利益相反取引は、特定の役員が自己の利益のために、会社に損失を与える可能性のある取引です。適切な手続きを経なければ、企業価値が低下し、法的トラブルに発展するおそれがあります。
「どのような取引が利益相反取引に該当するのか」「利益相反取引と指摘されずに適切に手続きするにはどうすればいいのか」のような疑問を抱えている経営者も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、利益相反取引とは何か、どのような問題があるのかについて触れ、利益相反取引における議事録の重要性について詳しく解説します。
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利益相反取引とは何か?
利益相反取引とはどのような取引を指すのでしょうか。ここでは、利益相反取引の意味と問題点について解説します。
利益相反取引とは?
利益相反取引とは、企業経営において、役員や株主が自己の利益を優先することで会社の利益に影響を与える可能性がある取引を指します。たとえば、会社Xの取締役Aが、所有する土地を会社Xに相場よりも高い価格で売却すれば、取締役Aはより多くの利益を得られ、会社Xは相場以上の費用を負担することになります。
このような取引は、会社の利益を損なう可能性があるため、適切な管理と透明性の確保が重要となります。具体的には、取引の内容や条件を明確にし、公正な判断のもとで承認を得なければなりません。
なお、会社と取締役の取引すべてが利益相反取引に該当するわけではありません。取締役Aが会社Xに無償で不動産を譲渡する場合や無利息・無担保で会社に貸し付ける場合などは利益相反取引には該当しないとされています。
利益相反取引にはどのような問題があるのか?
利益相反取引には、次のような問題が潜んでいます。
- 会社の利益損失:役員の個人的利益が優先されることで、会社や株主の利益が損なわれる可能性があります。
- 信頼の低下:不適切な利益相反取引は、株主や取引先、従業員など、さまざまな利害関係者の信頼を失うリスクがあります。
- 法的リスク:適切な手続きを踏まずに行われた利益相反取引は、法的な問題に発展する可能性があります。
- ガバナンスの崩壊:継続的な利益相反取引は、企業の健全なガバナンス体制を崩壊させ、長期的な企業価値の低下につながるおそれがあります。
これらの問題を回避し、会社が健全に経営するためには、法的に定められた手続きを進めていく必要があります。
利益相反取引における法的背景を解説
利益相反取引が会社法でどのように規定されているか、議事録の法的役割とともに解説します。
会社法による規定
会社法では利益相反取引について規定を設けています。取締役会設置会社の場合、役員が利益相反取引を行う際には事前に取締役会の承認を得る必要があります。一方、取締役会を設置していない会社では、株主総会の承認が必要となります。
いずれの場合も、利益相反取引を行う役員は、その取引についての資料等を開示しなければなりません。取引の公正性を確保し、会社の利益を守るための重要な手続きとなります。
また、承認を行った取締役会または株主総会での議事録を作成し、透明性を確保する必要があります。この議事録は、後々の説明責任を果たすうえで重要な役割を果たします。
議事録の法的役割について
議事録は企業の意思決定プロセスを明示する会社の公式文書として、重要な法的役割を担っています。承認のない利益相反取引について、会社側は無効を主張することができます。利益相反取引の承認過程や決議内容を詳細に記録しておくことで、将来的な紛争や誤解を未然に防ぐことができます。
議事録を作成し、厳重に保管しておくことで、法的要件を満たすだけでなく、企業の健全な運営と信頼性の確保に貢献することになります。
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議事録作成のフロー
利益相反取引における議事録作成の流れを段階的に説明します。各ステップを適切に踏むことで、透明性の高い意思決定プロセスを確保できます。
利益相反取引の発生
利益相反取引は、取締役が自社と直接取引を行おうとする場合や、取締役のために第三者と自社が取引を行おうとする場合などで発生します。
これらの状況で取引が提案されたら、会社は速やかに適切な手続きを開始する必要があります。取引の内容や条件、会社にもたらす影響などを検討し、次のステップへと進みます。
取締役会または株主総会での承認
取締役会設置会社の場合、取引を行う取締役が取引内容を取締役会に詳細に説明し、取締役会で慎重な審議を行ったうえで承認の可否を決定します。一方、取締役会非設置会社の場合は、株主総会で取引内容の説明と審議が行われ、承認の可否が決定されます。
〇 取締役会設置会社の場合
取締役会での承認には、出席した取締役の過半数の賛成が必要です。利益相反取引に関与する取締役は、その決議に参加することができません。ただし、利益相反取引を行う取締役が出席したとしても、可否に影響を与えない場合は、その決議は有効とされています。
たとえば、取締役が5人いて、そのうち1人が利益相反取引を行う場合、残りの4人の取締役のうち最低3人が出席し、そのうち2人以上の賛成があれば有効となります(4人が出席した場合は3人以上の賛成)。
〇 取締役会非設置会社の場合
株主総会での承認が必要となります。この場合、普通議決の要件が適用され、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって承認されます。
利益相反取引に関与する取締役が株主の場合、この取締役兼株主も議決権を行使することはできますが、この議決権の行使によって著しく不公正な決議がなされた場合には、株主総会の決議が取消となる可能性があります。
議事録の作成
取締役会または株主総会での承認を得たあと、議事録を作成します。議事録には、会議の基本的な情報のほか、議論の内容や決議の詳細を記録します。
1.会議の日時と場所
2.出席者リスト(取締役、監査役など)
3.議題(利益相反取引の内容)
4.取引の詳細な説明
5.疑応答や討議の内容
6.承認の決定とその条件
7.議長と議事録作成者の署名・押印
これらの情報を正確に記録することで、取引の透明性を担保できます。
透明性と信頼の確保
適切に作成された議事録は、企業の透明性と信頼性を高めるのに役立ちます。監査や株主からの質問に対して、会社が適切なプロセスを経て意思決定を行ったことを示す証拠となります。議事録は、企業のガバナンスと信頼性向上に大きく貢献します。
利益相反取引における議事録作成の重要性
利益相反取引では、議事録の作成が重要となります。ここでは議事録作成の重要性について詳しく解説します。
透明性と説明責任
議事録には、企業の意思決定プロセスを記録するための重要な役割があります。利益相反取引の承認過程を記録することには、次のような利点があります。
1.透明性・健全性への評価:投資家や取引先が企業の意思決定プロセスを把握しやすくなり、ガバナ
ンス体制の健全性を示す証拠になります。経営の透明性も高まります。
2.説明責任の履行:株主や監査機関からの問いに対して、根拠をもとにした回答が可能になります。
適切に議事録を作成することで、外部からの信頼を獲得できます。
リスク回避
議事録を作成することは、将来的なリスクを回避できる可能性を高めます。
議事録がなければ、第三者に利益相反取引の正当性を説明することはできません。承認過程を証明できなければ、会社側から否認できるため、法的紛争に発展するおそれがあります。
株主に対してや内部監査の際に根拠を示せなくなるため、トラブルになる可能性があります。議事録を作成しておけば、このようなさまざまなリスクから守ることができます。
ステークホルダーへの信頼性向上
議事録の作成は、ステークホルダーへの信頼性向上にも寄与します。
株主や取引先との関係強化に貢献し、公平で透明な経営姿勢を示すことで従業員からの信頼も得られます。また企業の社会的評価を向上させることができます。
議事録は、公平性を保ちつつ、会社の利益を守るための重要なツールとして機能させることで、ステークホルダーとの信頼関係構築に貢献します。
利益相反取引の議事録作成のポイントを解説
利益相反取引の議事録を作成することは、法的要件を満たすだけでなく、説明責任を果たすうえでも重要です。ここでは、効果的な議事録作成のポイントを詳しく解説します。
記録すべき重要事項について
利益相反取引の議事録は、将来的なトラブルを回避するためにも、重要事項をもれなく記録することが大切です。会議の日時や場所、出席者氏名などの基本情報のほか、利益相反取引の詳細や議論の経過、承認・決定内容を記します。
利益相反取引の詳細には、取引内容と条件、当事者となる取締役の氏名、取引により会社が受ける利益とリスクを盛り込みます。また議論の経過には、取締役による説明の趣旨、質疑応答の内容、意見、懸念点などを、承認・決定内容には、決議の結果や票数などを記載します。
誤りや曖昧な点がないことの確認
あとで紛争に発展しないように、議事録の正確性と明瞭性を担保する必要があります。
日時や氏名などの基本情報に誤りがないか、取引内容や条件が正確に記載されているか、論理的で理解しやすい文章で書かれているかなどを確認します。
議事録の内容によっては、トラブルに発展する可能性もありますので、専門家のアドバイスを受けながら、自社に合った内容をまとめます。作成した議事録を、専門家に確認してもらうとより確実です。
議事録は、法的役割だけでなくトラブル回避においても重要
利益相反取引における議事録の作成には、単なる法的要件を満たすだけではない、多くの重要なポイントがあります。
議事録の作成は、会社法で定められており、取締役会や株主総会の承認を経なければなりません。正確に議事録で記録することで、株主や監査機関の質問に明確に回答することができます。
適切に議事録を作成することは、企業の透明性をアピールすることにつながり、ステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなります。長期的な企業価値の向上にも寄与します。
このように利益相反取引における議事録作成には、さまざまな重要性を持ちます。利益相反取引を実施する際には、専門家によるサポートをもとに進行するといいでしょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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