独占禁止法とは?中小企業の経営者が知っておきたいポイントを解説

企業法務
投稿日:2024.02.02
独占禁止法とは?中小企業の経営者が知っておきたいポイントを解説

独占禁止法は中小企業には関係ないと思っていませんか?


事業者であれば、合同会社、株式会社といった会社の種類や、大企業、中小企業といった会社の規模を問わず、独占禁止法の規制対象になる場合があります。


社長、会社の代表として法律の内容を知らないと、気付かないうちに実は違反していたという事態になりかねません。


本記事では、独占禁止法の目的や規制内容、違反した場合の処分などについて事例を交え説明した上で、中小企業の社長が押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。


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独占禁止法とは?

独占禁止法の目的や歴史を紹介した上で、どのような事業者が規制対象となるかについてわかりやすく説明します。

市場経済における企業の公正・自由な競争を促進するための法律

独占禁止法は、正式名称を「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、「独禁法」という略称で呼ばれることもあります。

公正かつ自由な競争を促し、事業者が自主的な判断において自由な経済活動をできるようにすることを目的とした法律です。なお、事業者間の公正な競争を確保するための他の法律としては、不正な手段による競争を禁止する不正競争防止法があります。

市場経済の発展や消費者の利益にとって、事業者間で公正かつ自由な競争が生まれることは非常に重要です。

たとえば、市場が独占され競争がない社会だと、競争に勝ち残るために必要な商品やサービスの質の向上が期待できない上に、価格が高止まりする事態になりかねません。

そのため、独占禁止法は現代の資本主義社会を発展・維持するために、なくてはならない法律といえます。

独占禁止法の歴史

独占禁止法は、市場の独占による資本主義の弊害が生じた19世紀後半のアメリカで、反トラスト法として誕生しました。

反トラスト法は一つの法律ではなく、カルテルなどの独占行為を禁止するシャーマン法をはじめとする複数の法律の総称です。

日本では、戦後間もない1947年に、GHQの指導の下反トラスト法を参考に作られ、その後は社会経済の変化に応じて法改正が重ねられてきました。

独占禁止法はその後の世界経済の発展とともに、資本主義社会にとどまらず世界中に拡大し、現在では100以上の国や地域で制定されています。まさに、経済社会における世界共通のルールといっても過言ではないでしょう。

独占禁止法の規制の対象となる事業者

独占禁止法の規制対象となる事業者は、2条にて「商業、工業、金融業その他の事業を行う者」とされています。

厳格な要件は定められておらず、合同会社や株式会社、大企業や中小企業といった会社の種類や規模を問わず、事業活動を行う者であれば、基本的に規制対象となるのです。

また、事業者のみならず、「事業者団体」も規制対象となっています。
事業者団体とは、共通の利益を増進することを目的とした、複数の事業者からなる結合体のことです。具体例としては、全国銀行協会や日本医師会などの業界団体があります。

独占禁止法で規制される不公正な取引

独占禁止法では、公正かつ自由な競争を確保するという目的のために、競争を妨げる不公正な取引を制限しています。
具体例を見ながら規制内容を確認していきましょう。

私的独占の禁止

私的独占は、競業する相手を市場から排除し、または支配することで、市場を独占して競争を制限する行為です。

具体例としては、他の事業者と共謀し、競争相手が太刀打ちできない程の不合理に低い価格を設定し商品を販売することで競業相手を市場から占め出す行為があります。
また、競争相手の株式を取得することで支配し、競争を制限する行為も私的独占の一つです。

不当な取引制限(カルテル・入札談合)

不当な取引制限とは、事業者が他の事業者と共同して相互に競争を避けるような制約をかけることで、競争を制限する行為をいいます。

規制対象の事例としては、カルテルと入札談合があります。
本来各自で決めるべき商品の販売価格や数量などを事業者が共同して取り決める行為がカルテルです。

公共工事や物品の調達に関する入札において、事前に事業者間で受注事業者や受注額などを決めておく行為が入札談合に当たります。

企業結合の規制

企業結合の規制では、特定の市場において競争が制限されるような企業結合を禁止しています。
企業結合の具体例は以下の通りです。

  • 株式の取得
  • 役員の兼任
  • 合併
  • 共同株式移転
  • 会社分割(共同新設分割、吸収分割)
  • 事業の譲受け


なお、独占禁止法では、一定の規模の企業結合については、事前の届出が義務付けられています。

不公正な取引方法

不公正な取引方法は、公正な競争を妨げるおそれのある行為とされていて、独占禁止法や公正取引委員会の指定により、具体例が細かく定められています。

主な事例は以下の通りであり、たとえばフランチャイズ契約の本部(フランチャイザー)が加盟店(フランチャイジー)に対して行う指導において問題となることが多いです。

  • 共同取引の拒絶や差別的な取引条件の設定
  • 抱き合わせ販売
  • 再販売価格の拘束(価格統制)
  • 拘束条件付取引
  • 優越的地位の濫用


また、不公正な取引方法の禁止を補完し、特に経済的な立場の弱い下請業者を保護するための法律として、下請法が整備されています。

独占的状態の規制

独占的状態に関する規制は、競争の結果、50%を超えるシェアを持つ事業者がいる市場において、競争が働かず価格が下がらないような場合に、競争を回復する措置を講じるものです。

独占禁止法における他の規制と異なり、競争を制限する行為を禁止するものではなく、競争の結果生まれた独占状態を解消するという規制になっています。

競争を回復する措置の具体例としては、大きなシェアを持つ企業に対して、事業の一部譲渡を命じるといった手段があります。

事業者団体による競争制限

独占禁止法では、事業者のみならず、事業者団体による競争制限行為も規制しています。

規制される事例としては、新たな事業者の参入を阻止し、または既存事業者を排除するなどして事業者数を制限する行為があります。

その他の事例としては、事業者の商品の種類や品質、営業方法について制限する行為などが代表的なケースです。

独占禁止法に違反した時の罰則など

独占禁止法に違反してしまった場合の、公正取引委員会からの調査や処分、罰則、および被害者からの損害賠償請求などについて解説します。

公正取引委員会による調査

公正取引委員会の主な調査は、立入検査、供述聴取、報告命令の3つです。

立入検査では、公正取引委員会の審査官が会社の事務所に来て、会社の業務や財産の状況を調査します。
必要に応じて資料やデータ(記録媒体)の提出を求められることもあります。

次に、審査官が対象者から事情を聞き取る供述聴取手続きです。

供述聴取には、対象者の任意の協力による聞き取りと、出頭命令書により出頭を命じて対象者から聞き出す尋問があります。

最後は、違反行為の疑いがある事業者に対し、調査に必要な情報の報告を求める報告命令です。
法律上の報告命令である場合は、報告しないと罰則を課せられるおそれがありますので、慎重に対応しましょう。

排除措置命令

公正取引委員会の調査などの結果、独占禁止法への違反が判明した場合に、妨げられた市場競争を回復する行政処分として採られるのが、排除措置命令です。排除措置命令を出す前に、対象の事業者の言い分を聞き取る意見聴取の機会が設けられます。

具体的な例としては、カルテルを組んで商品の価格を維持していた場合に、価格合意の破棄とその社内周知、再発防止策の策定を命じるといった事例があります。

課徴金の納付命令

課徴金の納付命令は、独占禁止法に違反した事業者に対して国への金銭の納付を課す行政処分です。
排除措置命令の場合と同じく、納付命令に先立ち意見聴取の機会が設けられます。

課徴金の額は、さきほどのカルテルの事例でいえば、カルテルの対象となった商品の売上高に対して一定の料率を乗じて計算されます。

排除措置命令や課徴金の納付命令に従わない場合、懲役刑や罰金といった刑罰が課せられることがあるため注意が必要です。

差止請求や損害賠償請求

差止請求は、優越的地位の濫用などの不公正な取引方法により著しい損害を受け、または受けるおそれがある場合に、違法行為を取りやめるよう求めるものです。

また、カルテルなどで独占禁止法に違反した事業者や事業者団体は、違反行為の被害者に対して、損害賠償義務を負います。

一般的には故意または過失(落ち度)がなければ損害賠償責任を負いませんが、独占禁止法上の損害賠償責任は故意や過失がなくても課せられるのです(無過失責任)。

差止請求及び損害賠償請求は、いずれも違法行為の被害者が裁判所に対し民事裁判を起こして請求します。

中小企業の経営者が独占禁止法において押さえておきたいポイント

独占禁止法による規制に関し、中小企業の社長や経営者が理解しておくべき重要なポイントをわかりやすく解説します。

大企業だけの問題ではない

一番重要なことは、独占禁止法は大企業だけの問題ではなく、中小企業も規制対象になるということです。

繰り返しになりますが、独占禁止法の規制対象となる事業者は「商業、工業、金融業その他の事業を行う者」とされています。

株式会社や合同会社、大企業や中小企業といった会社の種類、規模を要件として設定しておらず、中小企業も対象になるということは覚えておきましょう。

知らなかったですまされない

すでに述べた通り、一般的にはわざと行った行為(故意行為)や落ち度のある行為(過失行為)でなければ、損害賠償責任を負いません。

しかし、独占禁止法に違反した事業者には、故意や過失がなくても負わされる無過失責任という重い責任が課せられます。

違反行為にあとで気付いたとしても、知らなかった、落ち度はなかったという主張は通用しないのです。

そのため、独占禁止法の禁止行為などを把握し、違反しないように未然に防止することが重要になります。

自社が不当な行為に巻き込まれないためにも役立つ

独占禁止法の知識が役に立つのは、自身の行為が法律に違反しないかを確認する場面だけではありません。

取引先などから不当な要求を受けた場合に、どのように対応すべきか検討する際にも役立ちます。

独占禁止法に違反する不当な要求を受けた場合は、違反を指摘しやめるよう交渉する、公正取引委員会や弁護士に相談する、といった対応をとることができます。

このように、独占禁止法の知識は、自身が違反行為をしないためだけではなく、取引先による違反行為から自身の利益を守るためにも有用です。

独占禁止法の禁止行為や違反事例を知り会社を守る対策を

独占禁止法は、公正かつ自由な競争や経済活動の確保を目的とした法律であり、中小企業を含むすべての事業者を規制対象としています。

独占禁止法の主な規制内容は以下のとおりです。

  • 私的独占の禁止
  • 不当な取引制限
  • 企業結合の規制
  • 不公正な取引方法
  • 独占的状態の規制
  • 事業者団体による競争制限


独占禁止法への違反が判明した場合、排除措置命令や課徴金納付命令などの行政処分が課せられます。
また、被害者は差止請求や損害賠償請求を行うことが可能であり、特に損害賠償責任は無過失責任という重い責任になっています。

中小企業の社長にとって独占禁止法の禁止行為や違反事例の把握は、自社の違反行為を防止するためだけではなく、取引先の違反行為から自社を守るためにも必要です。

今一度、中小企業も独占禁止法の規制対象であることを認識し、会社を守る対策をとっていきましょう。

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