本店移転や役員変更に必要な商業登記といえば司法書士の独占業務です。
GVA 法人登記が対象にしている商業登記申請の方法として代表的なのが「司法書士に依頼する」方法ですが、実は司法書士が何なのかよくわかっていない・・という方も多いようです。独占業務であることを知らず、司法書士以外の士業(弁護士)の方や無資格者に登記申請を依頼してしまうこともあるようです。
本記事では司法書士についての説明や他の士業との違いについて解説します。
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そもそも士業とは?
士業とは読んで字のごとく、名称の最後に「士」がつく専門資格を総称したものです。
おもに司法、会計、土木建築、不動産、医療、福祉の領域で有効なものが中心で、その多くは国家資格となっており、難易度の高い試験に合格することが必要です。
士業のうち職務上必要な場合に請求権が認められている、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士、海事代理士の8つを8士業と呼ぶ場合があります。みなさんがなんとなくイメージする士業もほとんどはここに含まれるのではないでしょうか?これら8士業はそれぞれ根拠法があり、独占業務(その資格を持っていない者がやってはいけない業務)が認められています。資格が必要なのはもちろん、都道府県もしくは監督官庁に登録することで開業できます。
8士業以外にもたとえば、建築士や宅地建物取引士、ボイラー技士、保育士など数十種類の士業があります。また、「士」が付かないが「師」がつき国家資格が必要な医師や歯科医師、薬剤師などを総称して「士師業」と呼ぶこともあります。
司法書士とは?
司法書士は8士業のうち、司法書士法に定められた国家資格です。
法律に関する専門知識を持ち、登記業務や供託の代理、裁判所などへ提出する書類作成などを依頼者に代わって行うことができる資格です。
また、平成14年に始まった認定司法書士制度の基準を満たすことで、簡易裁判所管轄の賠償金額140万円までの民事訴訟を弁護士と同様に務めることができます。和解や支払い督促、証拠保全、民事調整、仲裁といった行為の代理も可能で、簡易裁判所で取り扱う事件の99%をカバーできると言われています。
司法書士の業務は以下のとおりです。
- 登記または供託に関する手続についての代理
- 法務局または地方法務局に提出する書類の作成と提出
- 法務局または地方法務局の長に対する登記または供託に関する審査請求の手続の代理
- 裁判所もしくは検察庁に提出する書類または筆界特定の手続において法務局もしくは地方法務局に提出する書類の作成と提出
- 作成した書類の法務局・裁判所への提出
司法書士と、弁護士や行政書士の違い
司法書士についてよくある質問の一つが「弁護士や行政書士との違い」です。
その違いを簡単に説明すると以下のようになります。
弁護士との違い
弁護士の業務は弁護士法で規定されています。
司法書士も簡易裁判の代理人になることができますが、本来この業務は弁護士の独占業務でした。現在も簡易裁判以外の民事訴訟や刑事事件の代理人は弁護士でなければできません。
また、弁護士は司法書士に許されている登記手続きの代理を含む法律事務全般も取り扱うことができます。その他にも遺産分割や離婚の調停などにおいて弁護士は相談や代理などできることに制限はありませんが、司法書士は一部制限があることがあります。
実際には、特定領域に知見があったり得意領域の違いもあるのでスキル的にすべてできるかは別にしても、法律上は弁護士のほうができることが多くなります。
行政書士との違い
行政書士の業務は行政書士法で規定されています。
行政書士はおもに行政(国や都道府県、市町村などの行政機関)に提出する書類の作成や提出を代行できる資格です。司法書士は法務局や裁判所への提出書類が対象になります。
行政機関向けの代表的な書類としては、官公庁への各種許認可や補助金などの申請や、権利義務の証明書類が含まれます。もちろんですが、行政書士は商業登記や不動産登記の書類作成や申請代行はできません。
上記のような違いはありますが、相続や定款の作成など、司法書士と行政書士どちらでも対応できる業務もあります。中には両方の資格を取り、業務の幅を広げている人もいます。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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