金融機関等との取引を開始する際、自社の実質的支配者について確認を求められることがあります。これは犯罪収益移転防止法により特定の事業者が顧客と取引を開始する際に顧客に対して確認をすることが求められているもので、法的な義務に基づいて行われているものです。
金融機関などからの確認に対してきちんと申告をするためにも、本記事では実質的支配者の概要や確認方法を解説します。
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実質的支配者とは?
まずは会社の実質的支配者とは何なのか、その意味を確認しておきましょう。
法人の意思決定や事業運営を支配できる関係にある者を指す
「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)の改正に伴って、2016年10月1日以降、特定の事業者が法人である顧客との取引を開始するにあたって、その顧客の実質的支配者を確認することが義務付けられました(犯罪収益移転防止法第4条第1項第4号)。
この「実質的支配者」とは、議決権を有する者のほか、取引先である法人の意思決定や事業運営を実質的に支配することが可能となる関係にある者も指す場合があります。
会社を実質的に支配する者が自然人であればその自然人が実質的支配者となります。他方で、会社を実質的に支配する者が法人である場合にはさらにその法人を実質的に支配する者を確認し、それが自然人に行き当たるまでさかのぼることで、実質的支配者を確認することができます。
実質的支配者を確認する目的
実質的支配者を確認する目的は、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ組織・犯罪組織への資金流出や法人の悪用を防止することにあります。
犯罪収益移転防止法は、マネーロンダリングやテロ組織・犯罪組織の資金確保に利用されるおそれのある取引を行う事業者を「特定事業者」として定め(犯罪収益移転防止法第2条第2項)、この事業者に対して、法人である顧客と取引を開始するにあたってその顧客の実質的支配者を確認することを義務付けています。
これにより、特定事業者の取引がマネーロンダリングやテロ組織・犯罪組織の資金確保に利用されることを防止しているのです。
実質的支配者の確認が必要なシーン
顧客の実質的支配者を確認することが義務付けられている特定事業者として代表的なものは銀行です(犯罪収益移転防止法第2条第2項第1号)。
銀行口座はマネーロンダリングやテロ・犯罪行為の資金確保に利用される可能性があります。そこで、犯罪収益移転防止法は、銀行に対して、口座開設をしようとする法人の実質的支配者を確認することを義務付けることで、その銀行口座がマネーロンダリングやテロ・犯罪行為の資金確保に利用されることを防止しようとしているのです。
他にも、法人クレジットカードを作成する際や証券口座を作成するときにも実質的支配者を確認されます(犯罪収益移転防止法第2条第2項第22号・40号)。
法人の代表取締役などとの違い
実質的支配者と法人の代表取締役とはどのような違いがあるのでしょうか?
同族企業やオーナー企業のような会社の場合、株主と代表取締役は同一である場合が多いです。そのため、この場合は、株主=代表取締役が、実質的支配者となると考えられます。
他方で、会社の所有と経営の分離が進んだ会社では、株主と代表取締役などの経営陣とが異なってきます。代表取締役や経営陣は、あくまで議決権を有する株主から会社の経営の委任を受けるために選任される立場に過ぎません。そのため、その会社の株式を持つ株主が会社の実質的支配者となるのが原則となります。
実質的支配者の該当条件は、資本多数決法人かどうかにより決まる
それでは次に実質的支配者に該当する具体的な条件をみていきましょう。
資本多数決法人かどうかによって条件が異なる
実質的支配者に該当する条件は、資本多数決法人か否かによって異なります。
資本多数決法人とは、その会社に出資した額に応じた議決権によって意思決定が行われる法人のことを指します。株式会社や特例有限会社、投資法人、特定目的会社などが該当します。
資本多数決法人以外の法人は、一般社団法人、一般財団法人、公益財団法人、公益社団法人、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、特定非営利活動法人、合名会社、合資会社、合同会社などが該当します。これらの法人は、その法人に出資した額にかかわりなく出資者に均等に付与された議決権によって意思決定が行われる法人です。
なお、以下でいう「自然人」には国、地方公共団体、人格のない社団又は財団、上場企業等及びその子会社などの「自然人とみなされる者」(犯罪収益移転防止法第4条第5項、同法施行令第14条、同法施行規則第11条第2項第1号、同条第4項)も含まれます。
資本多数決法人の場合
資本多数決法人(株式会社等)においては、以下の者が実質的支配者に該当します(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第11条第2項第1号・第2号・第4号)。
1 当該法人の議決権の2分の1を超える議決権を直接又は間接に有している自然人がいる場合 | 当該自然人 |
2 ①の自然人がおらず、かつ、当該法人の議決権の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有している自然人がいる場合 | 当該自然人 |
3 ①・②の自然人がいない場合 | 出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有する自然人 |
4 ①・②・③の自然人がいない場合 | 当該法人を代表し、その業務を執行する自然人 |
資本多数決法人以外の場合
資本多数決法人以外の法人においては、以下の者が実質的支配者に該当します(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則第11条第2項第3号・第4号)。
1 当該法人の事業から生ずる収益又は当該事業に係る財産の総額の4分の1を超える収益の配当又は財産の分配を受ける権利を有していると認められる自然人 | 当該自然人 |
2 出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人 | 当該自然人 |
3 ①・②の自然人がいない場合 | 当該法人を代表し、その業務を執行する自然人 |
実質的支配者リスト制度による確認
実質的支配者に関連する制度として、実質的支配者リスト制度というものがあります。以下ではこの制度について解説します。
実質的支配者の情報把握ニーズの高まりが背景に
日本においては、法人の登記に実質的支配者の記載がないため、犯罪収益移転防止法における実質的支配者の確認は、当該顧客からの申告によって確認されます。
他方で、諸外国では実質的支配者の登録制度があり、誰でも実質的支配者の情報にアクセスすることができるようになっています。
この点について、法人の透明性を向上させ、マネーロンダリングの目的による法人の悪用を防止する観点から、FATF(金融活動作業部会)の勧告や金融機関からの要望等、国内外の要請が高まっていました。これを受け、日本でも、2022年1月31日、実質的支配者リスト制度の運用が開始されることになりました。
この制度は、株式会社・特例有限会社のみが対象となっており、それ以外の投資法人や特定目的会社などの資本多数決法人や資本多数決法人以外の法人は対象となっていません。
実質的支配者リスト制度の概要
この実質的支配者リスト制度は、株式会社・特例有限会社からの申出により、商業登記所(法務局)の登記官が、その実質的支配者に関する情報を記載した書面を保管し、その写しを交付するものです。
申出を受けた登記官は、添付書面及び商業登記所の保有する情報等に基づき実質的支配者リストの内容を調査し、調査が終わると実質的支配者リストをスキャンして保管するとともに、申出法人について、実質的支配者リストが保管されている旨を登記簿に記載します。これにより、実質的支配者リストを届け出ている信用性の高い会社と評価されることになります。
また、株式会社・特例有限会社は、犯罪収益移転防止法における実質的支配者の確認を受けた際、登記官が交付した認証付きの実質的支配者リストの写しを提出することができます。
ただし、株式会社・特例有限会社における実質的支配者の該当条件は、以下の①~④がありますが、実質的支配者リストの対象となっているのは、①と②のみである点に注意が必要です。
1 当該法人の議決権の2分の1を超える議決権を直接又は間接に有している自然人がいる場合 | 当該自然人 | 対象 |
2 ①の目然人がおらず、かつ、当該法人の議決権の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有している自然人がいる場合 | 当該自然人 | 対象 |
3 ①・②の自然人がいない場合 | 出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有する自然人 | 対象外 |
4 ①・②・③の自然人がいない場合 | 当該法人を代表し、その業務を執行する自然人 | 対象外 |
なお、株式会社・特例有限会社であれば、無料で利用することができます。
また、実質的支配者リストについては、その申出法人のみが交付を求めることができ、実質的支配者を確認することが義務付けられている金融機関等が直接商業登記所に交付を求めることはできません。実質的支配者リストの内容はプライバシーにかかわるものを含むためです。
実質的支配者は法人の種類により異なることに注意
本記事では実質的支配者について解説しました。
資本多数決法人かどうかによって実質的支配者の条件が異なるため、自社の法人の種類に応じた条件をよく理解しておきましょう。
また、金融機関等から実質的支配者の確認を受けた際には、実質的支配者リスト制度を活用することができます。株式会社・特例有限会社であれば、無料で利用することができ、簡便に実質的支配者の申告をすることができるので、ぜひ利用を検討することをおすすめします。
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