ペーパーカンパニーとは?違法性やマイクロ法人との違いを解説

企業法務
投稿日:2024.08.01
ペーパーカンパニーとは?違法性やマイクロ法人との違いを解説

「ペーパーカンパニー」という言葉を耳にしたことのある方は多いでしょう。ペーパーカンパニーを使って銀行から不正に融資を受けていた詐欺グループが逮捕されたニュースなども記憶に新しいところです。

事業活動の実態のない会社等を総称するペーパーカンパニーという言葉ですが、正確な意味や合法または違法なのか、作り方等はっきりとは知らないという方が多いのではないでしょうか。

本記事ではペーパーカンパニーの設立の目的や適法性等について解説します。

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ペーパーカンパニーとは?

まず、最初にペーパーカンパニーとはどのような存在なのかという点について解説します。

書類上は存在するが活動の実態がない法人

ペーパーカンパニーという言葉には法的な定義はありません。登記上は存在するものの、事業活動の実態のないという特徴をもつ会社等を総称する言葉であり、俗称的な意味合いの強い言葉です。ペーパーカンパニーに類似する言葉として、ダミー会社や幽霊会社(ゴースト会社)などが挙げられます。

ダミー会社とは、一般的に詐欺や悪徳商法などの違法行為を行っている集団が隠れ蓑にするために用いられる会社のことを意味します。

幽霊会社とは、登記はなされているものの事業活動などはなく放置されている会社のことを意味します。さらに幽霊会社と類似するものに休眠会社が挙げられます。

休眠会社とは、営業中の会社を何らかの理由で休眠手続きしたり、「株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したもの(会社法第472条1項括弧書き)」を指します。幽霊会社と同様に事業活動が行われなくなった会社のことを言いますが、会社法上定義があるか無いかという点が異なります。

休眠会社を除くと、いずれもポジティブな意味合いで使われる事はなく、どちらかというと会社という法人格を利用しているというネガティブな意味合いで使われることが多いものです。

では、ペーパーカンパニー自体が直ちに違法となるかと言うとそうではありません。ペーパーカンパニーの設立自体は違法ではありませんが、そのペーパーカンパニーを利用して犯罪行為を行ったり、脱税等を行った際にそれらの行為が違法と判断されるのです。

ペーパーカンパニーの設立自体が違法なものと勘違いしやすいのでこの点は抑えておきましょう。

節税を目的として設立されることが多い

ペーパーカンパニーは先ほども少し触れたように節税を目的として設立される場合が多く見られます。
例えばApple社や、Googleの親会社Alphabet社はタックスヘイブンと呼ばれる法人税や所得税の税率の低い地域(租税回避地)に子会社を設立し、そうした地域に利益をとどめることで、節税を行っています。税金の安い国や地域に会社を設立する行為は本来自由ですが、租税回避地以外に居住していたり主要な事業活動を行っている会社が子会社などを設立する行為は不正各紙や脱税・マネーロンダリング等の温床となっていると批判されています。

こうしたタックスヘイブンへの子会社の設立とそれを通した節税行為は、仮に脱税と判断されれば違法行為となります。また、タックスヘイブンを利用した節税には批判が集まっており、実際に経済協力開発機構(OECD)は、悪質な租税回避を規制する目的でCRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)と呼ばれる新制度を策定し対応をしています。

このように規制を強化する方向で動いていることからすると、設立当時は適法な節税行為であった場合でも事後的に税務調査などの際に違法な脱税とみなされたり、規制の対象となるなどペーパーカンパニーの設立はリスクの高い行為といえます。そのため、ペーパーカンパニーの設立は一般的には推奨しかねる行為といえるでしょう。

「活動の実態」によっては違法でないケースもある

ペーパーカンパニーは全ての適法性が疑わしい訳ではありません。一見するとペーパーカンパニーと同じように見えますが、活動内容が異なれば問題のない会社であるといえるケースもあります。

例えば、近年増加してきた、社員が全員リモートワークで物理的なオフィスがないケースなどが挙げられます。社員全員がリモートワークをしている場合、オフィスを維持するための維持費や費用等が無駄となるため、物理的なオフィスがない会社となります。

この場合には、事務所がないのでペーパーカンパニーと似ているようにも思われますが、事業活動を行っているのでペーパーカンパニーとはみなさないのが一般的です。
このように解釈によってはペーパーカンパニーと似たような会社であっても活動の実態によってはペーパーカンパニーとみなされない場合もあるので注意しておきましょう。

ペーパーカンパニーを設立する目的・理由

では、このようなグレーな存在であるペーパーカンパニーはどういった目的や理由で設立されるのでしょうか。ここからは設立の目的や理由について解説します。

節税効果

ペーパーカンパニーを設立する最大の目的は節税効果を得るためです。法人には様々な課税がされますが、そのうちの代表的なものに法人税があります。法人税とは、会社の所得にかかる税金のことを指し、個人でいうところの所得税に相当するものです。

この法人税は所得に応じて税金額が変動することになっており、中小企業の場合利益が800万円以下の場合には税率の軽減措置を受けられます。そのため、ペーパーカンパニーを設立し、ペーパーカンパニーをトンネル会社としてこれを通じた取引を行うなどをすることで利益をペーパーカンパニーにも帰属させ利益を800万円以下に抑えることができれば節税効果を得ることができます。

このように地方法人税や法人事業税についても軽減措置を受けられる範囲になるようにペーパーカンパニーに利益などを帰属させることで同様に節税効果を受けることができます。

また、この他に節税や免税効果を得ることが期待できるのが消費税です。消費税には以下のような制度があります。

  • 課税売上高が1000万円以下の場合、消費税の納税が不要
  • 預かった消費税より支払った消費税の方が大きい場合、差額は還付される


この制度を利用したものとして、ペーパーカンパニーが商品を仕入れ、それを会社が通常より高く買い、通常の価格で第三者に販売するというスキームが考えられます。この場合、高く買った会社はその分消費税を多く支払うため、第三者から預かった消費税よりも支払った消費税の方が高くなります。そのため、消費税の還付を受けることが可能となります。

さらに、ペーパーカンパニーと会社で利益を分散させ、課税売上高を1000万円以下にすれば消費税の納税も免除されます。このようにペーパーカンパニーを利用することで消費税についても節税や免除が可能となるケースもあります。

その他にもペーパーカンパニーを設立して、個人が保有している資産を会社に移すことで相続対策が図られるケースもあります。

このように、ペーパーカンパニーは節税目的で様々な利用がなされますが、取引の実態がないにもかかわらず、節税を目的としてこのような行為を行った場合には、税務調査の対象となったり、脱税とみなされて摘発されるリスクがある点は押えておきましょう。

交際費などの経費対象の枠を増やす

法人税法上、費用は損金として法人税法上の税金の控除の対象となりますが、交際費については原則として損金にできません。しかし、例外として一定の範囲内であれば交際費を損金にできる旨が定められています。その範囲は、資本金が1億円以下の法人であれば年間800万円までの交際費、もしくは接待飲食費の50%までとされています。

これを利用して資本金1億円以下のペーパーカンパニーを設立することで会社とは別に損金算入可能な交際費の枠を増やすことができるという仕組みです。

このように、損金算入可能な交際費を増やすことで損金の金額が増加するため、その分節税になるという効果を狙うのが目的です。

資産の移転による節税

資産移転による節税にはペーパーカンパニーへの不動産売却という方法もあります。価値が下がった不動産をその価格で売却する場合や、不動産価格を調整して損失の出る価格でペーパーカンパニーへ売却する方法などがこれに当たります。不動産の売却によって会社へ損失が生じるためその分利益が圧縮されるため税額が下がり、節税効果が生じるというものです。

この他に節税ではないものの、会社の利益を図るためにペーパーカンパニーを利用して行われるものに、不良債権等の含み損のある資産を簿価でペーパーカンパニーに譲渡する方法です。

この方法は「飛ばし」行為と呼ばれており、粉飾決算の方法として用いられています。
いずれもペーパーカンパニーの法人格を悪用するもので違法となる可能性の非常に高い行為です。

違法・悪徳行為の隠れ蓑

ペーパーカンパニーの設立の目的として考えられるのが、違法行為や悪徳行為を行っている反社会的組織が外見上は普通の会社に見せかけるために設立するケースです。こうしたケースでは社長や取締役は関係のない第三者になっているものの実質的な支配者や株主・オーナーは反社会的組織に関係する人物となっている場合が少なくありません。

また、悪質な宗教活動を行うために、勧誘相手からの信用を得るのを目的としてペーパーカンパニーを設立するケースもあります。これらも違法となる可能性の非常に高い行為です。

特別な目的で設立される会社

この例としては、冒頭でも少し触れたタックスヘイブンに金融取引目的で設立される常勤職員のいない会社などが挙げられます。こうした会社も事業を行わず金融取引のみを行うためペーパーカンパニーに該当します。

ペーパーカンパニーとマイクロ法人の違いや共通点

ペーパーカンパニーと似たような形態にマイクロ法人があります。ペーパーカンパニーとマイクロ法人にはどんな違いや共通点があるのでしょうか?

活動の実態があるかないか

マイクロ法人とは発起人も代表者も1人の株式会社や合同会社等のことをいいます。いわゆる一人会社のことです。確かにマイクロ法人は法人の規模が最小限度という点ではペーパーカンパニーと似ていますが、事業活動を行っているかという点が決定的に異なります。マイクロ法人で通常の会社と同様に事業活動を行っていれば、もちろん違法性はありません。

オーナーが少人数であったり、節税目的という点は共通

マイクロ法人もペーパーカンパニーも節税を目的として設立されるという点や少人数での運営という点は共通しています。しかし、同じ節税でもマイクロ法人は個人事業主としての納税と法人としての納税のどちらかがメリットがあるかを比較検討して設立するものであり、グレーゾーンをついて節税しようとするペーパーカンパニーとは全く異なります。

なお、マイクロ法人であっても過剰に節税を行った場合には脱税などと指摘され違法性や脱法性が高まるため注意しましょう。

ペーパーカンパニーかどうかをチェックする方法

ペーパーカンパニーは違法行為や脱法行為を行っている可能性が高いため、可能な限り取引や関わり合いを避ける方が賢明といえるでしょう。では、ペーパーカンパニーかどうかはどうやって見分ければ良いでしょうか。そのためには以下のような方法が考えられます。

  • ホームページを確認し、代表者や住所、連絡先などの情報を公開しているかチェックする。
  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を確認し、不自然な登記が行われていないか、事業目的などをチェックする。
  • 帝国データバンクなどのデータベース企業などに売上額など照会する


以上の様な方法が考えられます。特に有効なのが帝国データバンク等へのデータ照会です。組織規模と比較して不自然なほど売上が高い場合や低すぎる場合にはペーパーカンパニーでないか確認するようにしましょう。

自社を守ったり、巻き込まれないように注意しましょう

ペーパーカンパニーは、設立自体は違法ではないものの、その設立の目的や主に行われている行為から違法または浮上にグレーな存在であるといえます。本記事を参考に取引先がペーパーカンパニーではないか、またペーパーカンパニー特有の行動を行っていないか確認し、ペーパーカンパニーであった場合は取引を中止するなどの措置を講じるようにしましょう。


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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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