会社設立はどこまで丸投げできる?依頼先ごとの対応範囲

会社設立サービスの比較
投稿日:2026.10.06
会社設立はどこまで丸投げできる?依頼先ごとの対応範囲

会社設立で外部に任せられる範囲は、依頼先によって3段階に分かれます。定款の作成から法務局への登記申請までを一続きで任せられるのは司法書士です。クラウド型の会社設立サービスは書類を作る工程を支援する立場で、申請者は本人になります。

「丸投げできます」「おまかせ」と書かれていても、実際にどこまで手を離せるかはサービスごとに違います。これは各社の方針の違いではなく、登記申請の代理を業として行える人が法律で限られているためです。ここを取り違えると、契約したあとで「申請は自分でやるのか」と気づくことになります。

この記事では、会社設立の8つの工程のうち人に任せられるのはどこか、依頼先3分類の対応範囲はどう違うのか、費用はどれだけ変わるのかを整理します。

会社設立の工程は8つ|人に任せられる工程と自分でやる工程

株式会社の設立は8つの工程に分かれます。外部に任せられるのは書類を作る工程と申請する工程で、残りは本人が動きます。


工程

内容

外部に任せられるか

1. 基本事項の決定

商号・本店・事業目的・資本金・役員を決める

本人(相談は可)

2. 印鑑の準備

会社の実印を発注し、印鑑証明書を取得する

本人

3. 定款の作成

絶対的記載事項を漏れなく記載する

任せられる

4. 定款の認証

公証役場で認証を受ける

任せられる

5. 資本金の払込

発起人名義の口座に払い込む

本人

6. 登記書類の作成

登記申請書・就任承諾書・払込証明書を作る

任せられる

7. 登記の申請

法務局へ提出する

司法書士のみ代理可

8. 設立後の届出

税務署・年金事務所などへ届け出る

任せられる(届出先による)


「申請書類を作ってもらう」ことと「申請そのものを代わりにやってもらう」ことは別の話です。

依頼先は3つに分かれる|対応範囲の一覧

任せる場合の選択肢は、対応範囲で3つに整理できます。


依頼先

書類の作成

登記申請の代理

申請者

司法書士

対応

できる

司法書士

会社設立サービス(クラウド型)

作成を支援

できない

本人

自分で行う

本人

─

本人


司法書士に依頼すれば、定款の作成から法務局への申請までを一続きで任せられます。


クラウド型の会社設立サービスは、情報を入力すると設立書類が出力される仕組みです。本人が押印し、本人の名義で法務局へ提出します。手間は減りますが、申請者は本人です。


自分で行う場合は、法務局の記載例を見ながら全工程を進めます。実費以外の費用はかかりません。手順は「会社設立を自分でやる手順と依頼した場合との費用比較」で解説しています。GVA TECHが合同会社の経営者228名に行った調査では、設立手続きを自力で行った割合は71.5%※でした。※GVA TECH調べ

登記申請の代理ができるのは司法書士だけ|根拠となる法律

司法書士法第3条第1項は、司法書士の業務として「登記又は供託に関する手続について代理すること」(第1号)と「法務局又は地方法務局に提出する書類を作成すること」(第2号)を挙げ、同法第73条第1項がこれらを司法書士以外に禁じています。


士業

会社設立で扱える書類

登記申請の代理

司法書士

定款・登記申請書類

できる

行政書士

定款・許認可の申請書類

できない

税理士

設立後の税務署への届出書類

できない


行政書士法第1条の3は、官公署に提出する書類などの作成を業務としつつ、他の法律で制限されているものは行えないと定めています。定款は扱えても、登記申請書類は扱えません。


税理士法第2条が定める業務は税務代理・税務書類の作成・税務相談で、登記は含まれません。設立後の法人設立届出書は税理士の領域です。


士業ごとの線引きは「会社設立は行政書士・税理士に頼める?業務範囲の違い」で解説しています。


「おまかせ」でも自分でやる3つの工程

依頼先を問わず、次の3つは本人が進めます。

1. 会社の基本事項を決める

商号・本店所在地・事業目的・資本金の額・役員・事業年度は発起人が決める事項です。依頼先は選択肢や注意点を示せますが、決定そのものは代われません。

2. 資本金を払い込む

資本金は、発起人名義の個人口座に発起人自身が払い込みます。設立前は会社名義の口座を作れないためです。払込後は通帳をコピーし、払込証明書と綴じます。

3. 実印を押し、印鑑証明書を取得する

登記申請書や就任承諾書には本人の実印を押します。発起人・取締役の印鑑証明書は市区町村役場で取得し、印鑑登録がまだなら登録から始めます。

依頼先ごとの費用の目安|実費は共通、変わるのは報酬

実費は誰に頼んでも変わりません。変わるのは報酬です。


実費(株式会社の場合)


費目

金額

定款認証手数料

1万5,000円〜5万円(資本金の額等による。公証人手数料令第35条)

登録免許税

資本金の額の0.7%。15万円に満たない場合は15万円

定款の印紙税

紙の定款は4万円。電子定款は非課税


報酬(依頼先で変わる)


依頼先

報酬の目安

含まれる範囲

司法書士

5〜15万円

書類の作成と登記申請の代理

会社設立サービス(クラウド型)

0円〜数万円

書類の作成の支援

自分で行う

0円

実費のみ


司法書士報酬の5〜15万円は、日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果」(2024年3月実施)に基づく目安で、案件の内容や地域で変わります。


クラウド型サービスの「0円」は、会計ソフトの契約などが前提になっている場合があります。


報酬の内訳は「会社設立を司法書士に頼む費用・報酬相場5〜15万円の内訳」で解説しています。

報酬の内訳は「会社設立を司法書士に頼む費用・報酬相場5〜15万円の内訳」で解説しています。

どこまで任せるかを決める3つの判断材料

登記申請そのものを人に任せたいか

法務局とのやりとりまで手を離したいなら、代理ができるのは司法書士です。補正の連絡への対応も任せられます。

減らしたいのは「書類を作る手間」か

調べる時間と作成の手間を減らしたいだけなら、書類作成型のサービスで足ります。申請は本人が行います。

設立の内容が標準的か

発起人が法人である、現物出資がある、設立時から取締役会を置くケースは、必要書類も定款の書き方も変わります。標準から外れるほど、個別に相談できる依頼先の価値が上がります。


サービスごとの料金と対応範囲は「会社設立サービス比較6選|料金と対応範囲の違いで選ぶ」に一覧でまとめています。

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