役員名簿の範囲はどこまで?ひな形から記入例を解説します

企業法務
投稿日:2025.01.21
役員名簿の範囲はどこまで?ひな形から記入例を解説します

役員名簿は会社運営において重要な書類です。会社設立時の内部資料、役員変更時の登記手続きの基礎資料、株主総会の参考資料としても必要不可欠です。しかし、具体的な記載範囲や必要項目について、「どこまで記載すべきか」「どんな場面で必要になるのか」などの疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
 
この記事では、役員名簿の法的位置づけや実務上の重要性を確認した上で、記載すべき項目や役員の範囲について解説します。さらに、具体的な記入例やテンプレートを用いて、実務で活用できる役員名簿の作成方法をわかりやすく説明していきます。役員名簿の作成・管理に関する疑問を解消し、適切な実務対応ができるようになることを目指します。

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役員名簿の定義と必要性

会社運営において重要な書類である役員名簿について、その定義や作成・管理が必要となる理由、実務上の意義を解説します。
 

役員名簿とは何か?

役員名簿とは、取締役や監査役などの役職者の情報を一覧化した基本文書です。会社の意思決定に関わる役員を一覧化することで、会社の経営体制を明確できるだけでなく、経営の透明性を確保し、適切な企業統治を実現することができます。
 
役員名簿は単なる内部管理文書としてだけでなく、株主や取引先、行政機関などの外部関係者に対して会社の経営体制を示す公的な文書としても重要な役割を果たします。
 
役員名簿は適切に更新・管理され、常に最新の経営体制を反映した状態に保つことが求められます。このため、役員の就任や退任、住所変更などの変更が生じた際には、速やかな名簿更新と関係者への共有が必要となります。
 

法律や規定で求められるケースを解説

商業登記法により、株式会社などの代表取締役、取締役、監査役は登記事項とされており、会社法に基づき役員に関する登記が義務付けられています。次のようなケースで役員名簿は重要な役割を果たします。
 

  • 役員変更登記時:取締役の選任・退任、代表取締役の変更などが行われた場合に、変更登記が必要となります。この際、登記申請に必要な役員情報を役員名簿から参照します。


  • 行政手続きや取引時:入札参加資格申請時や各種許認可申請時、銀行口座開設時の添付書類として役員名簿が求められることがあります。


  • 株主総会・取締役会:取締役会の構成員や議事録作成の際の出席者の確認資料として活用されます。

 
役員変更の登記申請時や会社設立時に役員名簿は求められません。ただし、登記事項との整合性確保や企業運営の透明性維持のため、内部的に作成・保管しておくことが推奨されます。
 

役員名簿を正確に作成する重要性について

役員名簿を正確に作成し、安全に管理することは、会社運営において以下の点で重要な意味を持ちます。
 
1. コンプライアンスの確保:役員に関する情報を正確に記録・保管することは、法令遵守の基本とな
 ります。特に、役員の個人情報や就任・退任の履歴を記録することで、法的な要件を満たすことが
 できます。

2. 円滑な手続きの実施:登記変更や各種申請手続きの際、役員名簿が情報源となります。正確な情報
 を常に更新しておくことで、必要な時にスムーズな手続きが可能となり、書類の再提出や手続きの
 遅延を防げます。

3. 適切な意思決定の担保:取締役会や株主総会などを開催する際に、議決権を持つ役員の確認や定足
 数の計算に役員名簿が使用されます。役員人数の誤りによる意思決定の不確実性を回避できます。

4. ステークホルダーとの信頼関係構築:株主や取引先、金融機関などの外部関係者に対して、会社の
 経営体制を正確に示すことは、信頼関係の構築に不可欠です。

5. 適切なリスクの管理:役員の連絡先や個人情報を正確に把握しておくことは、緊急時の対応や重要
 事項の連絡に必要不可欠です。役員の責任範囲を明確にすることで、適切なリスク管理が可能とな
 ります。
 
このように、役員名簿の正確な作成と管理は、法令遵守はもちろん、実務的な観点からも会社運営の基盤となる重要な要素です。

役員名簿に含めるべき項目

役員名簿は企業の経営体制を示す重要な文書であり、正確な情報管理が求められます。ここでは、役員名簿に記載すべき項目をまとめます。
 

法人名、役職、氏名、生年月日、住所、性別

法人名、役職、氏名、生年月日、住所、性別など、役員名簿の基本項目については以下のように記載します。
 
1. 法人名・会社名:正式な商号を記載します。(例:株式会社〇〇)

2. 役職名:代表取締役、取締役、監査役など、正確な役職名を記載します。

3. 氏名:戸籍上の氏名を記載し、フリガナを併記します。

4. 生年月日:年月日を正確に記載します。(例:1980年1月1日)

5. 住所:現住所を正確に記載し、登記上の住所と一致させます。

6. 性別:戸籍上の性別を記載します。
 
これらの基本項目は商業登記法で定められた登記事項と一致させる必要があり、会社の重要文書として正確性が求められます。特に住所や生年月日などの個人情報については、記載後の変更漏れがないよう、定期的な確認と更新が重要です。
 

任期や就任日・退任日の記載有無

役員の在任期間に関する情報は以下の点に注意して記載する必要があります。
 
1. 就任年月日:役員として就任した日付を記載し、登記された日付と一致させます。

2. 任期:就任から終了までの期間を記載します。定款で定められた任期(例:「2年」「選任後2年以
 内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」)を明記します。

3. 退任予定日:任期満了日を記載し、定時株主総会の開催予定日などを考慮します。

4. 重任・再任の履歴:過去の就任歴がある場合は記録として残します。
 
これらの情報は、正確に記録することで、役員の適切な管理と円滑な会社運営を実現できます。特に任期管理は株主総会での再任手続きや登記変更のタイミングに直接関わるため、誤りや記載漏れがないよう細心の注意を払う必要があります。また、役員変更の際の引継ぎ資料としても重要な役割を果たすため、履歴情報を含めて記録を残すことが推奨されます。
 

特定の情報を省略してもよい場合の例(例:登記では住所省略可など)

役員名簿における情報の省略可能なケースについては、次のようなものがあります。
 
1. 社内利用の場合:生年月日は年月までの記載も可能で、フリガナは必要に応じて省略できます。

2. 執行役員の情報:会社法上の役員ではないため、登記事項としての記載は不要です。社内規定に従
 って必要な項目を選択します。

3. 対外的な開示資料の場合:プライバシー保護の観点から、住所は都道府県までとし、生年月日は年
 齢表示に置き換えることができます。

4. 社外役員の場合:主たる所属先の記載を追加し、その他の役職は必要に応じて記載します。
 
これらは、役員名簿の使用目的や提出先の要件に応じて判断します。情報の省略を行う場合でも、社内では完全な情報を別途保管しておくと安心です。

役員名簿に記載する役員はどこまで?

ここでは、役員名簿に記載すべき役職者の範囲と、その法的根拠について解説します。特に、必須となる記載対象と任意の記載対象の違いを明確にしていきます。
 

役員名簿の範囲はどこまで?

役員名簿に記載すべき役員の範囲は、商業登記法で定められた登記事項が基本となります。株式会社の場合、以下の役職者を役員名簿に記載する必要があります。
 

  • 代表取締役:会社を代表する権限を持つ取締役です。


  • 取締役:会社の重要な意思決定や業務執行の監督を行う役員です。


  • 監査役:取締役の業務執行を監査する役員です(設置している場合)。

 
上記に加え、会社の実態に応じて以下の役職者の情報を記載することもあります。
 

  • 執行役員:会社法上の役員ではないが、業務執行を担う重要な役職者として記載することがあります。


  • 相談役・顧問:経営への助言を行う役職者として、会社の判断で記載することがあります。

 
役員名簿の作成目的や利用シーンによって異なりますが、少なくとも商業登記法で定められた役員(代表取締役、取締役、監査役)については、漏れなく記載することが必要です。

役員名簿の記入例

実際の役員名簿の記入例を見ながら、各項目の具体的な記載方法や記入時の注意点について詳しく解説していきます。
 

役員名簿の記入例を解説

ここでは、次章で紹介するひな形・テンプレートの記入にあたり、その記入例を紹介します。
 
1.   基本情報の記入

  • 「法人(個人)名」欄:会社の正式名称を記入します。
  • 「役職名」欄:代表取締役、取締役、監査役など、正確な役職名を記載します。
  • 「氏名」欄:括弧内にフリガナ、その下に漢字で氏名を記入します。

 
2.   生年月日の記入

  • 「T・S・R」欄:大正はT、昭和はS、令和はRから該当する元号を選択します。
  • 年月日の各欄に数字を記入します。

 
3.   性別の記入

  • 該当する方(男・女)を○で囲みます

 
4.   住所の記入

  • 登記上の住所を正確に記入します
  • 都道府県から番地まで省略せずに記載します

 
なお、この記入例は登記事項証明書に記載されている役員全員を記入することを前提としています。ただし、用途に応じて記載内容を調整することも可能です。たとえば、対外的な開示資料として使用する場合は、プライバシー保護の観点から住所を都道府県までに簡素化したり、生年月日を省略したりすることもあります。いずれの場合も、会社の規定や開示方針に従って適切に記載してください。

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役員名簿はさまざまなシーンで活用される重要書類

役員名簿は、会社の経営体制を示す重要な法定文書として、様々な場面で活用されます。会社法で定められた記載事項を正確に記録し、適切に管理することで、登記申請や株主総会運営をスムーズに進めることができます。また、取引先や金融機関との関係においても、会社の信頼性を示す重要な書類となります。
 
作成にあたっては、必要な項目を漏れなく記載し、常に最新の情報に更新することを心がけましょう。この記事で紹介したテンプレートを活用し、御社の実情に合わせた役員名簿を作成・運用することで、コンプライアンスの確保と円滑な会社運営の実現につながります。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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