款の内容、公証役場・法務局の混雑状況によって変わります。


①〜③は並行して進められますが、④以降は順番が決まっています。特に④の待ち日数が全体の日程を左右します。工程全体の流れは「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」で詳しく解説しています。

作業時間がかかるのは定款と登記申請書類の作成

作業時間が最も多くかかるのは、③定款の作成と⑥登記申請書類の作成です。どちらも「書く」だけでなく、「何を書くか決める」作業を含むためです。


定款では、商号・本店所在地・事業目的・役員の任期・事業年度などを決めて記載します。事業目的は許認可の要件に、取締役会の有無は定款認証の手数料に関わるため、調べながら決めることになります。


登記申請書類は、申請書のほかに発起人の決定書・就任承諾書・払込証明書・印鑑届書など、ケースによって必要な書類が変わります。法務局の記載例はありますが、自分のケースに合う書類を選ぶ段階で迷いやすくなります。


GVA TECHが合同会社の経営者228名に行った調査(2023年8月実施)では、設立手続きを自分で申請した人は71.5%でした。一方で、設立時の課題として「定款の作成方法がわからなかった」が26.8%、「会社設立の申請方法がわからなかった」が26.3%にのぼります(出典:GVA TECH株式会社調べ「合同会社の経営者228名に、会社設立から設立後における課題についてアンケート調査を実施しました」)。自力で進める人が多い一方で、定款と申請書類の作成で手が止まる人も一定数いることがわかります。

定款認証は公証役場とのやり取りで日数がかかる

株式会社の定款は、公証役場で認証を受けて初めて効力が生じます。日数がかかるのは、認証の当日ではなく、その前のやり取りです。


一般的な流れは次のとおりです。


  1. 定款案と「実質的支配者となるべき者の申告書」を公証役場にメール・FAXなどで送り、事前確認を受ける
  2. 修正の指摘があれば直して再送する
  3. 認証日を予約する
  4. 予約日に公証役場で認証を受ける(電子定款ならウェブ会議による認証も可能)


事前確認で修正のやり取りが往復すると、そのぶん日数が延びます。実質的支配者の申告書は2018年11月から必要になったもので、日本公証人連合会のサイトから様式を入手できます。


定款認証の手数料は、資本金の額などで次のように変わります。


条件

手数料

資本金100万円未満+下記3条件をすべて満たす

1万5,000円

資本金100万円未満

3万円

資本金100万円以上300万円未満

4万円

上記以外

5万円


1万5,000円になる3条件は、発起人が全員個人で3人以下であること、定款に取締役会を置かないと定めること、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けると定めることです(2024年12月1日施行の公証人手数料令の改正による)。このほか、紙の定款には収入印紙4万円が必要で、電子定款なら不要です。手順の詳細は「定款認証の流れ5ステップを公証役場の予約から受取りまで解説」で解説しています。

資本金の払込と登記申請は順番と期限でつまずく

④の定款認証が終わると、⑤資本金の払込、⑥登記申請と進みます。この区間は作業量より、順番と期限でつまずきやすくなります。


資本金は、発起人の個人口座に払い込みます。定款を作成した日より前の入金は、払込として扱えないとされるのが一般的です。もともと口座にあった残高ではなく、出資額を改めて入金し、その記録が分かる通帳の写しと払込証明書を作ります。詳しくは「資本金の払込方法とは?払込証明書の作り方と見せ金・預け合いのリスクも解説」をご覧ください。


登記申請には期限があります。会社法911条1項により、設立時取締役による調査が終わった日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から、2週間以内に本店所在地を管轄する法務局へ申請します。


申請時には、登録免許税(資本金の額×0.7%。15万円に満たない場合は15万円)を収入印紙で納めます。書面で申請する場合は、会社の印鑑を届け出る印鑑届書も一緒に出すのが通常です。期限の数え方は「設立登記の期限2週間の起算日と過ぎた場合の対応方法」で解説しています。

申請後の審査は原則3執務日、補正で延びる

登記の申請後は、法務局の審査を待ちます。法務省は2018年3月から株式会社と合同会社の設立登記を優先的に処理しており、原則として受付日の翌日から起算して3執務日目までに完了させる運用です(法務省)。ただし、申請が多い時期は除かれます。


実際の完了予定日は、各法務局のサイトに掲載されている「登記完了予定日」で確認できます。


書類に不備があると法務局から「補正」の連絡が入り、直すまで登記は完了しません。押印漏れ、添付書類の不足、申請書と定款の記載の食い違いなどがよくある例で、そのぶん日程も後ろにずれます。


完了までの日数の調べ方は「設立登記の完了までの日数は?進捗の確認方法も解説」、補正への対応は「設立登記で補正の連絡が来たら?対応手順と却下を防ぐ方法」で解説しています。



手間を減らす方法と依頼先ごとの作業範囲

自分で進める場合も、方法の選び方で手間は変わります。


方法

減らせる手間

必要な準備

電子定款

収入印紙4万円

電子証明書・PDF署名ソフト

ウェブ会議での定款認証

公証役場への来所

電子定款・カメラ付き端末

郵送での登記申請

法務局への来所

書類一式の郵送

オンラインでの登記申請

法務局への来所・郵送

電子証明書・申請用ソフト


電子定款とオンライン申請は、来所や印紙代を減らせる一方、電子証明書やソフトの準備に時間がかかります。


書類の作成や申請を外部に頼む方法もあり、依頼先によって対応範囲が異なります。


依頼先

対応範囲

司法書士

書類作成と申請の代理まで

書類作成サービス

書類の作成と申請の準備まで(申請者は本人)

自分で行う

すべて自分で


申請の代理まで行えるのは司法書士です。書類作成サービスを使う場合、法務局への申請者は本人のままです。依頼先ごとの料金と対応範囲は「会社設立サービス比較6選 料金と対応範囲の違いで選ぶ」、自分で行う場合との費用差は「会社設立を自分でやる手順と依頼した場合との費用比較」で比較しています。


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