税理士は会社設立をどこまで支援できる?業務範囲を解説

会社設立サービスの比較
投稿日:2026.10.09
税理士は会社設立をどこまで支援できる?業務範囲を解説

税理士が会社設立で支援できるのは、資本金・決算期・役員報酬といった税金に関わる相談と、設立後に税務署や自治体へ出す届出書の作成・提出までです。会社を成立させる手続きそのもの、つまり登記申請の代理は税理士の業務に含まれません。

「税理士に会社設立を頼めば全部終わる」と考えていると、ここでつまずきます。会社設立の手続きは、定款の作成、公証役場での認証、法務局への登記申請、税務署への届出、年金事務所への届出と、扱う士業が工程ごとに法律で分かれているからです。税理士事務所の「設立サポート」は、提携する司法書士や行政書士と分担して成り立っていることが多くあります。

この記事では、税理士ができる業務とできない業務を根拠法とあわせて一覧にし、設立後の税務届出の期限、依頼先ごとの対応範囲の違いを整理します。

税理士ができること・できないこと一覧

工程ごとの対応可否は次のとおりです。


工程

税理士

本来の担当

資本金・決算期などの税務相談

○

税理士

定款の作成

△(行政書士登録があれば可)

行政書士・司法書士

法務局への登記申請の代理

✕

司法書士・弁護士

税務署・自治体への届出

○

税理士

年金事務所・労基署への届出

✕

社会保険労務士

記帳・決算・法人税申告

○

税理士


税理士の独占業務は、税理士法第2条が定める「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つです(国税庁「税理士の業務」)。

税理士が会社設立で支援できる業務

設立前:税金に関わる設計の相談

次の項目は税負担に影響するため、税理士への相談対象になります。


  • 資本金の額:資本金1,000万円以上で設立すると、設立1期目から消費税の納税義務が生じます(消費税法第12条の2)
  • 決算期(事業年度):設立日と決算期の組み合わせで、1期目の長さや消費税の免税期間の長さが変わります
  • 役員報酬の額:役員報酬は原則として期首から3か月以内に決め、期中は同額で支払わないと損金になりません(定期同額給与)

設立後:税務署・自治体への届出

税理士は次の届出書の作成と提出を代理できます。


届出書

提出先

期限

法人設立届出書

税務署

設立日から2か月以内

青色申告の承認申請書

税務署

設立日から3か月を経過した日と1期目の終了日のいずれか早い日の前日

給与支払事務所等の開設届出書

税務署

開設日から1か月以内

法人設立届(地方税)

都道府県・市区町村

自治体ごとに異なる


青色申告の承認申請は、期限を過ぎるとその事業年度は青色申告ができません。

創業融資と記帳

創業融資の創業計画書づくりを税理士に相談するケースもあります。設立後は記帳・決算・法人税申告が中心業務です。

税理士ができない業務と根拠法

登記申請の代理(司法書士法)

法務局への設立登記の申請を代理できるのは、司法書士と弁護士です(司法書士法第3条・第73条)。税理士は登記の申請書の作成も申請の代理もできません。

定款の作成(行政書士法)

定款は「権利義務に関する書類」にあたり、報酬を得て作成できるのは原則として行政書士と、登記申請に付随して作成する司法書士です。税理士は行政書士となる資格を持つため(行政書士法第2条)、行政書士として登録している税理士であれば定款を作成できます。


2026年1月1日施行の改正行政書士法では、第19条に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が加わりました。「サポート費用」などの名目でも、行政書士でない者が報酬を得て作成することはできません。

社会保険・労働保険の届出(社会保険労務士法)

年金事務所への新規適用届(事実発生から5日以内)や労働保険の届出を代理できるのは社会保険労務士です(社会保険労務士法第27条)。税理士が付随して行える範囲は租税債務の確定に必要な事務に限られ、社会保険の官署への提出はできないとされています。【要確認】

「税理士に会社設立を依頼」の実際の仕組み

「会社設立 代行」で探すと税理士事務所の設立支援プランが見つかりますが、税理士単独では登記申請の代理ができないため、多くは次の形で成り立っています。


  • 提携する司法書士が登記申請を担当する
  • 税理士が行政書士を兼ねている:定款作成までは自所で対応する形です
  • 顧問契約を前提とした料金体系:設立報酬を抑え、税務顧問契約を条件とする形です


税理士報酬は2002年の税理士法改正で報酬規定が廃止され、事務所ごとに自由に設定されています。依頼前には、登記申請を誰が担当するか、設立報酬に含まれる工程、顧問契約の有無と最低契約期間の3点を確認しておくと、想定外の費用を避けやすくなります。

依頼先ごとの対応範囲

依頼先は、登記申請を誰が行うかで3つに分かれます。税理士はどれとも組み合わせられます。


依頼先

対応できる範囲

申請者

司法書士

書類作成+登記申請の代理まで

司法書士(代理)

書類作成サポート

書類の作成・郵送申請のサポートまで

本人

自力

すべて自分で

本人


司法書士の報酬相場は「会社設立を司法書士に頼む費用・報酬相場5〜15万円の内訳」で整理しています。

税理士に相談するタイミング

相談時期は設立前・設立後のどちらもありえます。


時期

相談するメリット

留意点

設立前

資本金・決算期を税務面から設計できる

相談料・顧問契約の条件を確認する

設立後

事業規模が見えてから選べる

期限のある届出を自分で管理する


GVA TECH株式会社が法人135社に行った調査では、設立前後に接点のあった士業の1位は税理士(71.1%※)でした。ただし設立手続きそのものは別の方法で進める必要があります。※



税理士が不要なケースは「税理士なしで会社設立はできる?必要になる場面を解説」をご覧ください。


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まとめ

税理士が支援できるのは、税務面の設計の相談と設立後の税務届出・記帳・申告です。登記申請は司法書士、定款作成は行政書士、社会保険の届出は社会保険労務士の業務です。依頼前に、どの工程を誰が担当するかを確認しましょう。


依頼先ごとの料金と対応範囲は「会社設立サービス比較6選 料金と対応範囲の違いで選ぶ」で一覧にしています。設立手続きの全体像は「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」で確認できます。


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