役員登記における選任懈怠と登記懈怠を解説します

役員任期
投稿日:2024.10.25
役員登記における選任懈怠と登記懈怠の違いについて解説します

株式会社において、任期満了した役員(取締役や監査役)は退任や重任(再任)などの手続きが必要になりますが、忘れて放置してしまっている会社も多いといわれています。

任期満了を迎えた役員は主に2つの手続きが考えられます。

退任:任期満了をもって役員を退任する
重任:任期満了後、次の任期も役員を務める(再任ともいいます)

この2つの手続きを会社内で済ませ、会社の登記簿に記載がされることで任期満了に伴う手続きが完了します。

一般的なサービスの有効期限のイメージもあり「任期満了したら勝手に終了するのではないんですか?」と思われる方もいらっしゃいますが、会社の役員に関してはそれではいけません。引き続き役員を続ける場合も、やめる場合も法律で定められた手続きが必要です。

その手続は大きく2つに分かれています。

①役員の選任:これを怠ることを「選任懈怠」といいます
②役員変更の登記:これを怠ることを「登記懈怠」といいます

本記事ではこの「選任懈怠」と「登記懈怠」について違いを解説します。

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役員の選任懈怠(せんにんけたい)とは?

役員の任期満了を迎えて、必要な役員が足りていないにも関わらず株主総会などで役員変更の決議を行っていない(= 選任をしていない)状態のことをいいます。

任期満了を迎えた役員の後任を選任していなかったり、任期満了後も引き続き役員を務めるにもかかわらず、必要な手続きをうっかり忘れていた、といった理由が考えられます。

なお、任期満了後そのまま退任する場合、退任そのものの決議は不要ですが、定時株主総会の終結を持って退任となるため総会の開催や議事録の作成は必要です。

選任懈怠は、一般的には任期満了前後のタイミングで発生することが多いですが、定款や法律で定められた役員定数を満たしていない場合も選任懈怠にあたります。また、休眠会社など何らかの理由で放置状態にある会社も選任懈怠の状態といえます。

役員変更の登記懈怠(とうきけたい)とは?

役員の選任手続きは行ったが、登記申請をしていなかった状態のことをいいます。

登記申請が必要な事項に変更があった場合、2週間以内の登記申請が法律で定められていますが、この申請をしていなかったというケースです。単純に忘れてしまった場合もあれば、忙しくて申請できなかったといった理由が多いようです。

どちらにしても登記簿には会社の最新の状態が反映しておくことが法律で定められていますので、単に忘れてしまっただけでも法律違反になってしまいます。選任の手続きを済ませてあれば登記申請するだけなので、すぐ申請しましょう。

登記懈怠についてはこちらの記事でも解説しています
関連記事:会社の登記懈怠とは?用語の意味から過料について解説します



登記懈怠による過料が発生する場合もあります

登記申請期限である2週間を超えて登記していないと、過料(かりょう)という制裁金が科される場合があります。
もし懈怠してしまっていることがわかったら、すぐに選任および登記の手続きをし、登記簿に最新の役員状況を反映しておきましょう。

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おわりに

役員の任期満了後の手続きは、慣れてしまえばたいしたことありませんが、気づき辛く、後になって行おうとすると煩雑な手続きが必要です。
必要な手続きを理解し、余裕をもって準備できるようにしましょう。

執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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