会社の役員の種類のひとつに「監査役」があります。
しかし、名称は聞いたことがあっても、機会が少ないためその定義や取締役との明確な違いはご存じないという方も多いかもしれません。
本記事ではこの監査役について、基礎知識からその他の役員との違い、監査役の役割や権限、就任に必要な資格や要件まで解説します。
また、監査役の変更が生じた際に必要な手続きや登記申請の方法も紹介していますので、監査役の変更を予定されている方はぜひご参考ください。
あわせて、監査役を含む役員変更の登記申請書類をネットで作成できるGVA 法人登記についても紹介しています。
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「監査役」は株式会社の役員種類の一つ
「監査役」とは、株式会社において取締役や会計参与など役員の業務を監査や監督する役職です。その会社の経営において業務や会計上の不正がないかをチェック、是正する役割を担います。「取締役」と並んで会社の役員の一つですが、どの会社でも取締役よりは人数は少ないのが一般的です。
会社とは雇用契約でなく、取締役と同じく委任契約の上で業務にあたります。
そのため、任期があったり、株主総会で選任される、変更後は登記申請が必要、といった点は取締役と変わりません。
会社の「役員」という場合、法律上は、取締役・監査役・会計参与の3つが対象になります。ただし、人数的には取締役が圧倒的に多いため、たいていの場合「役員」といえば取締役という使われ方が多いようです。役員 = 取締役 という認識で問題ないケースも多いですが、その会社の役員構成によっては異なることもあると理解しておきましょう。
監査役を置かなければならない会社の条件
なぜ監査役は取締役より人数が少ないのでしょうか?
監査役は業務執行や経営管理でなく、取締役の業務執行のチェックするという役割のため、チェック対象となる取締役よりは少ない人数となります。
「監査役を置いてまで取締役の監査が必要な会社とは?」と考えると必然的に従業員や売上規模が大きく、経営の是非が世間に与える影響が大きい会社になるほど必要な機能ともいえます。そのため、規模の小さな会社では監査役を設置しているケースは少なくなります。
法令上でも大会社(資本金が5億円以上もしくは負債の合計額が200億円以上)や公開会社(株式の譲渡制限がない会社)では監査役の設置が義務付けられています。非公開会社においては取締役会や会計監査人を設置しない限り、監査役の設置は義務ではありませんが、任意に設置することは可能です。
日本における監査役の制度の特徴、米国との違い
経営の執行と監督の機能をどう設置するかは会社経営において重要なテーマですが、各国の法律により若干制度は異なっています。
米国では取締役会が中心となる形式(そのため、取締役会に占める社外取締役の数が多くなることもある)だったり、国によっては取締役会と監査役会がそれぞれ存在するケースもあります。
日本は長らく、役割としての監査役を設置するケースが大半でしたが、近年は法制度の変更や機関設計の多様化により、社外監査役や監査役会、委員会制度など、欧米的な機関設計の選択肢がとれるようになってきています。
監査役と取締役の役割と権限の違い
監査役と取締役はともに株式会社の役員ですが、大きく2つの点で違いがあります。
ひとつは、役割と権限です。
取締役は会社の経営を監督する役割で、取締役間でも不正が起きないよう相互チェックが求められます。ただし、取締役間の馴れ合いや人間関係上の理由で効果的なチェックが果たせない可能性もあります。このようなリスクに対し取締役を監査するのが監査役です。
この役割を果たすため、監査役ならではの権限あります。
権限は大きく分けてこの2つです。
- 取締役の職務の執行を監査する権限(業務監査)
- 計算書類等の監査を行う権限(会計監査)
具体的には以下のような権限が含まれます。
- 取締役、会計参与、支配人、その他使用人に対して事業の報告を求める権限
- 会社の業務及び財産の状況の調査をする権限
- 取締役(または招集権のある取締役)に対し、取締役会の招集を請求、もしくは自ら招集する権限
- 取締役が法令や定款に違反する行為をした場合、するおそれがある場合に当該行為をやめることを請求する権限
監査役と取締役は任期が異なります
監査役の、取締役とのもうひとつの違いが任期です。
取締役は原則で2年と定められていますが、監査役は原則で4年です。ただし、ともに10年まで伸長することが可能です。
監査役に求められる役割を考慮すると、ある程度の期間が必要だったり、監査役の地位を確保するために、取締役より任期が長くなっているのです。
監査役の報酬形態
監査役は会社との間で委任契約の関係となります。雇用ではないので従業員の給与とは異なり「役員報酬」となります。
役員報酬とは、取締役や監査役など、主に会社の役員に支給される報酬のことを指します。報酬総額を月数で分割して支払われることが一般的なため、従業員に対する給与と同じものと考えてしまいがちですが、法律や税務上は明確に取り扱いが異なるものです。
役員報酬と給与の代表的な違いは以下の通りです
- 役員報酬は社内で自由に変更できず、変更するための必要な手続きが定められている
- 役員報酬は損金に算入(費用として認められる)するためには、一定の条件がある。(短期的に利益が出たので、期中に役員報酬を増やしたり、役員への賞与として支給した分については損金算入できない = 役員報酬を利用した意図的な利益操作はできない)
監査役の欠格事由、兼任禁止の条件(監査役になるための要件・資格)
監査役はその役割からいくつかの欠格事由(監査役になれない理由)や兼任禁止の条件が定められています。とくに、監査役になる会社との関係性を問われます。
以下の条件にあてはまる場合、監査役になれなかったり、就任した場合は兼任する前の立場を辞任したこととなるので注意しましょう。逆に言うと、これらに該当しなければ監査役に就任できるともいえます。
「監査役」という言葉のイメージから、特定の資格が必要なのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、公的な資格は必須ではありません。
ただし、求められる役割を考慮すると、不正をチェックできる程度の法律・会計知識や管理部門の勤務経験が現実的には必要になるでしょう。各社の監査役のバックグラウンドはさまざまですが、弁護士や公認会計士・税理士の方が少なくないのはこのような事情もあります。
監査役の欠格事由(監査役になれない条件)
- 成年被後見人もしくは被保佐人または外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
- 法人
- 会社法や一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、金融商品取引法、民事再生法や破産法の一定の規定に違反・刑に処せられ、その執行を終わった日(又は執行を受けることがなくなった日)から2年を経過していない者
- 上記に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
監査役の兼任禁止の条件
- その会社の取締役・支配人・使用人
- 子会社の取締役・支配人・使用人
- 子会社の会計参与・執行役(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)
※取締役には代表取締役も含まれます。
監査役「会」とは?
監査役についての議論でよく登場するキーワードが「監査役会」です。
法律上、監査役会は「半数以上の社外監査役を含む3名以上の監査役で組織される合議体で常勤監査役を選定しなければならない」と規定されています。
この監査役会ですが、設置が義務付けられているのは公開会社かつ大会社です。これ以外の会社では、任意で設置することができます。ただし、監査役会設置には、少なくとも3名の監査役が必要で、費用や運用面で負担も生じるため自ずと設置できる企業は限られてきます。
監査役会の設置義務や義務付けられている条件を鑑みると、基本的には一定以上の規模の会社のガバナンスやコンプライアンス推進のための制度といえるでしょう。
株式会社における監査役の選任・選定方法
役員の選任では、事前に候補者の選定や就任承諾のための条件調整なども必要ですが、手続きとしては次のステップを経て行われます。
- 株主総会の開催、役員の選任決議
- 監査役候補者の就任の承諾
- 株主総会議事録や就任承諾書、本人確認証明書などの準備
- 役員変更の登記申請、登記簿上での公示
※任期や員数の変更を伴う場合、合わせて定款の変更も必要です。
もちろん上記以外にも株主総会の招集などの所定の手続きも必要になります。
少なくとも、部長や課長といった役職のように、社内で決定すればいいものではないこということは押さえておきましょう。
監査役が就任したら役員変更の登記申請が必要
株主総会を経て監査役が就任したら登記申請を行います。一般的な株式会社では株主総会での決議と登記申請はセットで必要になることも多いです。株主総会が終わって安心してしまい登記申請を失念してしまわないよう注意しましょう。
取締役や監査役の役員変更は決議しただけでは対外的には効力発生を主張できません。登記申請することで登記簿に反映され、社外からでも役員変更したことを確認できるようになります。監査役の就任(新任)時だけでなく、重任(再任)や退任、辞任など、役員変更であれば必ず必要なので忘れずに手続きしましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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