意外なあの企業も実は・・・合同会社の事例を紹介

企業法務
投稿日:2022.08.30
意外なあの企業も実は・・・合同会社の事例を紹介

株式会社は会社の一般的な形式であり、ほとんどの方が耳にされたことがあるでしょう。他方で、合同会社や合資会社といった名称はあまり耳なじみがない方が多いのではないでしょうか。

しかし、実際には誰もが知っている超大手会社が合同会社の形式を取っていたりして、以外にみなさんの身近なところに合同会社が存在しています。

そこで、今回は、株式会社と持分会社の違い、合同会社のメリット・デメリット、について実際の例などを取り上げつつ解説します。

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株式会社と持分会社

1.1株式会社と持分会社の違い

会社法(以下「法」)では、会社の形態として株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4種類が会社であると定義されています(法第2条第1号)。このうち株式会社以外の3つについては持分会社とも呼ばれています。

持分会社と株式会社の最大の違いは、株式会社は、出資者であり会社の所有者である株主から委任を受けた取締役が経営を行うのに対し、持分会社では出資を行う社員が原則として業務執行を行うことが想定されています(法第590条第1項)。

そのため、会社の所有者自身が経営を行うことが持分会社では想定されている点が株式会社との最大の違いといえます。そのため、家業として酒類を製造している会社など、出資者自身が事業を行うケースで用いられる制度として想定されています。

1.2合名会社、合資会社、合同会社の違い

持分会社には、合名会社、合資会社、合同会社の3種類があることは先ほどご紹介しましたが、それぞれどう違うのかと疑問に持たれた方も多いでしょう。

先ほども少し触れましたが持分会社では出資者は社員と呼ばれます。この社員には、無限責任社員と呼ばれる、会社が負債を抱えた場合に社員個人の財産でその債務を弁済する責任を負う者がいます。

合名会社は社員が全てこの無限責任社員(法第576条第2項参照)となり、合資会社は一部が無限責任社員となります(法同条項第3項)。そして、合同会社の場合には無限責任社員が存在せず、全員が有限責任社員となります(法同条項第4項)。

このように、出資者が会社の債務について責任を負う範囲が異なるという点を押えておきましょう。

1.3LLCについて

ビジネス上でしばしば耳にする会社の形式としてLLC(Limited Liability Company)と呼ばれるものがあります。これは、アメリカにおいて株式会社と並んで採用されている会社形態です。

LLCは日本における合同会社に相当するものであり、前述のとおり出資者は有限責任社員のみで構成されるため、出資した金額のみの範囲で責任を負います。このLLCはグーグル社等の米国の大手企業が利用しています。

合同会社のメリット・デメリット

では、合同会社を採用するメリットやデメリットはどういった点にあるのでしょうか。ここからは株式会社と比較した場合やその他の持分会社と比較した場合にどういったメリット・デメリットがあるのかについて解説していきます。

2.1合同会社のメリット

①経営に対する責任の限定
合資会社や合名会社といった、その他の持分会社と比較して合同会社を採用するメリットは、出資者である社員が有限責任社員であるため、仮に会社が債務超過などを理由に倒産した場合であっても、社員個人の財産で債務を弁済する責任を負わない点です。

このように会社の経営に対して社員個人が責任を負うことを避けることができる点は大きなメリットといえるでしょう。

②インセンティブによる優秀な人材の確保
株式会社は株主への配当は原則として株主総会の普通決議によって決定し分配する必要があります(法第453条、法第309条第1項)。これに対して、合同会社を含めた持分会社は利益の配当について特に制限はありません(法第622条第1項)。

分配については定款で自由に決定でき、特に出資比率などに制限されないため、優秀な社員に多く利益を分配するといった、経営の貢献に応じた利益分配をすることが可能です。そのため、インセンティブによる優秀な人材の確保が可能となります。

その他にも、株式会社に比べて合同会社は設立費用が安価で済むといったメリットもあります。

2.2合同会社のデメリット

他方で合同会社のデメリットとしては以下の点が挙げられます。

①株式会社と比較して他社からの信頼度が低い

一般的に会社と聞くと株式会社を想定する方が多く、株式会社でないという点について不安を抱く取引先もあります。こうした取引先であった場合にはビジネスを敬遠されるリスクがあります。

②業務執行社員の人数によっては意思決定が難しくなる場合がある

持分会社では出資者である社員のうち業務執行社員が業務執行を行います。業務執行社員が定款で定められている場合には、その者が業務執行を行い、定款で定めのない場合には社員全員が業務執行社員となります。

そして、この業務執行権限は定款で別段の定めをおいた場合を除き、出資比率には影響されず業務執行社員の頭数で決定します(法第590条第2項)。

そのため、業務執行社員が2名のような場合には社員間で意見が割れた場合において意思決定が難しくなってしまう場合がある点がデメリットとして挙げられます。

③上場前に組織変更が必要となる点

日本においては、株式を証券取引所へ上場している会社、いわゆる上場会社は社会的に強い信頼を得ることが可能です。

しかし、この上場に当たっては株式会社であることが前提となっているため、上場を視野に入れている場合には、上場前に組織変更が必要になってしまうという点もデメリットとして挙げられるでしょう。

合同会社の実際上の利用例

ここからは合同会社が実際に利用されている例について解説します。

3.1GAFAの場合

ご存じの方も多いと思いますが、GAFAとはGoogle社、Apple社、Facebook社(現メタ社)、Amazon社の4社です。

このうち、グーグルジャパン、アマゾンジャパン、アップルジャパンの3社はいずれも合同会社の形式を採用しています。

このように外資系企業では、米国でLLCが多く用いられていることもあって、日本法人で合同会社の形式が採用されています。

外資系企業では本国の本社が決定権限を持っていることが多いため、株式会社の形式を採用することで、株主総会における決議が必要となることを避け、機動的かつ柔軟な経営を行うことを目的としたものと思われます。

3.2西友の場合

東京を中心に店舗を置く、西友は2022年1月6日までは西友合同会社として合同会社の形式を採用していました。

これは西友が、アメリカ企業であるウォルマート社の子会社となり、同社の日本法人であるウォルマート・ジャパン・ホールディングス合同会社の子会社となった際に、株式会社から合同会社へ組織変更したことによります。

外資系企業が経営面の柔軟性などから合同会社を採用する一例であるといえるでしょう。

3.3その他の内資企業の場合

内資企業として、著名な会社で合同会社を採用している会社として、DMM.comを運営する合同会社DMM.comが存在します。

しかし、大手企業の多くは株式会社としての組織を採用しています。これは、先ほど挙げた合同会社のデメリットの他にも、合同会社という制度がアメリカのLLCを参考に2006年の法改正に伴い採用された制度である点も原因となっています。

というのも、大手の内資企業は合同会社が採用される以前に設立された会社が多いため、設立時に合同会社という選択肢がなかったことが理由として挙げられます。

まとめ

GAFAを筆頭とした外資系企業で多く採用される合同会社ですが、日本ではまだまだ知名度が低く、株式会社と比較して採用されている件数は低くなっています。

経営の柔軟性や株式会社が投資家から求められる基準が年々高まっている昨今では、自由で柔軟な経営を可能にする選択肢の一つとして活用することも考えられるでしょう。

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