会社設立サービスの「無料」は、サービスの利用料と書類作成が0円という意味です。電子定款の作成には5,000円前後がかかり、これが0円になるのは、多くの場合そのサービス会社の会計ソフトを契約したときです。公証役場と法務局に払う実費は、どのサービスを使っても無料になりません。
広告やサービス名に「無料」とあると、会社設立そのものが0円でできるように見えます。実際には、何が無料になるのかと、無料になる条件がサービスごとに違い、条件を満たすために契約した会計ソフトの料金は設立後も続きます。
この記事では、freee・マネーフォワード・弥生の公式情報をもとに、無料になる範囲と条件、無料でもかかる費用、使う前に確認しておきたい点を整理します。
会社設立サービスが無料になる条件とは?前提の違いを比較
「無料」が指すのはサービス利用料の部分
会社設立でかかる費用を、無料になり得るものとならないものに分けると次のとおりです。
費用 | 無料になるか | 支払先 |
|---|---|---|
サービス利用料・書類作成 | なる | サービス会社 |
電子定款の作成費用(5,000円前後) | 条件付きでなる | サービス会社・提携専門家 |
定款認証手数料(1.5万〜5万円) | ならない | 公証役場 |
登録免許税(15万円〜) | ならない | 法務局 |
つまり「無料」は、上の2行に関する話です。株式会社の設立では、下の2行だけで最低でも約16万7,000円がかかります。
主要3サービスが無料になる条件の比較
電子定款の作成費用が0円になる条件を、各社の公式サイトの記載で比べます(2026年9月30日時点)。
サービス | 有料になる部分 | 0円になる条件 |
|---|---|---|
freee会社設立 | 電子定款(行政書士への委任)5,000円 | freee会計の年間契約 |
マネーフォワード クラウド会社設立 | 電子定款の作成 5,000円 | 法人向け有償プランの契約(年払い・月払いは問わない) |
弥生のかんたん会社設立 | 電子定款作成またはオンライン申請 5,500円(税込) | 弥生会計 Nextの年契約 |
3社とも、0円になる条件は自社の会計ソフトの契約です。違いは契約の形で、freeeと弥生は年契約が条件、マネーフォワードは月払いでも対象になると案内しています。
月払いで条件を満たせる場合は、設立後に解約するまでの期間によって負担額が変わります。年契約が条件の場合は、少なくとも1年分の料金がかかります。
各サービスの詳しい料金は「freee会社設立の料金は本当に0円?条件と対応範囲」「マネーフォワード会社設立の料金は?0円になる条件と範囲」「弥生のかんたん会社設立の料金は?0円になる条件と範囲」で解説しています。
なぜ無料で提供できるのか
3社はいずれも、クラウド会計ソフトを主な事業としている会社です。会社設立サービスは、設立の時点で会社の情報(資本金、役員、設立費用など)を預かり、その情報を設立後の会計ソフトに引き継げる仕組みになっています。
たとえば弥生は、設立時に登録した資本金や設立費用のデータが弥生会計 Nextに連携される点を特長として案内しています。電子定款の費用を0円にする条件が会計ソフトの契約と結びついているのも、この仕組みの一部と考えると分かりやすくなります。
読者の側から見ると、「無料」は設立後に同じ会社の会計ソフトを使う前提で成り立つ価格だといえます。
無料でもかかる費用
サービスの利用料が0円でも、次の費用はかかります。
実費(株式会社)
- 定款認証手数料:資本金100万円未満で一定の条件を満たすと1万5,000円、それ以外は3万〜5万円(詳しくは「定款認証の手数料は?1.5万円になる条件を資本金で解説」)
- 定款の謄本手数料:約2,000円
- 登録免許税:資本金×0.7%と15万円のうち高いほう
選び方で増える費用
- 紙の定款を選ぶと、収入印紙代4万円がかかる(電子定款なら不要)
- 有料オプション:電子定款の急ぎ対応(弥生は11,000円)、電子公告サービス(マネーフォワードは年3,980円・税抜)、法人印鑑の購入など
無料サービスを使う前に確認したい5つの点
「無料」には条件があるため、始める前に次の5点を確認しておくと、あとで想定外の出費になりにくくなります。
1. 会計ソフトの料金は毎年かかる
電子定款の5,000円前後が0円になる代わりに、会計ソフトの利用料が続きます。設立後に使う会計ソフトが決まっていないなら、両方の金額を並べて比べてください。
2. 税理士が会計ソフトを指定することがある
GVA 法人登記ユーザー135社への調査では、設立前後に接点のある士業の1位は税理士で、71.1%l※でした。顧問税理士が使う会計ソフトが別のものだと、0円の条件を満たすために契約したソフトを使わなくなる場合があります。※GVA TECH調べ
3. 申請するのは本人
書類作成サービスは書類を作るところまでで、公証役場への定款認証の申請や法務局への登記申請は、原則として自分で行います。
4. 対応していない設立ケースがある
たとえば弥生のかんたん会社設立は、現物出資を含む設立や、発起人に法人・未成年者が含まれる設立には対応していません。自分の設立内容が対象になるか、先に確認してください。
5. 途中からは使えない場合がある
弥生のかんたん会社設立は、途中から利用することはできないと明記しています。最初に選ぶサービスで最後まで進める前提で選ぶのが安全です。
依頼先ごとの対応範囲の違い
無料の書類作成サービスは、選択肢のひとつです。依頼先によって、どこまで任せられるかが違います。
依頼先 | できる範囲 | 申請する人 |
|---|---|---|
司法書士 | 書類作成と申請の代理 | 司法書士(代理人) |
書類作成サービス | 書類作成と申請の準備 | 本人 |
自力 | すべて自分で行う | 本人 |
司法書士に依頼する場合の報酬は「会社設立を司法書士に頼む費用・報酬相場5〜15万円の内訳」で解説しています。
前提をそろえて比べる方法
会社設立サービスを比べるときは、表示価格ではなく、次の3つをそろえて見ると比較しやすくなります。
- 無料になる範囲(利用料だけか、電子定款まで含むか)
- 無料になる条件(会計ソフトの契約が要るか、年契約か月払いか)
- 条件を満たしたあとに毎年かかる費用
依頼先ごとの料金と対応範囲は「会社設立サービス比較6選 料金と対応範囲の違いで選ぶ」で一覧にしています。設立手続き全体の流れは「株式会社設立の流れ9ステップ|登記申請の方法と費用」をご覧ください。
※料金と条件は、2026年9月30日時点の各社公式サイト(freee会社設立、マネーフォワード クラウド会社設立 ご利用料金、弥生のかんたん会社設立 費用FAQ)の記載によります。
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