役員報酬を0円にすることは可能?議事録の雛形を紹介します

企業法務
投稿日:2025.01.14
役員報酬を0円にすることは可能?議事録の雛形を紹介します

役員報酬を0円にすることは可能です。会社設立時など経営状況によっては役員報酬をおさえることで、経営の健全化を図りやすくなります。しかし、「役員報酬を0円にするデメリットもあるのではないか」「どのような手続きを踏む必要があるのか」など疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。


そこでこの記事では、役員報酬の基本的な仕組みから0円にするメリット・デメリット、変更可能な時期、具体的な手続き方法まで、実務に役立つポイントを解説します。さらに、役員報酬変更時に必要な議事録の雛形もご用意しましたので、役員報酬を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


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役員報酬とは?

役員報酬の基本的な仕組みと、給与との違いについて解説します。まずは役員報酬について理解を深めましょう。

役員報酬の対象となる役員は?

役員報酬には、「定期同額給与」「業績連動給与(利益連動給与)」、「事前確定届出給与」があり、税務上の規定に沿って支給することで損金算入でき、経費にすることができます。また役員報酬は、株主総会で決議しなければなりません。ただし、定款に役員報酬の定めがある場合はその記載に従います。

この役員報酬の対象となる役員は、会社法で規定されている取締役、会計参与、監査役のほか、執行役や清算人も税務上の役員に該当します。また、相談役や顧問なども経営に従事している場合は役員として認められています。

役員報酬と給料の違いは?

役員報酬は、経営陣に対して支払われる報酬であり、株主総会での決議によって決定されます。報酬額の決定には特定の時期が定められており、従業員の給与のように就業規則によって定められているものではありません。

一方、給料は従業員が自身の労働の対価として受け取るものです。就業規則や労働契約に基づいて支給され、労働時間や職務内容に応じて決定されます。

ここでは役員報酬や対象となる役員、給与との違いを確認しました。次に、この役員報酬を0円にするメリット・デメリットについて見ていきましょう。

役員報酬を0円にするメリット・デメリット

役員報酬を0円にすることで得られる効果と、その一方で生じる問題点について、おもなものをまとめます。

役員報酬を0円にするメリット

役員報酬を0円にすることには、おもに次のようなふたつのメリットがあります。

ひとつめは、会社の収益を上げやすくなる点です。特に会社設立当初は、安定した収益を確保できるかどうか不安を抱えてしまうものです。役員報酬を0円に設定することで、その分の支出を削減でき、会社の収益改善に直接つながります。

ふたつめは、役員個人の経済的負担を軽減できる点です。役員報酬を受け取る場合、その金額に応じて所得税や住民税などの税金を支払う必要があります。報酬額が大きくなればなるほど、これらの税金の負担も増加していきます。さらに、社会保険料の負担も発生するため、役員報酬を0円にすることで、これらの個人負担を軽減することができます。

役員報酬を0円にするデメリット

一方、役員報酬を0円にするデメリットも見ていきましょう。おもなデメリットには次のようなものがあります。

ひとつは、社会保険に加入できなくなることです。社会保険の加入条件は「法人から労務の対価として報酬を受けている人」と規定されているため、報酬が0円の場合は加入条件を満たさなくなります。その結果、個人事業主と同様に国民健康保険と国民年金保険に加入しなければなりません。さらに、健康保険であれば親族を扶養に入れることができますが、国民健康保険には扶養という仕組みはなく、家族全員分の保険料を個別に負担しなければならなくなります。

ふたつめは、将来の年金受給額が減少することです。役員報酬を0円にすることで社会保険に加入できなくなると、厚生年金保険の被保険者となることはできません。その結果、老齢厚生年金の支給額が減少したり、老齢基礎年金のみになったりすることで、将来的な年金受給額が大幅に減少することになります。

さらに、節税目的で0円にしたとしても、必ずしも節税になるとは限りません。役員報酬を0円にすることで、その分会社の利益が増加します。しかし、会社の利益が増えることで法人税の負担が増加する可能性があります。このため、個人と法人の税負担をトータルで見た場合、必ずしも節税効果が得られるとは限りません。

役員報酬が変更できるタイミングは?

役員報酬の変更には適切なタイミングがあります。税務上のリスクを避けるために、押さえておくべきポイントを説明します。

会社設立後3か月以内

会社設立直後は、収益の見通しが不透明な時期です。そのため、たとえば設立後2か月間は役員報酬を0円とし、3か月目から報酬を受け取り始めるといった柔軟な対応が可能です。これにより、初期の運転資金を確保しながら、事業の立ち上げに注力することができます。

事業年度開始から3か月以内

会社の経営環境は常に変化しており、前年度の業績や今年度の事業計画に基づいて役員報酬を見直す必要性に迫られることがあります。例えば、新規事業への投資を控えている場合や、市場環境の変化により売上の減少が予測される場合など、様々な経営判断に基づいて報酬額の調整が必要となります。

このような経営上のニーズに対応するため、法制度上、事業年度の開始から3か月以内であれば役員報酬を変更することが認められています。この時期に変更を行うことで、税務上も「定期同額給与」として認められ、損金算入が可能となります。

具体的には、3月決算の会社であれば4月から6月までの間、12月決算の会社であれば1月から3月までの間に変更することができます。この期間内であれば、増額・減額いずれの変更も、適切な手続きを経ることで税務上の不利益を被ることなく実施できます。

また、事業年度開始から3か月を超えた場合でも、株主総会での決議を得て、議事録を作成するなど定められた手続きを行えば、役員報酬の金額変更は可能です。ただし、この場合は役員報酬の一部が損金計上できなくなるというデメリットが生じます。

例えば、期中に役員報酬を減額した場合は、減額後の金額が定期同額給与の基準とみなされることになります。そのため、既に支給した減額前の報酬と減額後の差額については、損金計上が認められません。このように、期中の報酬変更には税務上の制限があることに注意が必要です。

例外として事業年度に役員報酬を変更する方法もある

役員報酬を変更する場合、原則として事業年度開始(会社設立開始)から3か月以内に実施しなければなりませんが、「臨時改定事由」や「業績悪化改定事由」に該当すれば、期中でも変更可能です。

臨時改定事由や業績悪化改定事由は、法人税法施行令第69条第1項に掲げている役員給与額の変更が合理的と認められる特別な事情を指します。ただし、いずれの場合も株主総会等での決議が必要となり、税務調査において事由の妥当性が否認されるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。

どのようなケースが「事由」に該当するのか、増額できるケースと減額できるケースに分けて見ていきましょう。

〇役員報酬を増額できるケース

  • 取締役から代表取締役への昇進など、役職や職責が上がった場合
  • 組織再編に伴いその役員の職務の内容が大幅に変更される場合


〇役員報酬を減額できるケース

  • 業績の著しい悪化により、やむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない場合
  • 病気療養等により、職務執行ができない場合


なお、これらの変更を行う際は、変更の必要性や金額の妥当性について合理的な説明ができることが重要です。特に増額の場合は、その理由と金額の根拠について、税務署の確認が行われる可能性が高いことに注意が必要です。

役員報酬の規定は、税金逃れを防止し、健全な財務体制を維持するために、事前に決めておくことが求められています。そのため、「臨時改定事由」についても、自由に変更できるわけではない点に留意しなければなりません。

役員報酬を変更するまでの流れは?

役員報酬を変更するまでの流れをまとめます。手続きは適切に順を追って進める必要があります。

1. 株主総会での決議:まず、役員報酬の変更議案を株主総会に提出し、普通決議による承認を得ま
 す。報酬額の上限を株主総会で決議し、個別の報酬額の決定を取締役会に委任している場合は、
 取締役会で決議することもできます。

2. 株主総会議事録の作成:株主総会で決定した役員報酬の変更内容は、必ず議事録として記録を残さ
 なければなりません。議事録には、開催日時、場所、決議事項、決議の結果などの必要事項を漏れ
 なく記載します。

3. 月額変更届の提出:必要に応じて「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」(月額変更
 届)を提出します。この書類は役員報酬の変動に伴う社会保険料の計算基礎を変更するために使用
 されます。

月額変更届は、「電子申請」、「郵送」、「窓口持参」のいずれかの方法で、事務センターまたは管轄の年金事務所に提出します。

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役員報酬0円は可能!事業年度開始から3か月以内に手続き

役員報酬を0円にすることは法律上可能ですが、メリットとデメリットを十分に検討する必要があります。メリットとしては会社の収益改善につながることや、役員個人の税負担・社会保険料負担を軽減できる点が挙げられます。一方で、社会保険に加入できなくなり、将来の年金受給額が減少するといったデメリットもあります。

役員報酬の変更は原則として事業年度開始から3か月以内に行う必要があり、それ以外の時期に変更する場合は「臨時改定事由」に該当しなければなりません。変更手続きには株主総会での決議と議事録の作成が必須となります。

役員報酬の設定は会社の経営状況や将来の事業計画を踏まえて検討し、適切なタイミングで正しい手続きを行うことが重要です。特に税務上のリスクを避けるためにも、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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