株式会社の設立を司法書士に依頼した場合、司法書士報酬は5万〜15万円が目安です。日本司法書士会連合会が公表している報酬アンケート(2024年3月実施)では、発起人2名・資本金500万円の株式会社を発起設立する場合の報酬は、平均107,887円(有効回答932件)でした。
ただし、支払う金額の全体は報酬だけではありません。登録免許税15万円と定款認証手数料1万5,000円〜5万円という実費が別にかかり、これは自分で手続きをしても同額必要です。つまり、依頼で増えるのは報酬の部分だけですが、見積書で報酬と実費が分かれていないとそこが判断できません。
この記事では、報酬と実費の内訳、公表されている料金表5例の実際の金額、報酬に含まれない費用、自分で手続きする場合との差額を整理します。
会社設立を司法書士に頼む費用・報酬相場5〜15万円の内訳
会社設立を司法書士に依頼した場合の費用の内訳
支払う金額は、司法書士に払う「報酬」と、法務局や公証役場に納める「実費」に分かれます。
項目 | 金額 | 支払先 |
|---|---|---|
司法書士報酬 | 5万〜15万円 | 司法書士事務所 |
登録免許税 | 15万円(資本金の額×0.7%が15万円を超える場合はその額) | 法務局 |
定款認証手数料 | 1万5,000円〜5万円 | 公証役場 |
定款の謄本・同一情報の提供 | 2,000円前後 | 公証役場 |
定款の印紙代 | 電子定款は0円/紙定款は4万円 | 公証役場 |
実費は条件で変わります。代表的な2パターンです。
資本金100万円未満・発起人3名以下(全員自然人)・取締役会非設置の場合:定款認証手数料が1万5,000円になるため、実費は約16万7,000円。報酬を加えた総額は22万円台〜32万円台になります。
資本金500万円・発起人2名の場合(報酬アンケートの条件):定款認証手数料は5万円、登録免許税は15万円で実費が約20万2,000円。報酬の平均107,887円を加えると、総額は31万円前後です。
登録免許税の計算方法は「会社設立登記費用と登録免許税(印紙代)の計算と納付手順を解説」、認証手数料が1万5,000円になる条件は「定款認証の手数料は?1.5万円になる条件を資本金で解説」、実費を含む総額は「会社設立の費用の総額はいくら?かかる費用の内訳早見表つき」で解説しています。
司法書士報酬の相場|公表されている料金表5例
日本司法書士会連合会の報酬アンケートは、全国から抽出された司法書士を対象に2024年3月に実施されたものです。会社設立登記の項目は「発起人2名、資本金500万円の株式会社の発起設立で、定款・議事録などの書類をすべて作成し、定款認証手続および登記申請の代理をした場合」という条件で、平均107,887円(消費税込み・有効回答932件)です。
ただし、各事務所が公表している金額には幅があります。
事務所(所在地) | 株式会社設立の司法書士報酬 |
|---|---|
若林司法書士事務所(東京都千代田区) | 38,000円(税込) |
九九法務事務所(埼玉県川口市) | 44,000円(税込) |
みらい事務所(神奈川県川崎市) | 60,000円〜(税抜) |
なみき事務所(東京都大田区) | 99,000円(定款作成50,000円+登記申請49,000円・税抜) |
森成事務所(千葉県浦安市) | 110,000円〜(税込) |
同じ「株式会社設立」でも金額が2倍以上違う理由は、報酬に含む作業の範囲が異なるためです。定款作成と登記申請を分けて計上する事務所、会社の謄本取得や印鑑カードの交付申請まで含める事務所があります。また、種類株式の発行、現物出資、役員や出資者に海外居住者がいる場合、受任から申請まで2週間以内の急ぎの案件などは加算または個別見積もりとする事務所が多く、加算を含めると15万円前後になる例もあります。
報酬に含まれない費用|見積書で確認する5項目
「報酬〇万円」という表示だけでは総額が確定しません。見積もりを受け取ったら、次の5点を確認すると後から金額が増えるのを防げます。
- 定款の作成と登記申請が別料金になっていないか
- 定款の謄本(電子定款の場合は「同一情報の提供」と「電磁的記録の保存」)の手数料が含まれているか
- 登記事項証明書・印鑑証明書の取得手数料と、取得を代行する場合の報酬
- 表示金額が税込みか税抜きか
- 出張打合せ・書類の引渡し、郵送費、交通費などの実費
司法書士報酬は2003年に共通の基準が廃止され、各事務所が自由に定めています。ただし算定方法と諸費用を明示して依頼者と合意することが会則で定められているため、算定根拠は依頼前に確認できます。
司法書士に頼める範囲|依頼先による対応範囲の違い
会社設立の手続きを進める方法は、大きく3つに分かれます。違いは「書類を作るのは誰か」ではなく「法務局に申請するのは誰か」です。
依頼先 | 書類の作成 | 登記の申請 |
|---|---|---|
司法書士 | 依頼できる | 本人に代わって代理できる |
オンラインの書類作成サービス | 依頼できる | 申請するのは本人 |
自分で手続き | 自分で作成 | 自分で申請 |
登記手続きの代理は、司法書士法第3条第1項で司法書士の業務として定められ、同法第73条では司法書士でない者が業としてこれを行うことを禁じています(罰則あり)。そのため、税理士や行政書士に設立の相談はできても、登記申請の代理を依頼することはできません。士業ごとの業務範囲は「会社設立は行政書士・税理士に頼める?業務範囲の違い」で整理しています。
「申請まで任せたい」なら司法書士、「書類作成の手間を減らしたい」なら書類作成サービスという切り分けです。対応範囲の違いは「会社設立はどこまで任せられる?依頼先ごとの対応範囲」で比較しています。
自分で手続きする場合との差額はいくらか
登録免許税と定款認証手数料は、誰が申請しても同額です。したがって、依頼するかどうかで変わるのは報酬の部分、つまり4万円台〜11万円台(加算を含めれば15万円前後まで)の範囲になります。
ただし、自分で手続きする場合は紙の定款に4万円の収入印紙を貼る必要があり、電子定款であればこれは不要です。電子定款の作成には対応ソフトと電子証明書が必要になるため、印紙代4万円を避けるための準備費用と手間が別途かかります。手順は「電子定款の作り方・自分で作る手順と必要なソフト一覧を解説」で解説しています。
GVA TECHが合同会社の経営者228名に行った調査では、設立手続きを自力で行った人は71.5%でした。一方で「会社設立の申請方法がわからない」が26.3%、「定款の作成方法がわからない」が26.8%と、書類の作成と申請の段階で止まりやすいこともわかります。
依頼するか自分で進めるかの判断材料
どちらが適しているかは、会社の内容と使える時間によって変わります。判断の材料になるのは次の点です。
- 設立日に希望があるか:会社の成立日は登記の申請日です。余裕のないスケジュールだと、書類の不備による補正で日程がずれることがあります
- 加算対象の要素があるか:現物出資、種類株式の発行、役員や出資者に海外居住者がいる場合は、手続きが複雑になり報酬も加算されます
- 機関設計を変えるか:設立時から取締役会を設置すると、必要な書類が増え、定款認証手数料も1万5,000円の区分から外れます
- 手続きに割ける時間があるか:定款の作成、公証役場での認証、法務局への申請という3つの工程が発生します
選択肢は、司法書士に依頼して申請まで代理してもらう、書類作成サービスで自分で申請する、すべて自分で行うの3つです。依頼先ごとの料金と対応範囲は「会社設立サービス比較6選|料金と対応範囲の違いで選ぶ」で一覧に整理しています。
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