下請法とは?中小企業の経営者が知っておきたいポイントを解説

企業法務
投稿日:2024.10.28
下請法とは?中小企業の経営者が知っておきたいポイントを解説

会社が物品や役務(サービス)を用意して顧客に販売・提供する事業を行っている場合、そのすべてを自社で作成するのではなく、その全部や一部の作成を別の事業者に委託して調達することはよくあります。


このような取引のうち一定の条件をみたすものは下請法の適用を受けるものがあります。

その場合、下請法の規制のもと様々なルールを遵守する必要があります。


中小企業の経営者の方であれば、下請法について意識をされている方もいるかと思いますが、その内容について正確な理解をされている方は多くはないのではないでしょうか。

下請法違反については罰則もあるので、このルールについてきちんと理解しておかないと思わぬところで会社に大きなダメージが生じることもあります。


本記事では、下請法について、その概要と規制の内容を確認したうえで、中小企業の経営者が注意すべき点などを解説していきます。


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下請法とは?

まずは、下請法がどのような法律なのか、その概要や適用される場面について確認していきましょう。

下請事業者に対する不当な取り扱いを規制する法律

下請法とは、正式名称を「下請代金支払遅延等防止法」といい、資本金の小さい会社や個人事業主などの下請事業者に対して親事業者がその優越的な地位を濫用して不当な行為を行うことを禁止する法律です。

そのような取引における優越的な地位の濫用を防止する法律として独占禁止法があります。独占禁止法が優越的な地位の濫用についてより広く禁止するものであるのに対して、下請法は、優越的な地位の濫用の危険性が特に高い下請取引を具体的な規制対象とするものです。その意味で、下請法は、独占禁止法を補完する役割を担っています。

下請法が適用される取引形態

下請法が適用される対象の取引は、親事業者が下請事業者に対して、規格、品質、形状、仕様等を指定して業務を委託する取引で、以下の4つの形態に大別されます。

①製造委託

・消費者向けに自動車を販売している親事業者が、自動車の部品であるエンジンの製造を下請事業者に委託する場合
・他社の工場の製造機械の製造を請け負っている親事業者が、製造機械の部品であるモーターの製造を下請事業者に委託する場合

②修理委託

・消費者から自動車の修理を請け負っている自動車ディーラー(親事業者)が、その修理を下請事業者である修理業者に委託する場合

③情報成果物作成委託

・消費者向けにソフトウェアを販売している親事業者が、ソフトウェアの一部の制作を別のソフトウェアメーカーに委託する場合

④役務提供委託

・貨物運送業を行う親事業者が、請け負った貨物運送業務のうち一部の経路の運送業務を他の運送業者に委託する場合

下請法の対象となる資本金額

上記の取引の態様に該当する場合であっても、下請法の対象となるのは、親事業者と下請事業者の資本金について、それぞれ一定の基準に該当する場合のみです。

前提として、親事業者が下請事業者よりも資本金の額が大きい場合であり、取引の態様に応じて、親事業者と下請事業者の資本金の関係が以下の区分に該当する場合が対象となります。

【①製造委託、②修理委託、③情報成果物作成委託のうちプログラムの作成、④役務提供委託のうち運送・物品の倉庫保管・情報処理のいずれかに該当する場合】



【③情報成果物作成委託のうちプログラムの作成以外の作成、④役務提供委託のうち運送・物品の倉庫保管・情報処理以外の業務のいずれかに該当する場合】


上記からわかるように、親事業者の資本金が1000万円以下の場合は、下請法の適用はないことになります。

ただし、上記区分に該当しない場合であっても、下請法が適用される場合があります。
それがいわゆるトンネル会社規制です。
たとえば、資本金1000万円以下の下請事業者に対して直接委託をする親事業者の資本金が1000万円を超えていない場合、形式的には上記資本金の区分に該当しないため原則としては下請法の適用を受けません。

しかし、その親事業者が、資本金が1000万円を超える別の会社の子会社である場合、実質的には、資本金1000万円超の親事業者から、資本金1000万円以下の下請事業者に対する下請取引であると考えることもできます。

このような場合、①その親会社が子会社の議決権の過半数を持っているなど実質的に支配している関係があり、かつ、②親会社から委託された業務の額又は量の50%以上を、下請事業者に委託しているなど相当部分を下請事業者への再委託となっているといえるときは、下請法が適用されることになります(下請法第2条第9項)。

下請取引に該当する場合、次項でみる不公正な取引が禁止されるほか、親事業者には、給付の内容、下請代金の金額、支払期日、支払い方法などを記載した書面を下請事業者に対して交付すること(下請法第3条 いわゆる3条書面)、及びこれらの事項を記載する書類を作成し、2年間保存することが義務付けられています(下請法第5条 いわゆる5条書面)。

下請法で規制される不公正な取引

それでは、下請法が適用される場合どのような規制がされるのでしょうか。具体的な規制内容について、主なものをみていきましょう。

不当な返品や受領拒否、発注内容の変更

親事業者が下請事業者に対して委託した給付の目的物について、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに受領を拒むことはできません(下請法第4条第1項第1号)。

下請取引で指定される制作物は、特殊なものが多く親事業者以外への転売が困難であるため、受領拒否による下請事業者の不利益を防止するものためです。
「受領を拒む」には、発注を取り消したり納期を延期したりすることも含まれます。

支払い条件の変更や時期の遅延

親事業者は、下請事業者から給付の対象を受領した日から起算して 60日以内に定めた支払期日までに下請代金を全額支払わなければなりません(下請法第2条の2第1項・第4条1項2号)。

もし支払期日に遅れた場合には、60日を経過した日から実際の支払日までの期間について、年率14.6%の遅延利息を支払わなければなりません(下請法第4条の2)。

支払いが遅れると下請事業者の資金繰りが悪化し、従業員への賃金の支払や材料代の支払等が困難となり、最悪の場合は倒産に追い込まれるなど下請事業者に著しい不利益が生じるおそれがあるためこれを防止するためです。同様の趣旨から、長期の支払いサイトの手形で支払うこともできません。

不当な代金減額

下請事業者との間で合意した代金について、下請事業者の責に帰すべき理由がないのに減額することはできないとされています(下請法第4条第1項第3号)。

これは、親事業者が下請事業者に対してその優越的な立場を利用して下請代金を不当に減額することを要求した場合、立場の弱い下請事業者としてはこれを拒否することが困難な場合が多いことから、下請事業者の利益を守るためです。

ただし、「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに」とあるため、「下請事業者の責に帰すべき理由」がある場合には、下請代金を減額することも許されます。
「下請事業者の責に帰すべき理由」とは、要するに下請事業者に落ち度があることを意味します。

たとえば、下請事業者が正当な理由なく納期に遅れたり、作成した物品が指定した仕様等を満たさないときなどが考えられます。

報復措置の禁止

下請事業者が、親事業者の下請法違反行為を公正取引委員会、又は中小企業庁に知らせたことを理由に、取引の数量を減らしたり、取引を停止したり、その他の不利益な扱いをすることはできません(下請法第4条第1項第7号)。

下請事業者が親事業者の報復を恐れないで、公正取引委員会や中小企業庁に対し、下請法違反行為を通報できるようにするためです。

不当な役務や経済上の利益要請

下請事業者に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、 下請事業者の利益を不当に害することはできません(下請法第4条第2項第3号)。

たとえば、協賛金や販売協力金などといった名目で金銭の支払いを要求したり、親事業者のサービスの購入を強制させたりすることがあたります。

下請法に違反した場合のペナルティ

それでは、下請法に違反した場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。具体的にみていきます。

公正取引委員会からの立ち入り検査

公正取引委員会は、親事業者及び下請事業者に対して、立ち入り禁止をすることができます(下請法第9条第1項)。

是正勧告・公表

立ち入り検査等の結果、上記禁止行為に該当する事実を認めた場合、公正取引委員会は、その是正のための勧告をすることができます(下請法第7条)。この勧告としては、たとえば不当に下請代金を減額した場合、当該減額分を下請事業者に支払うことに加え、その遅延利息を支払うことを求める場合もあります。
また、その違反の事実の概要、事業者名、勧告の概要も公表されることになります。

刑事罰

上記の禁止行為を行ったことについては、刑事罰は定められていません。
しかし、3条書面の交付義務、5条書面の作成・保存義務等について違反があった場合や、公正取引委員会による立ち入り検査に対して、検査を拒んだり虚偽の報告等をしたりした場合には、50万円以下の罰金に処される可能性があります(下請法第10条)。

中小企業の経営者が下請法について押さえておきたいポイント

ここまで下請法について全体像を確認してきましたが、最後に中小企業の経営者として、どのような点に注意すればよいか押さえておきましょう。

大企業だけの問題ではない

下請法というと大企業だけの問題だと考えて、注意深く意識していない中小企業の方もいるでしょう。
しかし、資本金が1000万円以上の会社であれば、下請法の適用がある取引を行う可能性は十分にあります。
大企業だけの問題だと決めつけて、対応を怠ることがないようにきちんと意識をしましょう。

知らなかったですまされない

下請法に関する規制は、故意や過失がなかったとしても免れられるものではありません。
客観的に下請取引に該当する限り、これを認識していなかったとしても下請法のルールを守らなければ下請法違反となってしまうのです。(無過失責任といいます)

下請法の適用の条件をしっかりと理解して、個々の取引が下請法の適用対象かどうかをきちんと確認することが大事です。

取引を行う際の社内手続きの中で、下請取引に該当するかどうかを確認するフローを設け社内教育も徹底することをお勧めします。

また、下請法の内容については、公正取引委員会もわかりやすいパンフレットを公表しているのでこちらもあわせて確認しておくとよいでしょう。

参考:下請法について知りたい(各種パンフレット・動画

自社を取引先の不当な行為から守るためにも役立つ

中小企業の場合には、自らが親事業者となる場合もありますが、下請事業者となる場合も多いでしょう。

下請法に関する理解を深めておくことは、親事業者から不当な行為・要求をされた場合に、自社の利益を守るために正当な対応をとるためにも役立ちます。
調達の場面だけでなく、顧客との対応においても下請法を意識しておくことは重要です。

下請法違反がないように規制内容をしっかり理解して対応しよう

本記事では、下請法の概要と規制の内容や中小企業の経営者が注意すべき点などを解説しました。

これまで自社では下請法は無関係であると考えていた中小企業の方も、この記事を読んで認識が改まったのではないでしょうか。
大企業だけの問題と捉えないで、いまいちど自社の取引が下請法の適用がないかどうか点検をしてみることをお勧めします。

下請法違反があった場合にはペナルティもあるため思わぬ損害が生じる場合があります。
下請法対象の取引がある場合には、しっかりと規制内容を理解して、うっかり下請法に違反することがないようにしましょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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