会社設立を司法書士に依頼するメリット・デメリット

商業登記・会社登記情報
投稿日:2024.09.25
会社設立を司法書士に依頼するメリット・デメリット

個人事業主から会社に法人成りをする際や、子会社などを新たに設立する場合など、税理士など士業の専門家が会社設立に携わる事は多くあります。会社設立をするにあたっては法人登記申請が必要になりますが、登記申請の専門家は司法書士ということはご存知でしょうか?

この記事では、会社設立をした際に司法書士へ登記申請を依頼する場合のメリットとデメリットを紹介するとともに、司法書士へ登記申請を依頼したらどのくらい費用がかかるのかを紹介していきたいと思います。

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会社設立で司法書士が行う業務

司法書士が会社設立を行う業務として、登記申請の他に、書類作成など以下のものがあげられます。

会社設立の手続きは司法書士に依頼できる

会社設立をするには法務局へ設立登記が必要であり、書類の準備や普段慣れていない手続きとなる為、非常に複雑かつ面倒な手続きと感じる人が多いです。

会社設立にあたってはさまざまな士業へ相談する事が可能です。顧問税理士がいる場合には税理士へ相談する人が多いでしょう。しかし、税理士は税務や会計の専門家でありますが、登記申請の専門家ではありません。

士業の中で登記申請を専門としているのは司法書士である為、会社設立登記などの登記申請を代行してもらう場合、司法書士へ依頼する必要があります。

会社設立にあたって司法書士に依頼できること

司法書士は、登記を中心とした手続きができる専門家です。具体的な内容としては、主に登記申請などの手続きの他、どんな会社にするかのアドバイスや、申請に必要な書類作成があります。

なお、法務局の窓口での申請手続きは司法書士の独占業務となっており、司法書士(弁護士)以外の専門家には出来ません。また、会社設立後に発生する会社の住所変更や事業内容、役員の変更など、会社の情報が変更となる際の手続きも依頼することができます。

司法書士との契約は、登記申請が必要となった際にスポットで契約を結ぶこともあれば、長期的な契約を結ぶことも可能です。
長期契約をすることにより、日頃から会社の情報を司法書士へ共有しておく事で、イレギュラーな事象が発生した場合でも迅速な登記申請が可能となります。

なお、会社設立全体の流れについては以下の記事も参考にしてください。

関連記事:会社設立〜法人登記の流れや手順を解説

司法書士に会社設立を依頼する流れ

①設立会社の内容を司法書士へ提出
司法書士へ会社設立を実際に依頼するにあたって、まずは司法書士事務所に、設立する会社の基本情報を伝える事から始めます。
会社の商号、本店所在地、事業年度、資本金、発行済株式数、役員、株主などの基本情報を司法書士事務所へ伝えます。もちろん、これらをどう設定すればいいかのアドバイスも受けられます。

②司法書士が必要な書類作成
司法書士事務所は、提出された情報をもとに、司法書士が書類をもとに定款等を作成します。

③書類確認・押印、登記費用
作成された書類を確認し、会社の実印を押印し、登記申請費用を司法書士に支払います。

④司法書士が定款認証
これらを司法書士が公証人役場へ行き、定款認証を行います。

⑤資本金の振込
定款認証を終えた後、資本金を指定の口座へ入金します。入金後、振り込み内容が記載された入出金明細が必要になります。

⑥司法書士が登記申請
入金後、司法書士が管轄の法務局に出向き、会社設立の法人登記申請を行います。司法書士が法務局で会社設立の登記申請を行った日が「会社設立日」となります。

⑦法人登記完了
法務局での処理は、おおむね登記申請から1週間~2週間後に法人登記が完了します。
登記完了予定日が過ぎたら、再度法務局へ行き、設立後に必要な書類を法務局から受け取ります。
法務局より受け取った「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」に記載された設立日が法人の設立した日となります。

会社設立を司法書士に依頼するメリット

会社設立を司法書士に依頼するメリットについて解説します。

登記の専門家の司法書士なら安心

会社設立を支援できる専門家としては、税理士、司法書士、行政書士が挙げられます。ただし、会社設立手続きで必要となる設立登記申請を行うことができるのは、司法書士のみです。

設立登記申請のプロである司法書士が作成した申請書類であれば、そもそもミスが起きづらいですし、万が一書類に不備があっても適切な修正対応ができます。申請が通らないといった不安はほとんどありません。

会社設立のスピードが早い

会社設立の登記申請は自分で行う事も可能ですが、調べながら手続きを進めていくため、当初の予定通りに手続きを進めることができず、時間がかかってしまうことがあります。

司法書士は登記申請手続きに慣れた専門家であるため、自分で手続きをするよりも、正確かつスピーディーな対応が可能です。

手続き以外のことができる

会社設立のの手続きをすべて司法書士に任せれば、登記申請に面倒な書類作成や、公証役場や法務局へも出向かなくて済み、会社設立手続き以外の本業に集中することができます。

会社設立時は、やらなければいけないことが多くあるため、設立手続きばかりに時間を費やすことが難しいこともあります。会社設立時の貴重な時間を確保するという点でも、会社設立を司法書士に依頼するメリットがあります。

会社設立を司法書士に依頼するデメリット

デメリットとしては登記申請の専門家である反面、それ以外のことで支援が受けづらいことなどが挙げられます。

経理面の相談などは難しい

会社設立を司法書士へ依頼するデメリットとしては、司法書士は登記申請の専門家であり、会社の経理業務などについては相談できない可能性があります。あくまでも司法書士は会社設立の登記申請の専門家と考えるべきでしょう。

また、会社設立にあわせて、許認可や補助金・助成金申請なども必要になるケースがありますが、司法書士に許認可や補助金申請の代行の権限はなく、これらの手続きについては自分で行うか、行政書士や社会保険労務士など他の専門家に依頼しなくてはなりません。

費用がかかる可能性

顧問契約している税理士などがいる場合、従来の費用内でアドバイスを受けられる可能性がありますが、あらためて司法書士に依頼する場合その分の費用がかかります。もちろん専門領域が違い、依頼できる内容も異なります。会社設立においては司法書士は専門家であり、高いサービスを提供できますが、合計でかかる費用は増える可能性が高くなります。

会社設立を司法書士に頼んだ場合の費用

会社設立の手続きにかかる費用としては、登録免許税や定款認証にかかる費用の他に、司法書士への報酬が必要です。株式会社、合同会社それぞれでかかる費用は以下のとおりです。

登録免許税

株式会社:資本金の額×0.7%(15万円未満の場合は15万円)
合同会社:資本金の額×0.7%(6万円未満の場合は6万円)

司法書士への報酬

株式会社の場合、おおよそ6万円〜、合同会社の場合、おおよそ5万円〜程度の報酬が発生します。依頼する司法書士によって異なる場合もありますので、依頼前に確認しておきましょう。

その他の費用

株式会社:定款への収入印紙代4万円(電子定款の場合は不要)、謄本請求手数料が約2,000円、定款認証の手数料3万円~5万円
合同会社:定款への収入印紙代4万円(電子定款の場合は不要)

会社設立から登記完了までの期間

これまで司法書士に会社設立を依頼した場合のメリットやデメリットなどを解説しましたが、最後に会社設立登記が申請してから完了まで、どのくらいかかるのか紹介します。

登記申請から完了まで5〜6日程度

会社設立登記を申請してから登記が完了するまでの期間は、およそ5日〜6日程度必要です。

平成30年3月12日から、会社の設立登記のファストトラック化がされた事により、申請から完了までの期間が短縮されました。ファストトラック化とは、他の登記に比べて会社(株式会社と合同会社が対象)の設立登記を優先的に行う制度です。この結果、登記申請の受付日の翌日から起算して3日から4日程度で会社設立登記は完了します。

ただし、会社設立の登記完了してから登記簿や印鑑カード、印鑑証明書を取得するには、さらに最低1日は必要となります。登記完了後に法務局から書類が返送されてくる時間も考慮する必要があるため、冒頭でも述べたように、登記が完了するまでには、5日〜6日程度見たほうが無難でしょう。

費用はかかるが司法書士に依頼するメリットは大きい

司法書士への会社設立依頼であれば、報酬は発生しますが、確実かつ希望のスケジュールに合わせた登記ができる可能性が高くなります。登録免許税など総額をふまえても報酬額は無理のない負担ともいえますので、メリット・デメリットをふまえて検討いただければ幸いです。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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