「社外取締役」
「社外監査役」
これらは言葉としては聞いたことがあっても、実際にはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。自分がその立場に就任することや、知人がその立場であるという確率が低いため、イメージしにくい役割といえます。
本記事では、社外監査役とはどのようなものか、および社外取締役との違いについてお伝えします。
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社外監査役とは
社外の人間である一定の要件を満たす監査役を社外監査役といいます。
まず監査役とは?
まず、そもそも監査役とはどのような役割の人かを確認しましょう。
監査役とは、株式会社において取締役・会計参与の職務の執行を監査する人のことをいいます(会社法第381条)。
株式会社においては、株主総会が必ずあり、取締役は必ず選任されるのですが、それ以外の機関については基本的に会社が自由に定められます(会社法第326条)。
監査役は、定款で監査役を置くことを定めた場合に置かれることになります。
ただし、取締役会設置会社・会計監査人設置会社は、監査役を置かなければなりません(会社法第327条)。
社外監査役が必要になる場合
通常の監査役については特にどのような人がなってもかまいませんので、例えば創業当初からの従業員がそのまま役員として監査役になることも可能です。
しかし、会社が監査役会を置かなければならない会社になったときには、監査役を3人以上選任し、そのうちの半数以上は社外監査役でならないとされています(会社法第335条第3項)。
会社の規模が大きくなって「大会社」である公開会社は、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除いては、監査役会を置かなければならないとされています(会社法第328条第1項)。
ここでいう大会社とは、
資本金が5億円以上
負債の総額が200億円以上
のいずれかを満たす場合をいいます(会社法第2条第6号)
また、公開会社とは株式の譲渡にあたって株式会社の承認を要するとする譲渡制限規定を設けていない会社のことで、現実的にはは株式を上場している会社がこれにあたると考えてください。
このような会社においては社外監査役が必要となります。
社外監査役に必要な条件
では、社外監査役であると認められるための要件を確認しましょう。
どのような人を選任すれば社外監査役となるかについて、会社法第2条第16号は次の要件をすべて満たすことを必要としています。
- 就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与、は執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
- 就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
- 当該株式会社の親会社等、又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
- 当該株式会社の親会社等の子会社等の業務執行取締役等でないこと。
- 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
社外監査役の職務
選任された社外監査役はどのような職務を行うのでしょうか。
社外であろうがなかろうが、監査役である以上、法律で定められた監査役の職務を行うことになります。
監査役は、取締役と会計参与の職務の執行を監査することが職務で、監査報告を作成する必要があります(会社法第381条)。
そして、取締役会設置会社においては、取締役会に出席して、必要があるときには意見を述べなければならないとされています(会社法第383条第1項)。
また、取締役が株主総会に提出しようとする議案・書類などを調査し、法令もしくは定款に違反していたり、著しく不当な事項がある場合には、調査結果を株主総会に報告しなければなりません。
会社が取締役相手に訴訟をする場合や、取締役が会社に訴訟をする場合には、取締役は会社を代表して訴訟を受け持つことになります(会社法第386条)
社外監査役と社外取締役の違い
では社外監査役は社外取締役とどのような違いがあるのかについて確認しましょう。
社外取締役とは
社外取締役とは、取締役として業務の執行に携わる人について、社外監査役と同様の社外の人材である要件に該当する人を選任するものです。
社外取締役が必要になるケースには以下があります。
- 監査役会を設置する会社であって、金融商品取引法第24条1項の規定により、有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない会社では社外取締役を設置しなければならない(会社法第327条の2)。
- 監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役の過半数は社外取締役でなければならない(会社法第331条第6項)。
- 指名委員会等設置会社における委員会の過半数は社外取締役でなければならない(会社法第400条第3項)。
- 取締役会設置会社において、特別取締役による議決の定めをする場合には、取締役のうち1名以上が社外取締役でなければならない(会社法第373条1項2号)。
社外取締役となるための要件は以下のとおりです。
- 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
- 就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与又は監査役であったことがある者にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
- 当該株式会社の親会社等又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
- 当該株式会社の親会社等の子会社等の業務執行取締役等でないこと。
- 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
「社外」であるかの条件は取締役でも監査役でも大きくは変わりませんので、社外監査役と社外取締役の違いはその業務内容のみということになります。
社外監査役と社外取締役では業務の内容が異なる
社外監査役は、監査役として取締役・会計参与の業務の適法性を監査します。
一方で社外取締役は、取締役として経営における意思決定や他の取締役の監督が主な業務です。場合によっては業務の執行を行うこともできます。
社外役員の場合、他社での経営経験、役員経験のある方が経験を買われて就任することも多いですが、社外取締役については経営経験のある方、社外監査役には弁護士や公認会計士が選任される傾向があります。社外役員の場合、このように人選面で違いが出る可能性もあります。
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